■当会は、地元の安中市岩野谷地区の大谷西谷津で、平成19年4月から稼動しているサイボウ環境㈱名義の一般廃棄物処分場の動静を、地元住民とともに監視中ですが、昨年7月末から8月初旬にかけて、20tダンプ76台に及ぶ得体の知れない土砂が大量に搬入されたことから、同処分場の最寄のフェンス脇で放射線量を測定したところ、安中市岩野谷地区で一般に観測されている放射線レベルのほぼ2倍半にあたる0.25μSv/hという高い線量を計測したため、安中市に対して、持ち込まれた土砂の由来を情報公開で請求するとともに、処分場敷地内の放射線量を住民と協力して測定するよう申し入れました。
↑残土置き場に大量に持ち込まれた出所不明の土砂。線量を計測したところ0.15マイクロシーベルト/毎時を観測した。↑
その結果、開示された情報には、トラックの台数と搬入日しか記載がなく、土砂の由来については、サイボウ環境㈱に対して提示を求める仕組みになっていないことが判明しました。やはりサンパイ行政にご執心の安中市ならではの対応です。この経緯は当会のブログhttp://pink.ap.teacup.com/ogawaken/692.html#readmoreを参照ください。
また、処分常識内の放射線量を住民と協力して測定できるように、サイボウ環境㈱に申し入れるようにお願いした件については、「サイボウ処分場は群馬県が認可を出したのだから、群馬県に依頼してはどうか」と言われました。無責任体質の安中市ならではの対応です。
■そこで、平成24年の元旦にサイボウ処分場の周辺の放射線量を調査しようとしたところ、前回計測した最寄のフェンスに近づけないように、ロープが張り巡らせてありました。
さらに、フェンスの外側にある残土置き場に大量の得体の知れない土砂が置きっぱなしになっているのを発見しました。また、その土砂の表面で放射線量を計測したところ0.15μSv/hの値を記録しました。
↑覆土用の残土置き場に捨てられた大量の土砂。↑
↑土砂の表面を計測すると0.15μSv/hを記録した。↑
さっそく1月4日の仕事始めの日に県庁を訪れ、担当部署にコンタクトし、放射線量の高いこと、得体の知れない残土が新たに残土置き場に持ち込まれていることを報告し、調査を打診しました。
■県庁の担当部署では、「さっそく調査をする」ということで、調査結果が分かり次第、電話で報告していただけることになりました。そして、1月6日の午後、当会に対して次のような報告がありました。
**********
<電話聴取メモ>
(1) 1月4日の夕方、さっそくサイボウ処分場に行き、現状を確認するとともに、次のとおり聴取した。
(2) 8月頃に処分場内に入れた土砂は7月29日(月)、8月2日(金)、8月12日(月)の3回に亘り、合計76台のトラックによって搬入された。
(3) 一方、クリスマス直前の12月23日(金)に36台、24日(土)に30台、それぞれ大型トラックで残土が持ち込まれたが、23日は祝日の為、処分場が閉まっており、残土置き場として確保されていたスペースに仮置きされているといい、24日の分は、処分場の門が開いていたので、処分場の中に搬入されたという。
(4) したがって、フェンスの外の残土置き場に仮置きされている土砂は、23日の分であるという。
(5) また、放射線レベルについては、県が所有するサーベイメーターを持参して、残土及び処分場内の放射線レベルを計測した。使用した測定機材は次の通り。
日立アロカメディカル社製シンチレーションサーベイメーター
Model名:TCS-172B
(6) 県によれば、結論から言うと放射線レベルは問題ないことが判明した。処分場のフェンス周辺で4箇所測定したところ、いずれも放射線レベルは約0.1μSv/hであった。また、残土置き場に仮置きされている工事残土についても、今度改正された測定方法に基き地上1mの放射線量を計測したところ、やはり約0.1μSv/hであった。また、残土の中心部に入って計測したところ約0.1より低く0.08程度だった。
(7) さらに、処分場敷地内に入って、計測してみたところ、埋立ている地表に2箇所土盛りしてあるところがあり、サイボウの話によると、一つは8月に持ち込んだ土砂の残りであり、もう一つは12月末に搬入した土砂の名残りだという。先端がとがっている土盛り箇所は計測できなかったが、上が平らだった土盛り箇所では、上に上って計測したがやはり約0.1程度だった。なお、埋立地内の表面で測ったら0.15くらいあったが、この由来としては、サイボウ処分場に搬入されている沼田市などの一般ごみの焼却灰によるものと考えられるという。
(8) なお、サイボウ処分場に一般ごみ焼却灰を搬入している、安中市、館林市、沼田市のそれぞれの放射線レベルについては、これまで1度計測しており、それは県のHPに掲載されていること、また、今後、法令により、一般ごみの焼却灰については再度計測を義務付けられているという。
**********
■今回の件で、最大の問題点は、サイボウ処分場の計画では、掘り取った残土は残土置き場に積み上げて、それを焼却灰や下水汚泥を埋めた上に、風等による拡散防止のため一定厚で覆土するために確保しておくことになっていたのに、新たに、福島第一原発による放射能汚染土壌やごみ・下水汚泥焼却灰などに含まれる高レベル放射線量の問題が起きた後、突然、外部から得体の知れない物体がサイボウ処分場に大量に搬入されたことです。
今回も得体の知れない土砂がどこから持ち込まれたのか、判然としませんが、少なくとも、安中市から開示された情報によれば、「処分場の維持管理の所管は群馬県であり、一般廃棄物適正処分対策協議会(以下「協議会」という。)では、覆土の搬入に関しての資料提出を求めていないが、監視員により搬入トラックの台数の連絡を受けただけ」「搬入した廃棄物の放射線量について最終処分場の維持管理の所管は県にあり、協議会としては搬入する廃棄物の放射線の測定結果データの提出は求めていない。測定結果は県のホームページで確認できるのでそちらで確認すること」「サイボウ環境(株)以外のトラックについて、協議会としては、廃棄物の搬入について監視員でチェックを行うものであり、覆土の搬入についての資料提出は求めていない。7月29日、8月2日及び8月12日のサイボウ以外のトラックの搬入は覆土の搬入なので、資料はない」という説明でした。
■安中市長のこの説明によれば、得体の知れない大型トラックによる処分場への搬入物のチェックは、得体の知れない搬入トラック業者或いは処分場の管理者であるサイボウ環境㈱(サイボウは名義貸しだけで、この処分場の実質的な運営者は長野県佐久市のイーステージ)による「搬入物は覆土用の砂」という自己申告だけで、安中市はそのまま鵜呑みにしており、どこから持ち込まれたものか、また、その放射線量はいくらか、など、全く関知しようとしていないことが分かります。
昨年のクリスマス直前に持ち込まれた大型ダンプ66台もの大量の土砂のうち23日に搬入される予定で、残土置き場に仮置きされた「覆土用」だという得体の知れない代物を見る限り、石がたくさん混じっており、決して覆土に適した砂のような代物とはいえません。
■県の担当者が即座にサイボウ環境㈱に対して調査を実行したことは大変評価できますが、結果的にサイボウの説明を鵜呑みにした形の調査報告となりました。これまでのサイボウ処分場の建設に関わった関係者が、これまでいかにウソをついてきたか、2年ごとに配置換えになる県庁の職員には経緯を知る由もなく(あるいは、知ろうともしないわけで)、あてになりません。
地域の安全はやはり地元住民の手で守り抜く必要があります。今後とも、当会では、フェンス脇で放射線量の測定や、搬入される土砂の監視を続けていきたいと思います。
【ひらく会情報部】
↑残土置き場に大量に持ち込まれた出所不明の土砂。線量を計測したところ0.15マイクロシーベルト/毎時を観測した。↑
その結果、開示された情報には、トラックの台数と搬入日しか記載がなく、土砂の由来については、サイボウ環境㈱に対して提示を求める仕組みになっていないことが判明しました。やはりサンパイ行政にご執心の安中市ならではの対応です。この経緯は当会のブログhttp://pink.ap.teacup.com/ogawaken/692.html#readmoreを参照ください。
また、処分常識内の放射線量を住民と協力して測定できるように、サイボウ環境㈱に申し入れるようにお願いした件については、「サイボウ処分場は群馬県が認可を出したのだから、群馬県に依頼してはどうか」と言われました。無責任体質の安中市ならではの対応です。
■そこで、平成24年の元旦にサイボウ処分場の周辺の放射線量を調査しようとしたところ、前回計測した最寄のフェンスに近づけないように、ロープが張り巡らせてありました。
さらに、フェンスの外側にある残土置き場に大量の得体の知れない土砂が置きっぱなしになっているのを発見しました。また、その土砂の表面で放射線量を計測したところ0.15μSv/hの値を記録しました。
↑覆土用の残土置き場に捨てられた大量の土砂。↑
↑土砂の表面を計測すると0.15μSv/hを記録した。↑
さっそく1月4日の仕事始めの日に県庁を訪れ、担当部署にコンタクトし、放射線量の高いこと、得体の知れない残土が新たに残土置き場に持ち込まれていることを報告し、調査を打診しました。
■県庁の担当部署では、「さっそく調査をする」ということで、調査結果が分かり次第、電話で報告していただけることになりました。そして、1月6日の午後、当会に対して次のような報告がありました。
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<電話聴取メモ>
(1) 1月4日の夕方、さっそくサイボウ処分場に行き、現状を確認するとともに、次のとおり聴取した。
(2) 8月頃に処分場内に入れた土砂は7月29日(月)、8月2日(金)、8月12日(月)の3回に亘り、合計76台のトラックによって搬入された。
(3) 一方、クリスマス直前の12月23日(金)に36台、24日(土)に30台、それぞれ大型トラックで残土が持ち込まれたが、23日は祝日の為、処分場が閉まっており、残土置き場として確保されていたスペースに仮置きされているといい、24日の分は、処分場の門が開いていたので、処分場の中に搬入されたという。
(4) したがって、フェンスの外の残土置き場に仮置きされている土砂は、23日の分であるという。
(5) また、放射線レベルについては、県が所有するサーベイメーターを持参して、残土及び処分場内の放射線レベルを計測した。使用した測定機材は次の通り。
日立アロカメディカル社製シンチレーションサーベイメーター
Model名:TCS-172B
(6) 県によれば、結論から言うと放射線レベルは問題ないことが判明した。処分場のフェンス周辺で4箇所測定したところ、いずれも放射線レベルは約0.1μSv/hであった。また、残土置き場に仮置きされている工事残土についても、今度改正された測定方法に基き地上1mの放射線量を計測したところ、やはり約0.1μSv/hであった。また、残土の中心部に入って計測したところ約0.1より低く0.08程度だった。
(7) さらに、処分場敷地内に入って、計測してみたところ、埋立ている地表に2箇所土盛りしてあるところがあり、サイボウの話によると、一つは8月に持ち込んだ土砂の残りであり、もう一つは12月末に搬入した土砂の名残りだという。先端がとがっている土盛り箇所は計測できなかったが、上が平らだった土盛り箇所では、上に上って計測したがやはり約0.1程度だった。なお、埋立地内の表面で測ったら0.15くらいあったが、この由来としては、サイボウ処分場に搬入されている沼田市などの一般ごみの焼却灰によるものと考えられるという。
(8) なお、サイボウ処分場に一般ごみ焼却灰を搬入している、安中市、館林市、沼田市のそれぞれの放射線レベルについては、これまで1度計測しており、それは県のHPに掲載されていること、また、今後、法令により、一般ごみの焼却灰については再度計測を義務付けられているという。
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■今回の件で、最大の問題点は、サイボウ処分場の計画では、掘り取った残土は残土置き場に積み上げて、それを焼却灰や下水汚泥を埋めた上に、風等による拡散防止のため一定厚で覆土するために確保しておくことになっていたのに、新たに、福島第一原発による放射能汚染土壌やごみ・下水汚泥焼却灰などに含まれる高レベル放射線量の問題が起きた後、突然、外部から得体の知れない物体がサイボウ処分場に大量に搬入されたことです。
今回も得体の知れない土砂がどこから持ち込まれたのか、判然としませんが、少なくとも、安中市から開示された情報によれば、「処分場の維持管理の所管は群馬県であり、一般廃棄物適正処分対策協議会(以下「協議会」という。)では、覆土の搬入に関しての資料提出を求めていないが、監視員により搬入トラックの台数の連絡を受けただけ」「搬入した廃棄物の放射線量について最終処分場の維持管理の所管は県にあり、協議会としては搬入する廃棄物の放射線の測定結果データの提出は求めていない。測定結果は県のホームページで確認できるのでそちらで確認すること」「サイボウ環境(株)以外のトラックについて、協議会としては、廃棄物の搬入について監視員でチェックを行うものであり、覆土の搬入についての資料提出は求めていない。7月29日、8月2日及び8月12日のサイボウ以外のトラックの搬入は覆土の搬入なので、資料はない」という説明でした。
■安中市長のこの説明によれば、得体の知れない大型トラックによる処分場への搬入物のチェックは、得体の知れない搬入トラック業者或いは処分場の管理者であるサイボウ環境㈱(サイボウは名義貸しだけで、この処分場の実質的な運営者は長野県佐久市のイーステージ)による「搬入物は覆土用の砂」という自己申告だけで、安中市はそのまま鵜呑みにしており、どこから持ち込まれたものか、また、その放射線量はいくらか、など、全く関知しようとしていないことが分かります。
昨年のクリスマス直前に持ち込まれた大型ダンプ66台もの大量の土砂のうち23日に搬入される予定で、残土置き場に仮置きされた「覆土用」だという得体の知れない代物を見る限り、石がたくさん混じっており、決して覆土に適した砂のような代物とはいえません。
■県の担当者が即座にサイボウ環境㈱に対して調査を実行したことは大変評価できますが、結果的にサイボウの説明を鵜呑みにした形の調査報告となりました。これまでのサイボウ処分場の建設に関わった関係者が、これまでいかにウソをついてきたか、2年ごとに配置換えになる県庁の職員には経緯を知る由もなく(あるいは、知ろうともしないわけで)、あてになりません。
地域の安全はやはり地元住民の手で守り抜く必要があります。今後とも、当会では、フェンス脇で放射線量の測定や、搬入される土砂の監視を続けていきたいと思います。
【ひらく会情報部】