■あさっての平成27年7月10日(金)午後1時10分から、前橋地裁2階の201号法廷で、大同スラグの不法投棄にかかる住民訴訟の第一回口頭弁論が行われます。これに先立ち、市民オンブズマン群馬は原告住民として、本日7月8日に次の準備書面を前橋地裁に提出しました。群馬県は7月3日付けで既に答弁書を地裁に提出しており、本件について争う姿勢を示していますので、今後、大同スラグの不法投棄問題について法廷で攻防が繰り広げられることになります。当会は、この裁判を通じて、行政の無責任体質と二重基準の問題性についても浮き彫りにしていきたいと考えております。
なお、傍聴は30人程度までなら自由にできますので、都合のつくかたは午後1時までに現地にお集まりください。
*****【原告準備書面】*****
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年7月8日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
原告準備書面(1)
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
裁判長から連絡のあった次の求釈明事項について、原告らは次のとおり簡潔に回答する。
1 本件訴えは、地方自治法242条の2第1項4号を根拠として、群馬県知事が、吾妻農業事務所長に対して、損害賠償請求をすることを求める請求であると理解してよいか。
原告らの回答は「はい、そのように理解してよいです」。
2 「工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事」(訴状2頁13行目)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
原告らの回答は次のとおり。ただし、これは住民監査請求の結果通知書14頁末行以降を転記したものである。原告らは、より正確な情報を得ようと、また、平成27年7月10日の第1回口頭弁論に間に合わせるため、平成27年6月22日付で群馬県知事あてに公文書開示請求をしたが、同7月2日付で「決定期間延長通知書」が、被告から届いた(甲第11号証)。そのため原告らは、より正確な情報について、早くとも平成27年8月20日までは未入手を余儀なくされた状況に置かれている。
・工事名 萩生川西地区 区画整理補完3工事
・工事請負業者 南波建設株式会社
・起工日 平成25年3月7日(設計変更伺 平成25年6月7日)
・入札日 平成25年3月18日
・契約日 平成25年3月19日(変更契約日 平成25年6月7日)
・請負代金額 当初42,735,000円(変更後41,422,500円)
・工事完成日 平成25年6月28日
・完成検査日 平成25年7月11日
・検査合格日 平成25年7月11日
・請負代金支払日 平成25年7月19日
3 「工事名 萩生川西地区農道舗装工事(本体舗装工事)」(訴状1頁末行)の基となった契約の内容等(いつ、誰との間で、どのような内容の契約か。)について説明されたい。
原告らの回答は次のとおり。ただし、これは住民監査請求の結果通知書16頁の下から4行目以降を転記したものである。原告らは、より正確な情報を得ようと、また、平成27年7月10日の第1回口頭弁論に間に合わせるため、平成27年6月22日付で群馬県知事あてに公文書開示請求をしたが、同7月2日付で「決定期間延長通知書」が、被告から届いた(甲第12号証)。そのため原告らは、より正確な情報について、早くとも平成27年8月20日までは未入手を余儀なくされた状況に置かれている。
・工事名 萩生川西地区 農道舗装工事
・工事請負業者 池原工業株式会社
・起工日 平成26年6月2日(設計変更伺 平成26年7月11日)
・入札日 平成26年6月11日
・契約日 平成26年6月12日(変更契約日 平成26年7月11日)
・請負代金額 当初 5,292,000円(変更後 6,490,800円)
・工事完成日 平成26年7月31日
・完成検査日 平成26年8月7日
・検査合格日 平成26年8月7日
・請負代金支払日 平成26年8月18日
4 本件舗装工事にかかる請負契約に基づきなされた公金の支出は、具体的にいかなる事実が、いかなる法に反し「違法」(訴状3頁11行目)なのか、説明されたい。
原告らの回答は次のとおり。本件事件は、地方自治法第2条第1項14号、16号及び17号に該当する。参考までに、これら各号を次に示す。
14 地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
16 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
17 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
「萩生川西地区農道舗装工事(本体舗装工事)」(以下、「本件工事」という。)工事の工事代金の支払いそのものは、財務行為として違法性はないかもしれないが、これに先行する行政行為に違法性が認められる場合には、後者の財務行為も当然違法となると考える。
今回の事件では、「再生砕石」と詐称された有害な鉄鋼スラグ混合砕石が、廃棄物処理法で定めた中間処理業の資格を持たない訴外大同特殊鋼株式会社及び佐藤建設工業株式会社から納入され、本件工事現場に持ち込まれて使用されていた。鉄鋼スラグは、鉱さいと呼ばれる産業廃棄物であり、それを中間処理業の資格を持たないまま、訴外大同特殊鋼と佐藤建設工業が天然砕石と混ぜ合わせ、「再生砕石」と詐称して、大量に、「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の現場に持ち込んで、道路敷等に路盤材等として使った。この「再生砕石」と詐称された産業廃棄物の所在について、群馬県は遅くとも平成26年1月28日のマスコミ報道で知り得ていたはずである(甲第13、14号証)。
また、 群馬県森林環境部が平成26年1月27日におこなった立ち入り検査の結果、平成26年4月22日廃棄物の処理に関する指示書をだし(甲第4号証)、鉄鋼スラグを産業廃棄物である「鉱さい」と認定している。農業事務所は、環境森林部に二度も確認を怠ったことになる。
にもかかわらず、群馬県吾妻農政事務所は、原告が再三にわたり「有害スラグを撤去するのが先決で、舗装工事はその後実施するように」と要請したのを無視して、舗装工事を強行した。
従って、その原因となる行為が法令に違反し許されない場合の財務会計上の行為も同様に違法となるのであるから、廃棄物処理法違反に該当する行政行為を知りつつ、有害スラグに蓋をするべく、群馬県が舗装工事のために業者に公金を支払ったことは、違法であるということができる。
なお、この論理で言えば「萩生川西地区 区画整理補完3工事」の現場に持ち込まれた廃棄物処理法違反の有害な鉄鋼スラグ混合砕石(甲第15号証)についても、損害賠償請求の対象であるが、こちらは原因者負担で、追って被告により回復措置がとられるものと見られるので、今回の請求対象には含まない。
5 群馬県知事は、いかなる理由から吾妻農業事務所長に対して損害賠償請求権又は不当利得返還請求権を有するのか、説明されたい。
原告らの回答は次のとおり。
地方自治法第243条の2第3項は「普通地方公共団体の長は、第一項の職員が同項に規定する行為によって当該普通地方公共団体に損害を与えたと認めるときは、監査委員に対し、その事実があるかどうかを監査し、賠償責任の有無及び賠償額を決定することを求め、その決定に基づき、期限を定めて賠償を命じなければならない」と定めており、第一項で故意又は重大な過失により職員である吾妻農業事務所長が無駄な支出をしたのであるから、群馬県知事は、この職員に対して損害賠償を命じることができるはずである。
以 上
*****【証拠説明書】*****
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事件番号 平成27年(行ウ)第7号 住民訴訟事件
原告 小 川 賢 外1名
被告 群馬県知事 大澤正明
平成27年7月8日
前橋地方裁判所民事2部合議係 御中
証 拠 説 明 書
原告 小 川 賢 ㊞
原告 鈴 木 庸 ㊞
号証 /標目/原本・写しの別/作成年月日/作成者/立証趣旨
●甲11/決定期間延長通知書/原本/平成27年7月2日/被告(吾妻農業事務所)/被告が、平成27年8月20日まで、御庁から原告への求釈明事項2に関する情報の開示を先送りしてきたことを示す事実
●甲12/決定期間延長通知書/原本/平成27年7月2日/被告(吾妻農業事務所)/被告が、平成27年8月20日まで、御庁から原告への求釈明事項3に関する情報の開示を先送りしてきたことを示す事実
●甲13/マスコミ報道記事(日本経済新聞)/写し/平成27年7月7日/原告ら(ネット記事から抜粋)/平成26年1月28日に被告が大同特殊鋼渋川工場を立入検査したことを示す事実。
●甲14/マスコミ報道記事(朝日新聞)/写し/平成27年7月7日/原告ら(ネット記事から抜粋)/平成26年1月28日に被告が大同特殊鋼渋川工場を立入検査したことを示す事実。
●甲15/工事打合せ書/写し/平成25年4月15日/南波建設ら/平成24年度(地域)県営農地整備事業(耕作放棄地解消・発生防止基盤整備)萩生川西地区 補完3工事で、大同特殊鋼と大同エコメット、佐藤建設工業が中間処理業の資格のないまま製造した鉄鋼スラグ混合砕石を「再生砕石」と詐称して、同工事現場で使用したことを示す事実。
151_hagyuchiku_hojouseibijigyou_uchiawasesho.pdf
152_hagyuchiku_hojouseibijigyou_uchiawasesho.pdf
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【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】