市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

大同スラグ問題を斬る!…15ヶ月目で県が開示したスラグ使用に至る内部意思決定過程のデタラメ具合(1)

2015-07-09 23:38:00 | スラグ不法投棄問題
■我らが郷土群馬の大地を汚している大同スラグ不法投棄問題で、市民オンブズマン群馬は、なぜこのような有毒物質を含む鉄鋼スラグが公共工事で堂々と使用できるようになったのか、その理由と経緯について確認するために、2014年3月3日に群馬県に対して情報開示を請求していました。その結果、同3月25日に部分開示が為されましたが、肝心の鉄鋼スラグの公共事業での使用理由と使用経緯について情報公開が全く無かったため、同4月4日に異議申立書を群馬県に提出しました。その後、同7月23日に意見書を群馬県公文書開示審査会に提出していました。そして約9か月半経過した2015年5月8日付で、審査会から群馬県知事に答申したという通知があり、同6月5日付で群馬県から異議申し立てに対する決定書が送られてきました。実に情報開示請求から1年3か月を要しました。

 この間の経過は当会の次のブログで報告してあるので、こちらも参照ください。
○2014年3月8日:大同特殊鋼渋川工場が排出した鉄鋼スラグから有害物質が溶け出した事件でオンブズマンが県に情報開示請求↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1228.html
○2014年4月5日:大同特殊鋼渋川工場の有害スラグに群馬県が御墨付きを与えた経緯を知るためオンブズマンが知事に異議申立↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1251.html
○2014年7月23日:大同有毒スラグに係る情報不開示異議申立てでオンブズマンが群馬県公文書開示審査会に意見書を提出↓
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1346.html
〇2015年5月17日:大同スラグ不法投棄に係る情報不開示異議申立てで県公文書開示審査会が13か月要して知事に答申(その1)~(その3)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1615.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1616.html
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1617.html

■それでは、先月初めに市民オンブズマン群馬事務局に届いた決定書と、関連する開示情報について見てみましょう。決定書は3通あり、それぞれ県土整備部建設企画課、農政部農村整備課、環境森林部森林保全課が発出元となっています。

 このうち、県土整備部と農政部が、追加の漏れ情報があったとして、追加の部分開示決定通知書も一緒に送ってきました。

*****【県土整備部】*****
20150605_igimousitate_ketteisho_kensetukikakuka.pdf
                    建企第629-4号
                    平成27年6月5日
 市民オンブズマン群馬
 代表 小川 賢 様
                  群馬県知事 大澤 正明
                  (建設企画課)

    平成26年4月4日付け異議申立てに対する決定書謄本の送付について

 あなたから平成26年4月4日付けで提起のあった異議申立てについて、別添謄本のとおり決定したので送付します。

                担当:県土整備部建設企画課
                   技術調査係
                電話:027-226-2531(ダイヤルイン)

=====【公文書部分開示決定通知書】=====
                    建企第629-5号
                    平成27年6月8日
  市民オンブズマン群馬
  代表  小川 賢 様
                  群馬県知事 大澤 正明

  平成26年3月3日付けで請求のあった文書の開示については、群馬県情報公開条例第18条第1項の規定により、次のとおり一部を除いて開示することを決定したので通知します。
 なお、この処分につぃて不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、群馬県知事に対して異議申立てをすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると異議申立てをすることができなくなります。)。また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。)。ただし、異議申立てをした場合には、その異議申立てに対する決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
 平成26年1月28日付け毎日新聞記事によると、大同特殊鋼の渋川工場から出た公文書の内容又は鉄鋼スラグが有害物質の溶出が検出されるような状態であるにもかかわらず、リサイクル資材として一般砕石にブレンドされ、公共事業の路盤材等に使用されていた問題が報じられてぃる。このことに関する次の情報。
(1)この鉄鋼スラグを使用して県が実施した全ての公共事業(当該鉄鋼スラグの使用量、使用場所がわかる情報含む)
(2)この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報。
<開示の日時>
 平成27年6月12日(金)午前9時30分
<開示の場所>
 群馬県庁2階 県民センター
<開示の実施方法>
 写しの交付
<開示しない部分の概要及びその理由>
 群馬県情報公開条例第14条第2号該当
 (非開示部分)個人の氏名及び印影
  開示することにより、特定の個人を識別できるため。
 群馬県情報公開条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)代表取締役の印影
  開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。
<※開示しない理由がなくなる期日>
      年   月   日
<事務担当課等> 県土整備部建設企画課技術調査係
             電話番号027-226-3531(直通)
  開示立会者(敬称略) 下田剛久、伊藤雄司、霞真一
<備考> 498ページ
注1 公文書の開示により得た情報は、群馬県情報公開条例第24条の規定により、適正に使用しなければなりません。
 2 指定された日時が都合の悪い場合には、あらかじめ事務担当課等へ連絡してください。
 3 公文書の開示を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。
 4 ※印の欄は、開示しない部分につぃて、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
 5 開示決定に係る公文書に第三者に関する情報が記録されてぃる場合において、当該第三者から不服申立てがあったときは、その全部又は一部を開示することができなくなる場合があります。

=====【決定書】=====
          決 定 書
              異議申立人 群馬県前橋市文京町1-15-10
                    市民オンブズマン群馬
                    代表  小川 賢
 上記異議申立人(以下「申立人」という。)から平成26年4月4日付けで提起のあった、平成26年3月17日付け建企第629-7号により群馬県知事(以下「当庁」という。)が行った公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)についての異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)に対して、次のとおり決定する。

          主   文
 本件処分を取り消し、改めて文書を特定したうえで開示を行う。

          理   由

第1 経緯

1 公文書開示請求
 申立人は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、当庁に対し、平成26年3月3日付けで、「平成26年1月28日付毎日新聞記事によると、大同特殊鋼の渋川工場から出た鉄鋼スラグが有害物質の溶出が検出されるような状態であるにもかかわらずリサイクル資材として一般採石にブレンドされ、公共事業の路盤材等に使用されていた問題が報じられている。このことに関する次の情報。」として、以下(1)及び(2)の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(1)この鉄鋼スラグを使用して県が実施した全ての公共事業(当該鉄鋼スラグの使用量、使用場所がわかる情報を含む)(以下「本件請求1」という。)
(2)この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報(以下「本件請求2」という。)

2 当庁の決定
 当庁は、平成26年3月17日、本件請求1に係る公文書を「路線・河川名、箇所名、使用量(㎥)」が記載された「鉄鋼スラグをブレンドした路盤材等の使用実績」(以下「本件公文書1」という。)であると判断し本件処分を行い、当該公文書の一部を開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
○条例第14条第2号該当
 (非開示部分)個人の氏名及び印影
  開示することにより、特定の個人を識別できるため。
 条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)代表取締役の印影
  開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

3 異議申立て
 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年4月4日付けで、本件処分を不服として当庁に対し本件異議申立てを行った。

4 諮問
 当庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成26年5月12日、本件異議申立て事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

5 前提事実
 当庁は、県土整備部監理課建設政策室長名で県土整備部内所属長、土木事務所長及び関係機関の長あて下記の文書(以下「本件通知」という。)を通知している。
(1)平成22年6月11日付け監第647-003号「砕石骨材「クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下「本件通知1」という。)
(2)平成22年10月15日付け監第647-003-1号「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及ぴC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下「本件通知2」という。)

6 答申
 審査会は、平成27年5月8日付けで、当庁が行った本件処分は妥当ではなく、本件通知一式に加え、新たに確認された25工事のうち県土整備部が所管する22工事の工事関係書類を改めて本件請求の対象公文書として特定すべきである、との結論の答申をした。

第2 異議申立ての趣旨及び理由

1 異議申立ての趣旨
 本件異議申立ての趣旨は、本件処分の取消しと不開示とされたあらゆる情報の開示を求めるというものである。

2 異議申立ての理由
 申立人が異議申立書に記載した異議申立ての理由は、次のとおりである。
(1)異議申立人らは群馬県民であり納税者として公文書の開示を求める権利を有する。
(2)異議申立人らが開示請求したうちの(2)の「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」は県土整備部監理課建設政策室長倉嶋敬明の名前で県庁の各関係部署に発出されたものであるが、このような重大な判断結果を県庁全体の関係部署に発出するにあたっては関係部署と従前に十分な協議を重ね、国の方針や通達、他の自治体の実施状況等を勘案して、決定しているはずである。
(3)そうした項目(2)に関する情報について開示請求をしたにもかかわらず、実施機関の対応は消極的であったといわざるをえない。
(4)よって請求情報(2)に関連して存在するはずの情報が不開示とされた処分を取り消し、しかるべき情報の開示を求める。

第3 当庁の判断
 当庁は、審査会の答申を踏まえ、本件事案について次のとおり判断する。

1 本件通知の発出にかかる内部協議資料について
 本件請求2(申立人が求める「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」)については、「工事打合せ書」によって土木資材の使用について、受注者と発注者間で協議し使用を決定しており、この書類が本件請求2の特定すべき対象公文書とし、情報開示決定したものである。
 この決定に対して、申立人の「3月25日の部分開示の際、全く開示情報に含まれていなかった」との主張について、当庁としては、申立人からの質問に応じて示した本件通知2が、申立人が主張するとおり本件請求2の「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」であると認め、本件通知の伺い文、起案説明及び通知(以下「本件通知―式」という。)を本件請求の対象公文書として特定し、改めて決定する。
 なお、本件通知一式以外の特定すべき対象公文書は存在せず、審査会の当庁に対しての条例第30条第4項に基づく調査においても、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。

2 新たに使用が確認された工事
 大同特殊鋼(株)からの聞き取り調査により、鉄鋼スラグを含む材料の使用工事箇所の調査を行った結果、新たに平成21年度以降の県施工25工事(以下「新たに確認された25工事」という。)については、設計書や工事関係書類により当該鉄鋼スラグの使用が確認された。新たに確認された25工事は、本件請求1にある「(大同特殊鋼渋川工場から出た)鉄鋼スラグを使用して県が実施した公共事業」であり、県土整備部が所管する22工事の工事関係書類は、本件請求の特定すべき対象公文書であるとし、改めて決定する。
 工事関係書類における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益と比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と「代表取締役の印影」は、当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。よって条例第14条第2号ロ及び第3号ただし書に該当しない。

第5 結論

 以上のとおり、本件異議申立てには理由があることから、行政不服審査法第47条第3項の規定により、主文のとおり決定する。

(教示)
 この決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、決定の取消しの訴えを提起することができます。(決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、決定の日の翌日から起算して1年を経過すると決定の取消しの訴えを提起することができなくなります。)

  平成27年6月3日
                 群馬県知事 大澤 正明

この決定書の謄本は原本と相違ないことを証明する。

平成7年6月5日
                  群馬県知事  大澤 正明

*****【農政部】*****
20150605_igimousitate_ketteisho_nousonseibika.pdf
                   農整第 748- 3号
                   平成27年 6月 5日
市民オンブズマン群馬
代表  小川 賢 様
                 群馬県知事 大澤 正明
                 (農政部農村整備課)
  平成26年4月4日付け異議申立てに対する、決定書謄本の送付について
 このことについて、別添謄本のとおり決定しましたので送付します。

            担当:農政部 農村整備課 技術調査係
            電話:027-226-3163
            FAX:027-224-8744

=====【部分開示決定通知書】=====
別記様式第3号(規格A4)(第4条関係)
         公文書部分開示決定通知書
                    農整第748-4号
                    平成27年6月8日
  市民オンブズマン群馬
  代表  小川 賢 様
                  群馬県知事 大澤 正明

 平成26年3月3日付けで請求のあった公文書の開示については、群馬県情報公開条例第18条第1項の規定により、次のとおり一部を除いて開示することを決定したので通知します。
 なお、この処分について不服があるときは、この処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に、群馬県知事に対して異議申立てをすることができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると異議申立てをすることができなくなります。)。また、この処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、処分の取消しの訴えを提起することができます(処分があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、処分の日の翌日から起算して1年を経過すると処分の取消しの訴えを提起することができなく
 なります。)。ただし、異議申立てをした場合には、その異議申立てに対する決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、処分の取消しの訴えを提起することができます。
<開示を請求された公文書の内容又は件名>
 平成26年1月28日付け毎日新聞記事によると、大同特殊鋼の渋川工場から出た鉄鋼スラグが有害物質の溶出が検出されるような状態であるにもかかわらず、リサイクル資材として一般砕石にブレンドされ、公共事業の路盤材等に使用されていた問題が報じられている。このことに関する次の情報。
(1)この鉄鋼スラグを使用して県が実施した全ての公共事業(当該鉄鋼スラグの使用量、使用場所がわかる情報含む)
(2)この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報。
<開示の日時>
 平成27年 6月12日(金)午前 9時30分
<開示の場所>
 群馬県庁2階県民センター
<開示の実施方法>
 閲覧及び写しの交付
<開示しない部分の概要及びその理由>
 群馬県情報公開条例第14条第2号該当
 (非開示部分)個人の氏名及び印影
  開示することにより、特定の個人を識別できるため。
 群馬県情報公開条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)代表取締役の印影
  開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

<※開示しない理由がなくなる期日>
     年   月   日
<事務担当課等> 農政部 農村整備課 技術調査係
         電話番号027-226-3163(直通)
  開示立会者(敬称略) 吉田、播磨
<備考> 92ページ
注 1 公文書の開示により得た情報は、群馬県情報公開条例第24条の規定により、適正に使用しなければなりません。
  2 指定された日時が都合の悪い場合には、あらかじめ事務担当課等へ連絡してください。
  3 公文書の開示を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。
  4 ※印の欄は、開示しない部分について、開示をしない理由がなくなる期日をあらかじめ明示することができる場合のみ記入してあります。
  5 開示決定に係る公文書に第三者に関する情報が記録されている場合において、当該第三者から不服申立てがあったときは、その全部又は一部を開示することができなくなる場合があります。

=====【決定書】=====
          決 定 書

              異議申立人 群馬県前橋市文京町1-15-10
                    市民オンブズマン群馬
                    代表 小川 賢

  上記異議申立人(以下「申立人」という。)から平成26年4月4日付けで提起のあった、平成26年3月17日付け農整第748-2号により群馬県知事(以下「当庁」という。)が行った公文書部分開示決定(以下「本件処分」という。)についての異議申立て(以下「本件異議申立て」という。)に対して、次のとおり決定する。

          主   文
 本件処分を取り消し、改めて文書を特定したうえで開示を行う。

          理   由

第1 経緯
1 公文書開示請求
 申立人は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、当庁に対し、平成26年3月3日付けで、「平成26年1月28日付毎日新聞記事によると、大同特殊鋼の渋川工場から出た鉄鋼スラグが有害物質の溶出が検出されるような状態であるにもかかわらずリサイクル資材として一般砕石にブレンドされ、公共事業の路盤材等に使用されていた問題が報じられでいる。このことに関する次の情報。」として、以下(1)及び(2)の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。
(1)この鉄鋼スラグを使用して県が実施した全ての公共事業(当該鉄鋼スラグの使用量、使用場所がわかる情報を含む)(以下「本件請求1」という。)
(2)この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報(以下「本件請求2」という。)

2 当庁の決定
 当庁は、平成26年3月17日、本件請求1に係る公文書を「施工年度・事業名・地区名・工事名・施工場所・使用量(㎥)・備考」が記載された「農業農村整備事業再生砕石(大同スラグ混合)使用調査結果」(以下「本件公文書1」という。本件請求2に係る公文書を「工事打合せ書」(以下「本件公文書2」という。)であると判断し本件処分を行い、当該公文書の一部を開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
○群馬県情報公開条例第14条第2号該当
 (非開示部分)個人の氏名及び印影
  開示することにより、特定の個人を識別できるため。
 群馬県情報公開条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)代表取締役の印影
  開示することにより、一当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

3 異議申立て
 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定に基づき、平成26年4月4日付けで、本件処分を不服として当庁に対し本件異議申立てを行った。

4 諮問
 当庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成26年5月12日、本件異議申立て事案(以下「本件事案)という。)の諮問を行った。

5 答申
 審査会は平成27年5月8日付けで、当庁が行った本件処分は妥当ではなく、新たに確認された25工事のうち農政部が所管する3工事の工事関係書類及び平成25年4月3日付け工事打合せ書を改めて本件請求の対象公文書として特定すべきであるとの結論の答申をした。

第2 異議申立ての趣旨及び理由

1 異議申立ての趣旨
 本件異議申立ての趣旨は、本件処分の取消しと不開示とされたあらゆる情報の開示を求めるというものである。

2 異議申立ての理由
 申立人が異議申立書に記載した異議申立ての理由は、次のとおりである。
(1)異議申立人らは群馬県民であり納税者として公文書の開示を求める権利を有する。
(2)異議申立人らが開示請求したうちの(2)の「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」は県土整備部監理課建設政策室長倉嶋敬明の名前で県庁の各関係部署に発出されたものであるが、このような重大な判断結果を県庁全体の関係部署に発出するにあたっては、関係部署と従前に十分な協議を重ね、国の方針や通達、他の自治体の実施状況等を勘案して、決定しているはずである。
(3)そうした項目(2)に関する情報について開示請求をしたにもかかわらず、実施機関の対応は消極的であったといわざるをえない。
(4)よって請求情報(2)に関連して存在するはずの情報が不開示とされた処分を取り消し、しかるべき情報の開示を求める。

第3 当庁の判断
 当庁は、上記審査会答申を尊重し、以下のとおり判断する。

1 県土整備部通知に対しての内部協議資料について
 農政部は、平成19年10月1日から群馬県土木工事標準仕様書に技術基準の統一を行っており、原則として同一方針で行っている。平成22年度に県土整備部から発出された「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下本件通知という。)に対しては、工事自体の特殊性を考慮する必要がないもので、同一方針として内部協議は行っていない。そのため、通知に対しての内部協議資料、同一方針とする内規、方針決定に関する事務要領も存在しない。
 審査会は当庁に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、申立人が主張する公文書の作成、保有の有無を確認するため農村整備課において公文書の確認を行ったが、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。

2 新たに使用が確認された工事
 大同特殊鋼(株)からの聞き取り調査により、鉄鋼スラグを含む材料の使用工事箇所の調査を行った結果、新たに平成21年度以降の県施工26工事(以下「新たに確認された25工事」という。)については、設計書や工事関係書類により当該鉄鋼スラグの使用が確認された。新たに確認された25工事は、本件請求1にある「(大同特殊鋼渋川工場から出た)鉄鋼スラグを使用して県が実施した公共事業」であり、農政部が所管する3工事の工事関係書類は、本件請求の対象公文書であるとし、改めて決定する。

3 別途提出の工事打合せ書について
 当庁が本件処分を行った「平成24年度(地域)県営農地整備事業(耕作放棄地解消発生防止基盤整備)萩生川西地区 補完3工事」分の工事打合わせ書については、当庁が特定したもの(平成25年4月25日付け)の前に、平成25年4月3日付けで当該工事の工事打合せ書(以下(平成25年4月3日付け工事打合せ書)という。)が当庁に別途提出されていることが確認された。平成25年4月3日付け工事打合せ書は、本件請求2にある「内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」であり、本件請求の対象文書であるとし、改めて決定する。
 工事関係書類における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号ロ及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と代表取締役の印影」について考えるが、そもそも当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。
 よって、条例第14条第2号口及び第3号ただし書に該当しない。

第4 結論
 以上のとおり、本件異議申立てには理由があることから、行政不服審査法第47条第3項の規定により、主文のとおり決定する。

 (教示)
 この決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)、決定の取消しの訴えを提起することができます(決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、決定の日の翌日から起算して1年を経過すると決定の取消しの訴えを提起することができなくなります。)

 平成27年 6月 3日
                    群馬県知事 大澤 正明

この決定書の謄本は原本と相違ないことを証明する。

平成27年 6月 5日
               群馬県知事 大澤 正明


*****【環境森林部】*****
20150605_igimousitate_ketteisho_sinrinhozenka.pdf
                    森 第30131-3号
                    平成27年6月5日
 市民オンブズマン群馬
   代表  小川 賢 様
                   群馬県知事 大澤 正明
                   (森林保全課)
     平成26年4月4日付け異議申立てに対する決定書謄本の送付について
 あなたから平成26年4月4日付けで提起のあった異議申立てについて、別添謄本のとおり決定したので送付します。

                  担当:環境森林部森林保全課
                     技術管理係
                  電話:027-226-3261(ダイヤルイン)

=====【決定書】=====
          決  定  書
                  異議申立人 群馬県前橋市文京町1-15-10
                        市民オンブズマン群馬
                        代表 小川 賢

 上記異議申立人(以下「申立人」という。)から平成26年4月4日付けで提起のあった、平成26年3月13日付け森第30131-5号により、群馬県知事(以下「当庁」という)が行った公文書部分開示決定(以下「本件処分)という。)に対する異議申立
て(以下「本件異議申立て」という。)について、次のとおり決定する。

          主  文
 本件異議申立てを棄却する。

          理  由

第1 経緯

1 公文書開示請求
 申立人は、群馬県情報公開条例(以下「条例」という。)第11条の規定に基づき、当庁に対し、平成26年3月3日付けで、「平成26年1月28日付毎日新聞記事によると、大同特殊鋼の渋川工場から出た鉄鋼スラグが有害物質の溶出が検出されるような状態であるにもかかわらずリサイクル資材として一般砕石にブレンドされ、公共事業の路盤材等に使用されていた問題が報じられている。このことに関する次の情報。
(1)この鉄鋼スラグを使用して県が実施した全ての公共事業(当該鉄鋼スラグの使用量、使用場所がわかる情報を含む)(以下「本件請求1」という。)(2)この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報(以下「本件請求2」という。)」の開示請求(以下「本件請求」という。)を行った。

2 当庁の決定
 当庁は、平成26年3月13日、本件請求1に係る公文書を「事業・箇所名・工区名・施工地・施工年度・使用量(㎥)・備考」が記載された「森林土木事業再生砕石(大同スラグ混合)使用調査結果」(以下「本件公文書1」という。)、本件請求2に係る公文書を「工事打合せ書」(以下「本件公文書2」という。)であると判断し本件処分を行い、当該公文書の一部を開示しない理由を次のとおり付して、申立人に通知した。
○群馬県情報公開条例第14条2号該当
 (非開示部分)個人の氏名及び印影
  開示することにより、特定の個人を認別できるため。
 群馬県情報公開条例第14条第3号イ該当
 (非開示部分)代表取締役の印影
  開示することにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。

3 異議申立て
 申立人は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)一第6条の規定に基づき、平成26年4月4日付けで、本件処分を不服として当庁に対し本件異議申立てを行った。

4 諮問
 当庁は条例第26条の規定に基づき、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)に対して、平成26年5月12日、本件異議申立て事案(以下「本件事案」という。)の諮問を行った。

5 答申
 審査会は平成27年5月8日付けで、「本件処分は妥当であり取り消す必要はない」との答申を行った。

第2 異議申立ての趣旨及び理由

1 異議申立ての趣旨
 本件異議申立ての趣旨は、本件処分の取消しと不開示とされたあらゆる情報の開示を求めるというものである。

2 異議申立ての理由
 申立人が異議申立書に記載した異議申立ての理由は、次のとおりである。
(1)異議申立人らは群馬県民であり納税者として公文書の開示を求める権利を有する。
(2)異議申立人らが開示請求したうちの(2)の「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」は県土整備部監理課建設政策室長倉嶋敬明の名前で県庁の各関係部署に発出ざれたものであるが、このような重大な判断結果を県庁全体の関係部署に発出するにあたっては、関係部署と従前に十分な協議を重ね、国の方針や通達、他の自治体の実施状況等を勘案して、決定しているはずである。
(3)そうした項日(2)に関する情報について開示請求をしたにもかかわらず、実施機関の対応は消極的であったといわざるをえない。
(4)よって請求情報(2)に関連して存在するはずの情報が不開示とされた処分を取り消し、しかるべき情報の開示を求める。

第3 当庁の認定事実及び判断

1 当庁の認定事実
(1)申立人は、平成26年3月3日付けで、条例第12条第1項の規定に基づき、当庁に対し本件請求を行った。
(2)当庁は、本件請求に対する公文書として本件公文書を特定し、平成26年3月13日付けで条例第14条第2号及び第3号イに該当するとして本件処分を行い、申立人に通知した。
(3)申立人は、平成26年4月4日付けで当庁に対し、本件処分に対する異議申立てを行った。
(4)当庁は、条例第26条に基づき、平成26年5月12日付けで審査会に諮問した。
(5)当庁は、平成26年6月20日付けで本件処分の理由説明書を審査会に提出した。
(6)申立人は、平成26年7月23日付けで理由説明書に対する意見書を審査会に提出した。
(7)当庁は、平成27年1月9日に本件公文書の提示と口頭での説明を審査会に行った。
(8)当庁は、平成27年2月12日に審査会から求められた関係公文書の提示を行った。
(9)当庁は、審査会から平成27年5月8日付けで「実施機関が行った決定のうち、本件処分(平成26年3月13日付け森第30131-5号)は妥当であり取り消す必要はない。」との答申を受けた。

2 当庁の判断
 当庁は上記審査会答申を尊重し、以下のとおり判断する。

 申立人が本件請求の請求情報(2)に関連して存在するはずと主張の内部協議情報について、森林土木工事で定めていた、標準仕様書等は平成19年10月1日から群馬県土木工事標準仕様書に技術基準の統一を行っており、原則として同一方針で行っている。平成22年度に県土整備部から発出された「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下「本件通知」という。)に対しては、森林土木工事として特殊性を考慮する必要がないもので、同一方針として内部協議は行っていない。そのため、通知に対しての内部協議資料、同一方針とする内規、方針決定に関する事務要領も存在しない。
 審査会は当庁に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、申立人が主張する公文書の作成、保有の有無を確認するため森林保全課において公文書の確認を行ったが、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。
 次に本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号口及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益と比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と「代表取締役の印影」は、当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。よって条例第14条第2号口及び第3号ただし書に該当しない。

第4 結論
 以上のとおり、本件異議申立てには理由がないので、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第47条第2項の規定により主文のとおり決定する。

 (教示)
 この決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内に、群馬県を被告として(訴訟において群馬県を代表する者は、群馬県知事となります。)決定の取消しの訴えを提起することができます。(決定があったことを知った日の翌日から起算して6月以内であっても、決定の日の翌日から起算して1年を経過すると決定の取消しの訴えを提起することができなくなります。)

この決定書の謄本は原本と相違ないことを証明する。

平成27年6月5日
                    群馬県知事 大澤 正明
********************

■以上が3つの部署(県土整備部、農政部、環境森林部)から出された決定書の内容です。いずれも同じような書きぶりなので、おそらく審査会事務局あたりが気を利かせて原案を作ったのかもしれません。そのひどく無責任な体質は、3つの部署の判断からも窺い知ることが可能です。文中、「←」と「青色」で示した個所は当会の感想・コメントです。

<県土整備部の判断>
 当庁は、審査会の答申を踏まえ、本件事案について次のとおり判断する。

1 本件通知の発出にかかる内部協議資料について
 本件請求2(申立人が求める「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」)については、「工事打合せ書」によって土木資材の使用について、受注者と発注者間で協議し使用を決定しており、この書類が本件請求2の特定すべき対象公文書とし、情報開示決定したものである。
 ←【当会コメント】無資格業者が製造した有害スラグの使用について、県土整備部がちゃんと訳知りで許可をしてきたことがこれで明らかになった。
 この決定に対して、申立人の「3月25日の部分開示の際、全く開示情報に含まれていなかった」との主張について、当庁としては、申立人からの質問に応じて示した本件通知2が、申立人が主張するとおり本件請求2の「この鉄鋼スラグを公共事業に使用できると県が判断するに至った内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」であると認め、本件通知の伺い文、起案説明及び通知(以下「本件通知―式」という。)を本件請求の対象公文書として特定し、改めて決定する。
 ←【当会コメント】申立人から具体的な文書の摘示がなかったら、県土整備部はその保有情報を出さないつもりだったことがこれで明らかになった。
 なお、本件通知一式以外の特定すべき対象公文書は存在せず、審査会の当庁に対しての条例第30条第4項に基づく調査においても、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。
 ←【当会コメント】当会が2014年7月23日に審査会に提出した意見書で、内部協議情報や県議・業者との面談記録等について、県土整備部は審査会の調査でも見つからなかったと主張しているが、常識では有り得ない。業者が「県議も使って有害スラグを公共事業で使用可能にするための工作をしていた」と認めているのだから、県土整備部が「存在しない」というのはウソ。

2 新たに使用が確認された工事
 大同特殊鋼(株)からの聞き取り調査により、鉄鋼スラグを含む材料の使用工事箇所の調査を行った結果、新たに平成21年度以降の県施工25工事(以下「新たに確認された25工事」という。)については、設計書や工事関係書類により当該鉄鋼スラグの使用が確認された。新たに確認された25工事は、本件請求1にある「(大同特殊鋼渋川工場から出た)鉄鋼スラグを使用して県が実施した公共事業」であり、県土整備部が所管する22工事の工事関係書類は、本件請求の特定すべき対象公文書であるとし、改めて決定する。
 ←【当会コメント】大同から聞き取り調査をした結果、新たに平成21年度以降の群馬県が施工した公共工事でスラグの不法投棄が判明したというが、大同も県も、聞き取り調査結果の情報を当会に開示するのを拒否した。なお、平成20年度以前にも同様に大同スラグが県施工工事で恒常的に使われていた可能性も否定できない。
 工事関係書類における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益と比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と「代表取締役の印影」は、当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。よって条例第14条第2号ロ及び第3号ただし書に該当しない。
 ←【当会コメント】これだけ有害物質を環境中にまき散らしておいても、県民の生命や健康よりも、原因者である大同や佐藤、そして県自身の保護のほうが大切だというのだから、いかに「官業優先、住民軽視」の行政であるかがわかる。

<農政部の判断>
 当庁は、上記審査会答申を尊重し、以下のとおり判断する。

1 県土整備部通知に対しての内部協議資料について
 農政部は、平成19年10月1日から群馬県土木工事標準仕様書に技術基準の統一を行っており、原則として同一方針で行っている。平成22年度に県土整備部から発出された「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下本件通知という。)に対しては、工事自体の特殊性を考慮する必要がないもので、同一方針として内部協議は行っていない。そのため、通知に対しての内部協議資料、同一方針とする内規、方針決定に関する事務要領も存在しない。
 ←【当会コメント】県土整備部が平成22年6月11日付で県庁内関係部署宛に発出したスラグ取扱いに関する通知では、確かに農政部の言うとおり、大同スラグ混合骨材を無制限に使えるように通知していたが、その後、同10月15日付の変更通知では「路床工、路面敷砂利には使用しない」と追記されたはず。にもかかわらず、東吾妻町萩生地区での工事では敷砂利のような使い方ができたのは、何らかの特例措置に関する内部協議資料が農政部に存在しなければならないはずだ。
 審査会は当庁に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、申立人が主張する公文書の作成、保有の有無を確認するため農村整備課において公文書の確認を行ったが、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。
 ←【当会コメント】農政部は内部協議資料等について、審査会の調査でも見つからなかったと主張しているが、常識では有り得ない。農政部はウソをついているとしか思えない。

2 新たに使用が確認された工事
 大同特殊鋼(株)からの聞き取り調査により、鉄鋼スラグを含む材料の使用工事箇所の調査を行った結果、新たに平成21年度以降の県施工26工事(以下「新たに確認された25工事」という。)については、設計書や工事関係書類により当該鉄鋼スラグの使用が確認された。新たに確認された25工事は、本件請求1にある「(大同特殊鋼渋川工場から出た)鉄鋼スラグを使用して県が実施した公共事業」であり、農政部が所管する3工事の工事関係書類は、本件請求の対象公文書であるとし、改めて決定する。
 ←【当会コメント】大同から聞き取り調査をした結果、新たに平成21年度以降の群馬県が施工した公共工事でスラグの不法投棄が判明したというが、大同も県も、聞き取り調査結果の情報を当会に開示するのを拒否した。なお、平成20年度以前にも同様に大同スラグが県農政部関連の施工工事で恒常的に使われていた可能性も否定できない。
 当庁が本件処分を行った「平成24年度(地域)県営農地整備事業(耕作放棄地解消発生防止基盤整備)萩生川西地区 補完3工事」分の工事打合わせ書については、当庁が特定したもの(平成25年4月25日付け)の前に、平成25年4月3日付けで当該工事の工事打合せ書(以下(平成25年4月3日付け工事打合せ書)という。)が当庁に別途提出されていることが確認された。平成25年4月3日付け工事打合せ書は、本件請求2にある「内部の意思決定の過程と結果がわかる情報」であり、本件請求の対象文書であるとし、改めて決定する。
 ←【当会コメント】今回新たに“発見”された2013年4月3日付の工事打合せ書では、「鉄鋼スラグの膨張安定性試験結果について、現場使用1ヶ月以内の試験結果報告書を再提出するように」と県側のコメントが付いている。これは鉄鋼スラグが遊離石灰分を含むため吸水すると膨張性を有するので、そのままでは路盤材に使えないことから、上記によるエージング促進処理を行わなければならない。この処理を行った鉄鋼スラグは常温では殆ど膨張性を示さなくなるという。しかし、大同エコメットの膨張安定性試験報告書には2013年2月製造とあり、同2月17-20日に100℃以上の蒸気残存膨張試験を行い、上記膨張比が(事前水和させる6か月以上の大気(野積み)エージングと80℃水膨張比1.5%基準を下回る)1.315%だったとある。製造直後の鉄鋼スラグのロット枠No.「34枠(F(当会注:ふっ素?)比率1:4)」の試料だけを4日間100℃以上蒸気加熱保持した後、膨張比を計測しただけなのか、それとも34枠全体のスラグを4日間100℃以上蒸気加熱でエージングして残存膨張試験をしたのか、さっぱりわからない。吾妻農業事務所職員が「膨張安定性試験は使用1ヶ月以内のため」としたのは、エージングを1か月以内という意味なのかも不明。さらに成分試験は2012年6月1日、物性試験は同11月29日のデータを添付してある。このように亜移動のデタラメな材料の試験結果を、県職員が内容チェックもせずに材料承認していたことだけは分かる。
 工事関係書類における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号ロ及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益とを比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と代表取締役の印影」について考えるが、そもそも当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。よって、条例第14条第2号口及び第3号ただし書に該当しない。
 ←【当会コメント】これだけ有害物質を農業地帯の営農環境中にまき散らしておいても、食の安全よりも、原因者である大同や佐藤、そして県自身の保護のほうが大切だというのだから、いかに「官業優先、住民軽視」の行政であるかがわかる。

<環境森林部の判断>
 当庁は上記審査会答申を尊重し、以下のとおり判断する。

 申立人が本件請求の請求情報(2)に関連して存在するはずと主張の内部協議情報について、森林土木工事で定めていた、標準仕様書等は平成19年10月1日から群馬県土木工事標準仕様書に技術基準の統一を行っており、原則として同一方針で行っている。平成22年度に県土整備部から発出された「砕石骨材(クラッシャラン:C-40及びC-100)にクラッシャラン鉄鋼スラグ(CS-40)をブレンドした骨材の取扱いについて(通知)」(以下「本件通知」という。)に対しては、森林土木工事として特殊性を考慮する必要がないもので、同一方針として内部協議は行っていない。そのため、通知に対しての内部協議資料、同一方針とする内規、方針決定に関する事務要領も存在しない。
 ←【当会コメント】本来、環境森林部はこのような大規模なサンパイ不法投棄問題では、率先して他部署を指導しなければならない立場にあるはず。にもかかわらず、県土整備部の通知に対する回答が、農政部と全く同じ内容なのは、自らサンパイの監視役という重要な役割を放棄したのも同然である。
 審査会は当庁に対して条例第30条第4項に基づく調査を実施し、申立人が主張する公文書の作成、保有の有無を確認するため森林保全課において公文書の確認を行ったが、本件公文書として特定すべき文書の存在は認められなかった。
 ←【当会コメント】環境森林部は内部協議資料等について、審査会の調査でも見つからなかったなどと他人事のように主張しているが、本来、環境森林部はこのような大規模なサンパイ不法投棄問題では、率先して他部署を指導しなければならない立場にあるはず。それなのに「特定すべき文書の存在は認められなかった」と主張するだけでは、自らサンパイの監視役を放棄していたことを認めているに過ぎない。
 次に本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」は条例第14条の2号、「代表取締役の印影」は条例第14条第3号イに該当する。条例第14条第2号口及び第3号ただし書の規定は、当該情報を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益と、これを公にしないことにより保護される権利利益と比較衡量し、前者の利益を保護することの必要性が上回るときにはこれを開示する趣旨である。そこで、本件処分における非開示部分である「個人の氏名及び印影」と「代表取締役の印影」は、当該非開示部分を公にすることにより保護される人の生命、健康等の利益の内容やその程度が明確でなく、それを公にする必要性を認めるだけの特段の事情もないため、これらを公にしない利益との比較衡量により人の生命、健康等を保護する利益が優先し、何人にも公にすることが必要であると判断することはできない。よって条例第14条第2号口及び第3号ただし書に該当しない。
 ←【当会コメント】これだけ有害物質を郷土の山河にまき散らしておいても、県民の生命、健康等の安全や財産の保全よりも、原因者である大同や佐藤、そして県自身の保護のほうが大切だというのだから、いかに「官業優先、住民軽視」の行政であるかがわかる。
********************

■以上が、6月5日付の決定書の内容です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告・この項続く】
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