市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

若宮苑不正給付事件・・・当会会員が県知事に早急な事件対応を促すべく公開質問状を提出

2017-06-26 23:30:00 | 高崎市の行政問題
■群馬県のホームページを見ると「介護保険のあらまし」と題する記事があり、介護保険のしくみのことを解説しています。
http://www.pref.gunma.jp/02/d0110064.html
 この中で「Q3:保険給付に係る費用の財源はどのようになっているの?」という質問に対して、次の回答が掲載してあります。
A3:市町村が「制度の運営主体」となりますが、介護サービス費用の90%又は80%(残り10%又は20%は利用者が負担)を国、県、市町村、被保険者の保険料で賄います。具体的財源構成は、公費(在宅分は国25%、県12.5%、市町村12.5%、施設分は国20%、県17.5%、市町村12.5%)と第1号被保険者(65歳以上の方)保険料22%、第2号被保険者(40歳から64歳までの方で医療保険加入者)保険料28%で構成されます。
 介護保険制度によれば、要介護認定を受けた人は介護保険サービスを利用することができるとされています。そして、在宅のサービスを利用する場合には、居宅介護支援事業者(介護支援専門員)に介護サービス計画(ケアプラン)を作成してもらい、施設のサービスを利用する場合は、施設の介護支援専門員がケアプランを作成することになっています。そのケアプランが偽造された、として高崎市在住の当会会員は高崎市に対して、不正に支払われた介護サービス費用を取り戻してほしいと、再三にわたり高崎市長に要請しましたが、なぜか対応が鈍く、しびれを切らせた当会会員は住民監査請求を経て、現在前橋地裁で高崎市を相手取り行政訴訟(事件番号:平成28年(行ウ)第7号、事件名:不当利得等請求住民訴訟事件)を係争中です。次回口頭弁論は7月5日の予定です。

■このように高崎市が、介護保険制度のルール違反に対して寛容な対応を取り続けているため、当会会員は介護保険給付の財源の一部(12.5%)を負担している群馬県に対して、しかるべき措置を講じるように要請しています。ところが既報の通り、5月29日(月)15時に当会副代表以下、当会会員計4名が県庁14階の介護高齢課を訪れて早期の対応の実施を求めようとした際に、あろうことか、隣の部屋に文書法制課行政対象暴力対策係所属職員ら3名を配備し、当会関係者の発言や動静を盗聴したのでした。

 ネット情報のWikipediaによれば、「行政対象暴力とは、暴力団その他の反社会的勢力、またはコンプライアンスを遵守せず人権感覚の欠如した企業・団体・個人等が、金銭や各種の利権その他の経済的利益を供与させるために、地方公共団体その他の行政機関又はその職員などを対象として、威力等を背景に違法又は不当な要求を行う行為一般のことで、対行政暴力、官対象暴力とも称する。後者を縮めて官暴と称する場合もある」と定義づけられています。

 さらに、「大まかに言えば民事介入暴力の類型の一つであり、脅迫または強迫によって義務のないことを行わされる点では同一のものであると言える。大きく異なるのは、行政機関に対して金品の直接的な要求だけではなく便宜供与(行政指導あるいは許認可)を求めるケースが多い点にあり、その結果的、被害者たる行政機関(あるいは行政機関の職員)が不適切な公権力の行使により新たな不法行為を犯すおそれがある。その後さらに、このことを理由にしてさらなる不当要求をされるおそれもある。そのようなことが起これば、一般的に行政に求められる無謬性、効率性、公平性等が損なわれ、行政機関の統治機構としての正統性が低下することになる」とあります。

 そして、行政対象暴力の背景や特徴として「行政対象暴力は、民事介入暴力に比べて新たに発生した問題であるため、比較的対策が遅れていたが、企業対象暴力への対応を参考とし、弁護士会等と連携して講習を行い、さらに、不当要求への組織的な対応を規定したコンプライアンス(法令遵守)条例や要綱を制定する動きが見られ[5]、対策が進められている。また、行政対象暴力は暴力団だけが引き起こすとは限らない。団体・個人等もコンプライアンスの欠如、人権感覚のない者を中心として、これらの行為がなされる場合もある。一般には暴力団などが実体のない政治団体(右翼標榜暴力団)などの肩書きを隠れ蓑に要求を通そうとするケースや、同和団体など市民運動や社会運動を標榜する者からの不当要求が多く、暴力団などについては基本的には暴力団対策法により対処が行われることになる」としています。

 具体的な対策としては、「暴力団ではない者の場合は暴対法での対応ができないので、コンプライアンスを遵守しながら、代理人である場合は基本権限の確認や、対応マニュアルに沿った慎重な対応を行う必要がある。ただし悪質な場合に対応するために、各行政機関では行政対象暴力の排除についてもマニュアル化されつつあり、監視カメラや録音機の設置された部屋で警備員同席のもとで応対したり、庁舎管理等に関する省令・訓令・条例等により訪問者に退去命令を出したりすることがある。さらに悪質な場合には、不退去罪などといった法令を適用し警察力で排除することもやむを得ないとする場合も多い」というものです。

 群馬県は、当会会員のやむにやまれぬ相談や要請に対して、なんと「行政対象暴力対策」というとんでもない対応をとっていたことがわかります。不正行為に対して目をつぶっている高崎市にかわって、きちんと法にもとづく行政対応を群馬県にお願いしても、オンブズマンのことを暴力団と同じレベルで見ている行政の姿勢が、今回の事件で改めて浮き彫りにされました。

■そうした仕打ちを受けたにもかかわらず当会会員は、なんとかしてこの偽造ケアプランに対する介護保険サービスで支払われた公費を回収するよう、今度は書面で群馬県知事あてに公開質問状を6月26日付で提出しました。内容は次の通りです。

*****県知事あて公開質問状*****
                            平成29年6月26日
〒370-8570
群馬県前橋市大手町1-1-1
群馬県知事 大澤正明 殿

㏄:群馬県内指定介護事業者各位 殿
cc:群馬県介護老人保健施設協会 殿
                           要介護者の尊厳を守る会
                           副会長    岩崎 優

                           支援団体
                           市民オンブズマン群馬
            公 開 質 問 状
     件名:高崎市長の公金流用に対する告発について
  (犯罪者に介護報酬を与える高崎市のデタラメ介護保険運営)
 前略
 高崎市から指定を受けた介護老人保健施設〝若宮苑〟が私文書偽造のケアプランを作成したにも拘わらず、高崎市長は、公権力を嵩に懸け偽造ケアプランに〝介護保険の財源〟を流用する始末です。つまり、高崎市長は犯罪者に介護報酬を与えているのです。

 この事件について、貴職に報酬返還の協力を求めましたが、次の回答を発表されました。
『所管行政庁である高崎市が対応することであるので、県として現時点で調査したり告発したりする予定はありません。』 (平成29年6月16日 介護高齢課長 田村 裕)
※当会注:2017年6月16日付および4月13日付の群馬県介護高齢課の田村課長から届いた高崎市介護サービス費不正支払に関する見解についての回答状 PDF ⇒
20170616sos2.pdf

 しかし、都道府県の役割は、指定介護事業者のみに、行政指導を実施するだけではありません。
 現行の介護保険法では〝都道府県〟の義務として次の条文が明確に規定されています。

介護保険法 第5条2
 都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、市町村に対し必要な指導及び適切な援助をしなければならない。

介護保険法 第24条
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、介護給付(居宅介護住宅改修費の支給及び介護予防住宅改修費の支給を除く。) に関して必要があると認めるときは、居宅サービス等を行なった者又はこれを使用する者に対し、その行った居宅サービス等に関し、報告もしくは当該居宅サービス等の提供の記録、帳簿書類その他の物件の提示を命じ、又は当該職員に質問させることができる。

介護保険法 第24条2
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要があると認めるときは、介護給付等を受けた被保険者又は被保険者であった者に対し、当該介護給付等に係る居宅サービス等(以下「介護給付等対象サービス」という。) の内容に関し、報告を命じ、又は当該職員に質問させることができる。

介護保険法 第76条・83条・90条 (略)

介護保険法 第100条
 都道府県知事又は市町村長は、必要があると認めるときは、介護老人保健施設の開設者、介護老人保健施設の管理者若しくは医師その他の従業者(以下「介護老人保健施設の開設者」という。) に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、介護老人保健施設の開設者等に対し出頭を求め、又は当該職員に、介護老人保健施設の開設者等に対して質問させ、若しくは介護老人保健施設、介護老人保健施設の開設者の事務所その他介護老人保健施設の運営に関係のある場所に立ち入り、その設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

介護保険法 第197条
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、市町村に対し、保険給付の効果に対する評価のためその他必要があると認めるときは、その事実の実施の状況に関する報告を求めることができる。

これらの事務は、地方自治法上(245条の4)において、自治事務として整理されています。
このため、厚生労働大臣は都道府県の役割として、公費を拠出している立場から、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、適正かつ効率的な保険事業運営及び適正な保険給付等の確保を図るため、次の業務を徹底指導しています。
① 都道府県は市町村に対し、自治事務として実施する介護保険事業に関する指導。
② 定例的な介護サービス事業者等に対する指導。
③ 介護サービス事業者等に対する指定基準違反、不正請求等の行政監査。
④ 緊急時の介護老人保健施設に対する行政監査。

  (指定介護老人福祉施設は老人福祉法、指定介護療養型医療施設は医療法で実施。)

 現に、厚労省においても、『第3期介護給付適正化計画』に関する指針(老介発0829第1号)と標記して、老健局介護保険計画課長より告発等については、次の通達がなされています。
 ① 指導監督との連携
 (2) 苦情・告発・通報情報の適切な把握及び分析
  介護給付費通知を受け取った受給者等からの苦情も含めて、保険者、都道府県又は国保連によせられた事業者に関する不適切なサービス提供、介護報酬不正請求等の苦情・告発・通報情報等の適切な把握及び分析を行い、事業者に対する指導監督を実施すること。

 さらに、厚生労働省老健局・全国介護保険指導監査・担当課長会議において刑事告発については、指導や監査においての虚偽答弁、妨害の検査忌避を行う悪質なものについては介護保険法に基づく罰則規定の適用、犯罪の恐れがあるものについては、警察、検察当局ともよく協議され、刑事告発について通達がなされています。
 この刑事告発については、次の条文が規定されています。

刑事訴訟法 第239条・2項
 官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。

 これらの法律と照らし合わせても、偽造ケアプランに介護報酬を与える高崎市長の公金流用事件については、介護保険法云々以前の問題であり、県民全体の利益の損失です。
 冒頭でも述べた通り、市町村を保険者とする介護保険制度では、都道府県は、市町村に対し、『介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、必要な指導及び助言をしなければならない。』と、明確に規定されています。

 しかし、平成29年6月16日付 介護高齢課長(田村     裕)の回答は次の通りです。
『所管行政庁である高崎市が対応することであるので、県として現時点で調査したり告発したりする予定はありません。』 (平成29年6月16日 介護高齢課長 田村   裕)

 この回答は介護保険法違反でありますので、直ちに撤回を求めます。

 貴職におかれましては、中核市である高崎市と前橋市については、『中核市長が対応する』と回答していますが、明らかに介護保険法   第5条に違反している不作為回答です。
 このことは、日々の厳しい環境で適正な事業運営に取り組んでいる介護事業者や従業者を裏切る行為でもあります。

 ここで改めて法律に基づく質問を提示し、回答を要請します。

【質問1】 介護保険法 第5条に基づく質問
 高崎市長の公金流用について、貴職は介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるように、高崎市長に対し、必要な指導を行うのですか? それとも行わないのですか?

            いずれかに○印でお示し下さい。 (行う ・ 行わない)

【質問2】 刑事訴訟法第239条・2項に基づく質問
 介護高齢課長である田村 裕殿は公務員として、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、一般論として『告発を行います。』と回答しました。
 本件についての『高崎市長の公金流用』及び『若宮苑の私文書偽造事件』についは、鑑定書を提示しましたが、犯罪があると思料しましたか?   それとも思料しませんか?

            いずれかに○印でお示し下さい。 (思料した ・ 思料しない)

【質問3】平成29年6月16日付・介護高齢課長(田村裕)の回答の撤回についての質問
 本件は、『所管行政庁である高崎市が対応することである。』
 この回答を撤回しますか? それとも撤回しませんか?

            いずれかに○印でお示し下さい。 (撤回する ・ 撤回しない)

【質問4】平成29年5月29日の盗聴の目的についての質問
 群馬県健康福祉部介護高齢課(県庁14階)において、介護保険制度への信頼維持及び利用者保護の観点から〝高崎市の不正給付隠蔽事件〟についての相談中に盗聴行為を行う職員がいましたが、当該職員の氏名と盗聴の目的を教えて下さい。
            当該職員の氏名(     ・     ・      
            盗聴の目的(                    
 また、盗聴行為を指摘したら『警察を呼ぶぞ』と発言した職員がいましたが、当該職員の所属と氏名を教えて下さい。
       『警察を呼ぶぞ』と発言した職員の所属・氏名(    ・     )

 以上を質問と致しますが貴職におかれましては、〝高崎市の不正給付隠蔽事件〟を初め、〝若宮苑の私文書偽造ケアプラン〟等の不適切な介護サービスが明らかになっていますので、厳正に群馬県としての行政監査を実施する必要があり、また、告発を行うことにより介護給付の適正化を図ることを通じて、持続可能な介護保険制度の構築に資すると考えます。

 つきましては、上記質問事項に対する貴職のご回答を文書にしたためて頂き平成29年7月13日(木)限りに、下記に郵送にてご回答頂きますようお願い申し上げます。


                   記

        〒370-0883  高崎市剣崎町906番地
        要介護者の尊厳を守る会   副会長 岩崎 優
            携 帯:090-9839-8702
            事務局:027-343-2610

       添付資料1:前橋地方裁判所から指定された鑑定人により偽造と鑑定された筆跡鑑定書                一式

       添付資料2:偽造ケアプラン                 一式


 ※ 指定介護事業者 各位殿

 本件についての詳細は、Web検索またはYou Tubeからご試聴いただけます。
なお、本状の回答については『市政をひらく安中市民の会』のホームページをご覧ください。

       http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2325.html

                                 以上
**********

■オンブズマン活動について、実際には行政側にとって「行政対象暴力」として認識されているという本末転倒な誤解を解くためにも、ぜひ群馬県知事においては、当会会員からの公開質問状に対して誠意ある回答をされるよう、強く要請したいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (2)
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