市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…校報・弁護士費用不開示処分の審査請求で審査会が答申

2018-03-30 23:49:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専では、運営に関する情報を取りまとめた「校報」が年1回(2016年度以前は年2回)発行されており、その中には教職員の異動や退職等に関する人事情報を取りまとめたセクションがあって、群馬高専のホームページ上でも公開されていました。

群馬高専HPに掲載されている最新「校報」の表紙。以前と異なり「校内のみ」とだけ書かれた白紙のページが目立つ。
※「校報」第130号 ⇒ http://www.gunma-ct.ac.jp/gakko/pdf/kouhou/kouhou130.pdf

 しかし西尾前校長体制下の16年10月に突如全面非公開とされてしまい、さらに17年3月に当会が直接群馬高専に赴いて閲覧を求めたところ、完全非公開措置が取られていることが発覚しました。さらに17年6月の面談時に山崎新校長にこの件について問い質したところ、適当な屁理屈を並べ立て、西尾前校長の情報隠匿路線を追認する構えを見せました。

 状況を重く見た当会では、非公開に関して正当な理由が無いことを証明するため17年8月に「校報」人事情報について情報公開請求を行いましたが、翌月届いた通知は、かつて公開していた分以外は全面不開示とする強硬極まりないものでした。こうして当会では、この全面不開示処分に対し、17年10月に審査請求を申し立てていました。

 またこれとは別に、群馬高専アカハラ関連文書不開示処分取消訴訟において高専機構(実質的には群馬高専)が任用している弁護士の報酬額を把握するため、17年10月に弁護士費用情報に関する開示請求を提出しましたが、これも翌11月全面不開示とされたため、同月中に審査請求を申し立てていました。

 この2件に関する今までの流れは以下の記事をご覧ください。

★「校報」人事情報の関連記事
○2017年3月17日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・校内発行刊行物「校報」人事関係情報も外部に隠す体質浮彫り
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2264.html
○2017年10月11日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示への審査請求と山崎校長の思惑
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2435.html
○2017年11月24日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示の審査請求で群馬高専から理由説明書
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2474.html
○2017年11月25日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「校報」人事情報不開示の審査請求で総務省審査会へ意見書送付
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2477.html

★アカハラ訴訟弁護士費用情報の関連記事
○2017年10月13日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…群馬高専と高専機構の経理についてのレポート
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2436.html
○2017年11月16日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ情報不開示取消訴訟の弁護士費用がほぼ不開示とされる
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2462.html
○2017年11月17日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…アカハラ隠蔽を受け継ぐ山崎現校長の弁護士費用不開示に審査請求
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2463.html
○2018年1月17日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…「弁護士費用」部分開示審査請求で高専機構の理由説明書が届く
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2530.html
○2018年1月19日:アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…弁護士費用情報不開示の審査請求で総務省審査会へ意見書送付
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2534.html

■こうして総務省審査会の審議の俎上に載っていた「校報」人事情報不開示・弁護士費用情報不開示の2件についての審査請求ですが、2018年3月30日、この2件に対する答申書が同時に、当会事務局宛てに送付されてきました。結論から言えば、この答申はどちらも群馬高専の行った全面不開示処分を否定し、部分的にあるいは全ての開示を支持するものでした。

 ではさっそく答申の内容について見てみましょう。なお、審査会の結論とその理由を除いた、それぞれの主張に関する部分は、基本的に当会の審査請求書・意見書、機構の理由書と同一のため、ここでは審査会の結論・理由のみ抜粋します。全文は併載のPDFファイルにてご覧ください。

*****「校報」人事情報に関する答申*****全文PDF⇒ 20180329_kouhou_tousin_zenbun.pdf
第1 審査会の結論
   「特定高等専門学校「校報」第A号 人事関係(特定頁a~b)」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした決定については,審査請求人が開示すべきとする部分のうち,別紙に掲げる部分を開示すべきである。

第5 審査会の判断の理由
 1 本件対象文書について
   本件開示請求は,特定高等専門学校「校報」の開示を求めるものであり,処分庁は,本件対象文書につき,その一部を法5条1号及び4号ヘに該当するとして不開示とする原処分を行った。
   審査請求人は,「機構が不開示とした情報のうち,教職員の育児休業に関する情報を除いたすべて」(以下「本件不開示部分」という。)は開示すべきであるとして,原処分の取消しを求めるところ,諮問庁は,本件不開示部分は法5条1号及び4号ヘに該当し,原処分を維持すべきである旨説明することから,以下,本件対象文書の見分結果を踏まえ,本件不開示部分の不開示情報該当性について検討する。
 2 本件不開示部分の不開示情報該当性について
 (1)法5条1号該当性について
   ア 本件不開示部分は,いずれも,特定高等専門学校の教職員(元教職員を含む。以下同じ。)の氏名等の記載とあいまって,当該各教職員に係る法5条1号本文前段に規定する個人に関する情報であって,特定の個人を識別できるものに該当すると認められる。
   イ 別紙に掲げる部分について
     当審査会において特定高等専門学校のウェブサイトを確認すると,本件不開示部分のうち,別紙の1ないし6に掲げる部分に記載されている情報は当該ウェブサイトに掲載されている特定刊行物(バックナンバー),別紙の8及び別紙の9に掲げる部分に記載されている情報は特定高等専門学校におけるトピックスを紹介するページにおいてこれと同一の内容が公にされており,また,別紙の7に掲げる部分に記載されている情報は,各学科に所属する教員を紹介するページの記載を追跡して確認することで把握可能な情報であることが認められる。
     諮問庁は,特定高等専門学校における本件対象文書それ自体の作成目的,公表に係る方針等を根拠として,本件対象文書の不開示部分はいずれも法5条1号ただし書イに該当しない旨説明していると解されるが,別紙に掲げる各部分については,当該部分に記載された「情報」と同一の情報を特定高等専門学校がウェブサイトにおいて学内外を問わず公にしているのであるから,この諮問庁の説明は明らかに失当であって,当該部分は同号ただし書イに該当し,同号に規定する不開示情報には該当しないと認められる。
   ウ 別紙に掲げる部分を除く部分について
     当該部分については,法5条1号ただし書イないしヘに該当するとすべき事情は認められない。
     法6条2項による部分開示の検討を行うと,上記イの判断によって氏名等が開示される教職員に係る部分は同項による部分開示の余地はなく,その余の教職員に係る部分のうち,氏名,職名等は,特定の個人を識別できることとなる記述等の部分に該当することから同項による部分開示の余地はなく,その余の部分は,これを公にすることにより当該個人の知人等一定の範囲の者に個人が特定され,その権利利益を害するおそれがないとは認められないので,同項による部分開示はできない。
     したがって,当該部分は法5条1号に該当し,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。
 (2)別紙に掲げる部分の法5条4号ヘ該当性について
    諮問庁は,本件不開示部分は法5条4号ヘに該当する旨主張するが,別紙に掲げる部分に記載された情報は,既に発令され,関係者間では当然周知されている情報であることはもとより,同等の情報が特定高等専門学校のウェブサイトにおいて公にされているのであるから,このウェブサイト掲載が問題視されることこそあれ,開示請求に対して別紙に掲げる部分を公にすることが公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれにつながるとはおよそ認め難い。したがって,当該部分は同号ヘには該当しない。
 3 審査請求人のその他の主張について
   審査請求人はその他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
 4 本件一部開示決定の妥当性について
   以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号及び4号ヘに該当するとして不開示とした決定については,審査請求人が開示すべきとする部分のうち,別紙に掲げる部分を除く部分は,同条1号に該当すると認められるので,同条4号ヘについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当であるが,別紙に掲げる部分は,同条1号及び4号ヘのいずれにも該当せず,開示すべきであると判断した。

*****別紙(本件不開示部分のうち開示すべき部分)*****PDF⇒
 1 「退職」に係る不開示部分のうち,①「退職理由」欄の記載及び②技術補佐員に係る記載(特定刊行物に掲載されたものを除く。)のいずれにも該当しない部分
 2 「退職(人事交流者)」に係る不開示部分(全部)
 3 「配置換(転出)」に係る不開示部分(全部)
 4 「採用」に係る不開示部分のうち,技術補佐員に係る記載(特定刊行物に掲載されたものを除く。)を除いた部分
 5 「配置換(転入)」に係る不開示部分(全部)
 6 「採用(人事交流)」に係る不開示部分(全部)
 7 「昇任」に係る不開示部分のうち,教員に係る部分
 8 「名誉教授」に係る不開示部分(全部)
 9 「表彰」に係る不開示部分(全部)
**********

■次に弁護士費用情報に関する審査会から諮問庁への答申を示します。

*****弁護士費用情報に関する答申*****全文PDF⇒ 20180329_bengosihiyou_tousin_zenbun.pdf
第1 審査会の結論
   下記の2文書(以下,併せて「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とした各決定については,審査請求人が開示すべきとする部分のうち,別紙の1ないし4に掲げる部分を開示すべきである。
  文書1 平成28年度支払決議書
  文書2 委任契約書

第5 審査会の判断の理由
 1 本件対象文書について
   本件開示請求は,機構が代理人として選任した弁護士の所属する法律事務所との委任契約等に関する文書の開示を求めるものであり,処分庁は,本件対象文書を特定し,その一部を法5条1号,2号イ並びに4号柱書き及びニに該当するとして不開示とする処分を行った。
   審査請求人は,原処分における文書1の「不開示部分1」(起票者氏名)については開示を求めておらず,「不開示部分2」のうち印影や口座番号等情報を除いた部分(「起票部署」,「摘要のうち内訳に該当する部分」,「支払決議書番号」,「支払管理番号」及び「品名/件名のうち内訳に該当する部分」)及び「不開示部分3」(「相手先」,「支払先口座」,「合計金額」,「支払金額」,「消費税額」及び「配分金額」)並びに文書2(全部不開示)は開示すべきであるとして,原処分の取消しを求めており,諮問庁は,審査請求人が開示すべきとする各部分(以下,併せて「本件不開示部分」という。)は法5条1号,2号イ並びに4号柱書き及びニに該当し,原処分を維持すべきである旨説明していると解されるので,以下,本件対象文書の見分結果を踏まえ,本件不開示部分の不開示情報該当性について検討する。
 2 本件不開示部分の不開示情報該当性について
  (1) 文書1について
   ア 「起票部署」,「摘要のうち内訳に該当する部分」,「支払決議書番号」,「支払管理番号」及び「品名/件名のうち内訳に該当する部分」について
   (ア)「起票部署」について
     諮問庁は,当該部分を公にした場合には,当該業務に携わった担当者が他の情報と照合することにより,特定の個人を容易に推測されることになると説明しており,これは法5条1号本文後段に該当する旨の主張であると解される。
      しかしながら,当該部分は支払事務を行った部署名の記載であることから,法5条1号ただし書きハに該当し,同号の不開示情報には該当しない。
   (イ)「支払決議書番号」及び「支払管理番号」について
     諮問庁は,当該部分を公にした場合には,特定専門学校における支払業務に関わる件数から事業規模が明らかになり,当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると説明しており,これは法5条4号柱書きに該当する旨の主張であると解される。
     しかしながら,これらの番号から仮に年間の支払業務の件数が明らかになったとしても,それが機構(特定専門学校)の行う事業そのもの又は取引先としての評価の低下を招く等といった具体的支障は想定し難く,また,これらの番号を公にすること自体が外部からの不正な働きかけ等により機構の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれを招く等とすべき事情も認め難い。したがって,当該部分は法5条4号柱書きには該当しない。
   (ウ)「摘要のうち内訳に該当する部分」及び「品名/件名のうち内訳に該当する部分」について
     諮問庁は,当該部分を公にした場合には,事務処理上の機微にわたり業務内容が容易に推測されることになり,当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると説明しており,これは法5条4号柱書きに該当する旨の主張であると解される。
     しかしながら,当該部分には,支払の名目が一般的な名称を用いて記載されているのみであって,これが事務処理上の機微にわたる情報であるとすべき事情も,当該記載が示す業務内容が明らかになることが事務の適正な遂行に支障を及ぼすとすべき事情も認め難い。したがって,当該部分は法5条4号柱書きには該当しない。
   (エ)以上のことから,「起票部署」,「摘要のうち内訳に該当する部分」,「支払決議書番号」,「支払管理番号」及び「品名/件名のうち内訳に該当する部分」(別紙の1に掲げる部分)は,法5条1号及び4号柱書きには該当せず,開示すべきである。
   イ 「相手先」,「支払先口座」,「合計金額」,「支払金額」,「消費税額」及び「配分金額」について
    諮問庁は,当該部分を公にした場合には,個々の事案の具体的事情や弁護士業務の機微にわたる事柄が推測できることとなるから,報酬等の金額の情報を公にした場合,現在係争中の案件の具体的事情等が推測され,当該弁護士等の今後の業務に影響を及ぼし,当該弁護士等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると説明しており,開示決定通知書の記載を勘案すると,これは法5条2号イ並びに4号柱書き及びニに該当する旨の主張であると解される。
   (ア)「相手先」について
     当該部分は支払いの相手先である弁護士の氏名の記載であるところ,機構の訴訟代理人である弁護士の氏名は,特段の事情がない限り,公にしても当該事業を営む個人の正当な利益を害することになるとはいえず,事業活動上の不利益を生じるおそれもないと考えられるところ,当該弁護士の氏名を開示しても,機構の訴訟代理人を受任したことが明らかになるのみで特段の事情は認め難いから,法5条2号イに該当しない。
     したがって,当該部分(別紙の2に掲げる部分)は法5条2号イ並びに4号柱書き及びニには該当せず,開示すべきである。
   (イ)「支払先口座」,「合計金額」,「支払金額」,「消費税額」及び「配分金額」について
     当該部分に記載された情報は,通常公にされることのない,弁護士が事業を行う上での内部管理情報及び個別具体の業務に係る報酬等の金額であることから,これを公にすることにより当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとする諮問庁の説明は否定し難い。
     したがって,当該部分はいずれも法5条2号イに該当し,同条4号柱書き及びニについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。
 (2)文書2について
    諮問庁は,文書2を公にしていないという事実及び委任契約の必要性を前提に,文書2に記載された法律事務所の名称及び住所,弁護士の氏名,委任する業務の具体的内容等の情報については,訴訟事案の性質に鑑み,これを公にした場合,当該弁護士の業務に影響を及ぼし,当該弁護士の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとし,さらに報酬等の事項については,不開示理由は文書1の報酬等に係る部分と同様である旨説明しており,これは法5条2号イ並びに4号柱書き及びニに該当する旨の主張であると解される。
   ア 表題及び本文の1行目について
     当該部分には,機構と弁護士の間で委任契約が締結されたという事実を示す簡潔かつ一般的な文言が記載されているのみであって,契約の内容等に関する具体的な情報は含まれていないことから,これを公にすることにより当該弁護士の業務に影響を及ぼし,当該弁護士等の権利,競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとは認め難く,また,機構の争訟の追行や,事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとも認め難い。
     したがって,当該部分(別紙の3に掲げる部分)はいずれも法5条2号イ並びに4号柱書き及びニには該当せず,開示すべきである。
   イ 契約当事者の住所(事務所所在地)及び氏名が記載された部分について
     機構が委任契約の契約当事者であること及びその住所(事務所所在地)は既に明らかであるから,これを開示することにより機構の争訟の追行や,事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認め難い。
     また,他方当事者である弁護士の氏名が不開示情報に該当しないことは上記(1)イ(ア)で判断したとおりであり,弁護士の氏名が不開示情報に該当しない場合,当該弁護士の住所(事務所所在地)は日本弁護士連合会のウェブサイトにて検索可能であるから,これも不開示情報に該当しない。
     以上のことから,当該部分(別紙の4に掲げる部分)はいずれも法5条2号イ並びに4号柱書き及びニには該当せず,開示すべきである。
   ウ 本文の2行目以降及び弁護士の印影について
     本文の2行目以降は,機構と委任契約を締結した弁護士の,特定の契約における具体的な契約条件が記載されたものであることから,これを公にすることにより当該弁護士の権利,競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがあるとする諮問庁の説明は否定しがたい。また,当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,弁護士の印影の不開示情報該当性について改めて確認させたところ,諮問庁は,当該印影については,これを公にすることにより文書の偽造等に悪用され,弁護士の権利,競争上の地位その他の正当な利益を害するおそれがある旨説明する。この諮問庁の説明は否定しがたい。
     したがって,当該部分はいずれも法5条2号イに該当し,同条4号柱書き及びニについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。
   エ 機構側の印影について
     当審査会事務局職員をして,諮問庁に対し,機構側の印影の不開示情報該当性について改めて確認させたところ,諮問庁は,当該印影は,契約を行った特定職に係る印影であることから,これを公にすることにより文書の偽造等に悪用され,機構の事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある旨説明する。この諮問庁の説明は否定しがたい。
     したがって,当該部分は法5条4号柱書きに該当し,同号ニについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当である。
 3 審査請求人のその他の主張について
   審査請求人はその他種々主張するが,いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。
 4 本件各決定の妥当性について
   以上のことから,本件対象文書につき,その一部を法5条1号,2号イ並びに4号柱書き及びニに該当するとして不開示とした各決定については,審査請求人が開示すべきとする部分のうち,別紙の1ないし別紙の4に掲げる部分を除く部分は同条2号イ及び4号柱書きに該当すると認められるので,同号ニについて判断するまでもなく,不開示としたことは妥当であるが,別紙の1ないし別紙の4に掲げる部分は同条1号,2号イ並びに4号柱書き及びニのいずれにも該当せず,開示すべきであると判断した。

*****別紙(本件不開示部分のうち開示すべき部分)*****PDF⇒ 20180329_bengosihiyou_sinsakai_tousin_bessi.pdf
 1 文書1の不開示部分のうち,「起票部署」,「摘要のうち内訳に該当する部分」,「支払決議書番号」,「支払管理番号」及び「品名/件名のうち内訳に該当する部分」
 2 文書1の不開示部分のうち,「相手先」
 3 文書2のうち,表題及び本文の1行目
 4 文書2のうち,契約当事者の住所(事務所所在地)及び氏名が記載された部分
**********

■さて、上の答申をお読みいただければ一目瞭然のとおり、2件とも群馬高専が行った全面黒塗り処分が間違いであったと示されたことになります。すなわち、山崎体制が行ってきた文書徹底不開示による徹底抗戦作戦には明確にヒビが入ったということです。

 とくに、「校報」人事情報については、ほとんどすべての公開が認められ、当会が情報提供によって非公開を把握してから約1年、実際に西尾典眞前校長によって非公開処分が為されてから約1年半を経て、ようやく群馬高専側のハチャメチャな主張が晴れて完全崩壊を迎えたことになります。

 「校報」人事情報公開の意義は、理不尽な懲罰人事や、縁故主義・身内主義による人事や表彰・名誉教授認定のチェックがなされやすくなるということです。少しでも学校に逆らった者、学校に不都合な者を馘首することは、山崎校長はともかく、西尾前校長であれば涼しい顔をして平気で行ったでしょうし、昇進・表彰・名誉教授認定にあたっても、「忖度」が入らない可能性がゼロとは言えません。これらは刊行物やサイトでも閲覧できる、というのが建前ですが、校長の裁量で「見られたくない」人物を載せないということはいくらでもできてしまいますし、まして、「校報」人事情報が非公開にされた次に、教員名簿や各種情報の公表が差し止められてしまえば、いよいよ全ての情報が闇の中に葬られてしまいます。

 西尾前校長も、この点が分かっていたからこそ「校報」に目を付け、山崎校長もあれほど必死になって西尾前校長の行為を是認していたのだな、と感じます。今後西尾前校長を凌ぐ「悪意の校長」が就任し、群馬高専を更なる情報隠蔽専門学校にしてしまう可能性は小さくはありません。だからこそ、今回の「校報」人事情報非公表問題は小さく見えて大変に重要な問題であると、当会では考えております。

 さらにこれで、山崎校長が徹底してきた西尾前校長追従路線の軸のひとつが、実質的に初めて否定されたことになります。山崎校長ひきいる群馬高専が徹底抗戦の為に繰り出してきた屁理屈がようやく公的に間違いだと証明されたわけですから、当会としてこれは山崎校長就任以来のひとつのターニングポイントと言ってもよいほどに大きな進歩であると感じております。

 これまで徹底的に時間稼ぎをして延命措置を繰り返し、「白黒付けない」状況を維持することで正当性を保っていた山崎校長ですが、確実にひとつは白黒付いてしまいましたから、今後どのように対応を切り替えていくのか、大変に注目が集まります。

■しかし、今回の答申では当会の完封勝利とはいかなかったのもまた事実です。とくに、弁護士費用情報不開示に関しては、完全不開示は否定されたものの、肝心の費用情報に関しては開示が認められませんでした。当会として、開示が妥当とする答申例等を根拠としていくつも資料として添付したにも関わらず、審議が1日で終了していることといい、答申書を読んでも機構の主張を鵜呑みにしているとしか見えないことといい、まったく検討された形跡がありません。

 当会の長年のオンブズマン活動の経験から言っても、少なくとも県や市町村レベルでは弁護士情報は通例問題なく開示されるもので、その感覚からあまりに乖離しており驚きを隠せません。

 「校報」に関しては審議に2日を要し、極めて妥当な答申が出されたにも関わらず、弁護士費用に関してこの惨状はどうしたことかと考えを巡らせてみましたが、第5部会が過去に、答申例を無視して一度弁護士費用を不開示としてしまったことから、もはやメンツとして問答無用とし続けるしかないのかもしれません。

 となると、審査会はもはや頼れませんから、国民に与えられている2つの不開示撤回手段のうちもうひとつ、すなわち裁判所を使って不開示措置を撤回させることになります。

 いずれにせよ、費用情報以外は開示されることから、今後引き続き不開示の取消しを求めるにしても、論点が単一・明確化してくれることになるので、当会としてはうれしいものです。

■今回の答申を受けて、群馬高専も開示決定を出さざるを得ませんが、開示はどんなに早くとも4月下旬、おそらく5月になることが見込まれます。少なくとも今回の答申並みの開示をしていれば昨年9月には受け取れていたにも関わらず、「校報」人事情報については8か月以上も当会に無駄手間と時間をかけさせたわけですから、裁定の責任者である山崎校長からは何かしらの言葉がいただきたいものです。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

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