市政をひらく安中市民の会・市民オンブズマン群馬

1995年に群馬県安中市で起きた51億円詐欺横領事件に敢然と取組む市民団体と保守王国群馬県のオンブズマン組織の活動記録

安中市の0.5%を中国資本が占める安中メガソーラー計画…東電に送電線敷設について問い合わせ中

2017-09-19 23:06:00 | 安中市内の大規模開発計画

■安中市の東南端の丘陵地帯で造成中の首都圏ではトップクラスの発電量となる安中ソーラー合同会社によるメガソーラー建設のための造成工事は、着工後約1年が経過しました。ところが、肝心の東京電力の送電網に連系する目途が立たないまま、群馬県が大規模開発条例による建設許可を出してしまったため、工事はズサンを極め、計画予定地内に5㏊あまり存在する里道や水路などの公有地の払い下げについては、払下げ申請前に重機を入れて造成工事を始める始末でした。さらに、予定地に隣接する市道の占有許可申請をしないまま勝手に排水パイプを敷設するなど、その無法ぶりは、さすがに中国資本の影を引きずる事業者ならではと言えるでしょう。
 そうした中、着工後半年が経過した今年の4月に、事業者の意向を受けた東京電力が安中市役所に、送電線を市道の下に敷設して、もよりの高圧送電網に接続させたい、として下話をしたことが、最近になって判明しました。また、群馬県に対しては、県道を横切って送電ルートを確保するために、既に何回か安中土木事務所を訪れて下話をしていることが分かりました。

安中ソーラー合同会社「安中太陽光発電設備」2019年完工予定、場所:群馬県安中市、林地開発案件:約137万m2、太陽電池モジュール:63.2MW /PCS:42.8MW。

 さらに、地元岩野谷地区の4区から6区の区長らや、隣の東横野地区の6区の区長らにも送電線の設置に関わる相談を行ったことが判明しました。

■しかしその際、東京電力は、地元区長らから「地権者がOKするならそれでよい」という言質を得ただけで、送電ルートにあたる地元住民に対して説明会を開催するということは一切、提案していないことが明らかになりました。

 そのため、当会では、2017年9月17日に、東京電力のホームページから、次の問い合わせを行いました。
※東京電力のHP:東京電力エナジーパートナー「経営や事業活動に関するお問い合わせ」
http://www.tepco.co.jp/ep/support/index-j.html
〇「各種手続き・サポート・お問い合わせ」経営や事業活動に関するご意見・ご要望 ※次ページに記載の注意事項をお読みになり お送りいただきますようお願いいたします。
http://www.tepco.co.jp/ep/echo/index-j.html

**********2017年9月17日22時10分送信
https://www4.tepco.co.jp/cgi-bin/cformmail/cformmail.pl.cgi
 安中市岩野谷地区で進行中の関東地方で最大級のメガソーラー発電施設の建設工事が、安中ソーラー合同会社により実施されています。事業者によれば、当初、パワーコンディショナーの配置場所を富岡市側に予定し、そこから発電した電力を小桑原地区を通過して、IHIエアロスペースの西側の山にある貴社の磯部線または西毛線の66kV特別高圧鉄塔まで県道に沿って合計8本の45m鉄塔を貴社が新設する計画でしたが、2016年7月に貴社からこの計画を聞かされた小桑原地区の住民の皆さんは、メガソーラー設置による気象変動や森林伐採による生態系の変動、とりわけイノシシによる農作物への被害の不安があるのと、高圧送電線が地区の住宅地の上空を切り裂く状況は到底容認できないとして、臨時総会を開催し、全員一致で「貴社の計画には協力できない」ということを貴社に伝えました。
 そのため、貴社では送電ルートを変更し、貴社関連会社である東京電力パワーグリッド㈱群馬総支社用地グループが今年4月12日(月)午前10時に安中市役所を訪れ、安中市側への送電線新設工事に関して地元区長らへの説明結果及び今後の予定について報告しました。また、県道前橋安中富岡線を経由して岩野谷6区の市道に送電線を埋設する件で、県道を管理する安中土木事務所に数回計画説明と県道における送電線埋設工事の相談をしています。
 つきましては、次の事項についてお願いがあります。
①地元代表区長や関連する各地元区長に説明したところ地権者がOKならよい、と言われたそうですが、工事で公道の道路占用を行うことから地元住民への説明会の開催の予定はありますか。もし未定であれば、ぜひ各地区の区長に開催の申し入れをしてください。
②現在の送電線の建設計画(工期、費用、ルート、工法などを含む)について教えてください。
 ご多用のところ恐縮ですが、折り返しご返事をください。

**********

■これに対して、東京電力ホールディングスの100%子会社の東京電力パワーグリッド㈱群馬総支社(〒371-0805 前橋市南町3-60-3)の用地グループ担当・高橋氏(電話0278-98-4143)から、9月19日(火)18時06分、当会に次の内容の電話がありました。

 それによると、「このほど頂いたお取合せに対する回答については、現在社内で検討中なので、折り返しの本日19日の時点では回答できませんので、その旨連絡させていただきます」というものでした。

 これに対して当会からは「おおよその回答時期について、教えてください」とお願いしましたが、「検討してからになります」という返事でした。

■高圧の送電鉄塔が立ち並び、送電線が空中を切り裂くような風景は、これ以上、増やしたくありません。しかもそれが、中国の影を引きずるタックスヘイブンの外資会社が設立した特別目的会社=合同会社の事業のためなのであれば、なおさらです。

 外資による群馬県内のメガソーラー建設プロジェクトとしては、201ね11月7日に県北部の高山村にスペイン資本によるメガソーラー施設が稼働開始しました。これはスペインのマドリードに本社を持つ建設会社イソルクス・コルサン社が高山村のゴルフ場跡地に34MWのメガソーラーを建設したもので、建設費は9000万ユーロ(106億円)といわれています。詳しくはこの記事の末尾の参考情報をご覧ください。

 高山村の場合、このスペイン資本によるメガソーラーは、実在するスペインのゼネコンが、太陽光発電事業に関わる子会社の日本法人GTSジャパン㈱を通じてEPC(設計・調達・建設)作業により建設したものです。実態のある企業が進めていることから、責任の所在は明確です。

 しかし、安中ソーラー合同会社の場合は、タックスヘイブンのペーパー会社によって設立されたもので、EPC(設計・調達・建設)作業は全て外部の日本企業に丸投げをしています。しかも、総額140億円という用地買収費(20億円か)と造成費、機器設置・調整費(計120億円か)は、日本のメガバンクの三井住友信託銀行が融資をしたものです。よって、この事業の責任の所在は、一体誰なのか、不安でなりません。

■このように、首都圏の上流部の広大な里山森林地帯が大規模に伐採され、造成され、いままさに太陽光施設が作られようとしていますが、驚くべきことは、当会が計画当初から指摘した国家安全上及び国土保安上の観点からの問題点について、群馬県など行政はもとより、元地権者の日刊スポーツ新聞社やその元締めの朝日新聞、さらに予定地に隣接するIHIエアロスペースや、肝心の日本政府の国家安全保障会議や防衛省さえも、全く無関心であることです。

 東電からいつどのような回答説明があるのかどうか、予断を許しませんが、当会は我が国の主権確保の観点から、このメガソーラー施設計画の行く末をきっちりと見極めてゆく所存です。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

※参考情報
**********「東京電力パワーグリッド株式会社」
種類    株式会社
市場情報  非上場
略称    東電PG
本社所在地 〒100-8560 東京都千代田区内幸町1丁目1番3号
設立    2015年(平成27年)4月1日
業種    電気・ガス業
法人番号  3010001166927
事業内容  一般送配電事業、不動産賃貸事業、離島における発電事業
代表者   金子禎則(代表取締役社長)
資本金   800億円
決算期   3月31日
主要株主  東京電力ホールディングス(100%)
外部リンク http://www.tepco.co.jp/pg/index-j.html
【概説】東京電力パワーグリッド株式会社は、関東地方と静岡県東部を供給区域とする一般送配電事業者である。東京電力ホールディングスの100%子会社であり、2016年(平成28年)4月1日、東京電力の持株会社への移行により、実質的に発足した(会社設立は2015年(平成27年)4月1日)。
 東京電力パワーグリッドは、送電用・配電用の設備を維持・運用し、小売電気事業者のような事業者を相手に、送配電のサービスを提供する会社である。
持株会社への移行前の東京電力が、発電・送配電・小売供給の全てを行っていたのとは異なり、東京電力パワーグリッドは、大規模な発電所を持たず、通常の電力小売供給は行わない。ただし、東京都の離島である伊豆諸島と小笠原諸島では、例外的に発電所を所有し、発電・送配電・小売供給の全てを行っている。
 コーポレート・アイデンティティについて、東京電力の持株会社体制発足に伴い、持株会社と他2社の事業会社は「TEPCO」をベースとしたロゴマークが制定されたが、東京電力パワーグリッドは、送配電事業の中立性を担保するため、他の持株会社や2つの事業会社とは異なる独自商標を制定した。
 常に電気を送り続けることを象徴する「エタニティーマーク」を、安定感がある直線図形で表現。がっちりとした握手にも見える形状は、顧客や事業パートナーの信頼を「絶対に裏切らない」という意思を表している。

**********PressDigitalJapan 2016年11月11日19時48分
スペイン建設会社ISOLUXが群馬県でメガソーラーの建設を完了

 スペインの建設会社Isolux Corsan社が日本群馬県東郡高山村ゴルフ場跡地に34Mwhのメガソーラー建設を完了、東京電力の送電網と通電したと発表した。 建設費は9000万ユーロだった。
 建設が完了したメガソーラー(大規模太陽光発電所)は、34メガワット毎時の出力を誇り、15,000世帯の電力をまかなうことが出来、12,000トンのCO2排出削減を実現することができる。
 ただ、Isoluxの太陽光発電事業者T-Solar社の日本法人GTS株式会社が発電業者となるが、T-Solarは現在20億ユーロの負債を抱えており、経営再建を行っている。
※参考情報
<イソラックスグループ 概要>
会社名   Grupo Isolux Corsan, S.A.
事業内容  EPC(設計・調達・建設)、インフラ事業、電力事業、公共施設運営事業
設立    1928年
本社    マドリッド市、スペイン
<ティーソーラー社 概要>
会社名   Grupo T-Solar Global, S.A.
事業内容  太陽光発電事業
設立    2006年10月
本社    マドリッド市、スペイン
株主    Grupo Isolux Corsan, S.A.

**********日経テクノロジーonline 2016/11/09 15:31
群馬県のゴルフ場跡で31MW、スペイン企業がメガソーラー稼働

↑Isolux Corsan社が手掛けた太陽光発電所の例(出所:Isolux Corsan社)↑
 スペインの建設会社であるIsolux Corsan社は11月7日、群馬県において、出力約31.2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)が売電を開始したと発表した。
 同社は、電力関連設備も多く手掛けている。日本においては、初めての太陽光発電プロジェクトとなる。同社グループの日本法人、Isolux Engineering合同会社がEPC(設計・調達・施工)サービスを担当した。
 発電事業者も、Isoluxグループの太陽光発電事業者であるスペインGrupo T-Solar社の日本法人となる。
 群馬県の中北部にある、吾妻郡の高山村に立地する。ゴルフ場の跡地に開発した。敷地面積は約81.65haとなっている。
 総投資額は約9000万ユーロ(約103億円)としている。年間発電量は、一般家庭1万5000世帯以上の消費電力に相当する、34GWhを見込んでいる。
 太陽光パネルは10万638枚、パワーコンディショナー(PCS)は26台、それぞれ設置した。
 Grupo T-Solar社は、スペインをはじめ、イタリア、インド、ペルー、米国において太陽光発電所を開発しており、稼働中・施工中の案件は合計316MWとなっている。稼働済みの太陽光発電所による2015年の合計年間発電量は410GWhとなった。
 Isolux Corsan社の太陽光発電所のEPCサービスは、稼働済みで合計出力766MWの実績がある。
(加藤 伸一=日経BPクリーンテック研究所)

**********日経テクノロジーonline 2016/03/16 00:20
群馬の山間部のゴルフ場跡に31MW、スペイン企業がメガソーラー
 スペインの建設会社であるIsolux Corsan社は3月14日、群馬県において、出力31.2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設していると発表した。
 群馬県の中北部、吾妻郡の高山村に立地する。総予算は約6000万ユーロ(約75億3600万円)としている。ゴルフ場の跡地に開発しており、敷地面積は約80haとなっている。
 同社グループにとって、日本において初めての太陽光発電プロジェクトとなる。山間部の複雑な傾斜地に設置する難題に挑んでいるとする。
 すでに、発電設備の一部(first line)は、連系用の変電所まで通電しているという。このメガソーラーの変電所は、22kV/154kV対応のGIS(ガス絶縁開閉装置)を備えている。
 3月17日には、さらに一部(second line)が変電所まで通電する。10月28日に、東京電力の送電網に連系する予定となっている。
 EPC(設計・調達・施工)サービスは、日本法人である「Isolux Engineering合同会社」が担当している。
 発電事業者は、Isoluxグループの太陽光発電事業者であるスペインGrupo T-Solar社の日本法人、「GTS株式会社」となる。GTS株式会社は、SPV(特別目的事業体)である、「Shinsen Kankyo Local System」を通じて設立したとしている。
(加藤 伸一=日経BPクリーンテック研究所)

**********O&G LINKS Mar 22, 2016
Shinsen Kankyo to Invest in Solar Power Plant in Japan
Mar 18 - Progressive Digital Media - Deals
Shinsen Kankyo Local System, a solar power generation company, has agreed to invest EUR60 million ( USD66.87 million ) in the construction and development of Takayama - mura mega solar power plant in Takayama city, Gunma prefecture, Japan . The total installed capacity of the power plant will be 31.2 MW. The investment per MW will be USD2.14 million. The solar power plant will be connected to the national grid through Tokyo Electric Power Company, Inc., (TEPCO) and is expected to become operational on October 28, 2016 . The engineering, procurement, and construction services for the project will be provided by Isolux Engineering G.K. Shinsen Kankyo Local System is a joint venture between Isolux Corsanand GTS KK.
<Related Press Releases>
Jul 04, 2017 : Isolux Corsán applies for bankruptcy proceedings
Jun 21, 2017 : Grupo Isolux Corsán, S.A.’s 2017 General Shareholders’ Meeting: availability of the resolutions’ proposal..
Jun 02, 2017 : Isolux has formulated full year 2016 accounts and advances in the sale process of its EPC business
May 22, 2017 : Isolux takes part in the Civil Engineering Week of Madrid
May 17, 2017 : Isolux completes its first road project in Slovakia
Apr 10, 2017 : Isolux has hired Alvarez & Marsal as advisors for the restructuring process
Mar 31, 2017 : Isolux Corsán avoids the declaration of bankruptcy by filing the communication foreseen under rule 5 ..
Mar 28, 2017 : The Board of Directors of Isolux delay the formulation of its annual account until March 31
Mar 01, 2017 : Isolux colaborates fully with the justice system in the investigation of allegedly irregular behaviour..
Jan 19, 2017 : Isolux awarded contracts in Argentina for a total value of 148 millon euros
<Related News>
Aug 14, 2017 Indiana completes takeover of I-69 extension section
Jun 29, 2017 Kenya Says Major Wind Power Line to be Ready in Three Months
Apr 05, 2017 Bolivia Demands Spanish Firm to Resume Work on Hydroelectric
Nov 30, 2016 Soltec to provide single-axis trackers for 38MW project in Navajo Nation
Nov 29, 2016 Argentina: 516 MW of solar awarded at USD 54.95 per MWh
Nov 29, 2016 Soltec to supply tracking systems for 38-MW solar project in Navajo Nation
Oct 25, 2016 Isolux Corsan sells a wind farm in Argentina for 25 million dollars to Sideli and Sidsel
Oct 08, 2016 Argentina expects $1.8 billion investment from renewable energy auction
Mar 22, 2016 Shinsen Kankyo to Invest in Solar Power Plant in Japan
Mar 15, 2016 Isolux Corsan participates in a Mega Solar PV project in JapanRelated Articles

**********日経BP 2016/09/12 15:59
関東最大規模の63MW、群馬県安中市のメガソーラーが着工
米国企業が出資、EPCは東芝プラントシステム


「安中太陽光発電所」の完成予想図(出所:東芝プラントシステム)
 群馬県安中市大谷野殿地区に計画されていた出力63.2MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)プロジェクトが今年9月に着工に向け、動き出した。発電所名は、「安中太陽光発電所」で、2019年内の営業運転開始を目指す。
 事業用地は、日刊スポーツの計画していたゴルフ場建設予定地。連系出力は42.8MW、太陽光パネルの設置容量63.2MWとなり、関東地方で最大規模のメガソーラーとなる。事業区域は136.98haで、このうち71.53haの森林を開発する。造成対象は約92.1haとなり、盛土と切土はそれぞれ327万7000m3に達する。調整池は3基で総容量6万2770m3を設置する。
 今年7月15日に開催された群馬県森林審議会でこうした建設工事計画が了承され、8月8日に群馬県が林地開発許可を出した。  
 発電事業者は、特定目的会社(SPC)の安中ソーラー(東京都港区)で、同社には米デラウエア州に本社のあるグレート・ディスカバリー・ホールディングス社が出資する。EPC(設計・調達・施工)サービスは、東芝プラントシステム(横浜市)が担当する。太陽光パネルとパワーコンディショナー(PCS)の製造企業は未公表。
 東芝プラントシステムは、2010 年度からメガソーラーの建設を手掛け、これまでに受注した累計総発電量は約 600MWに達する。V字-三角形状の基礎一体型架台「KiTy システム」を独自開発したほか、ドローン(無人小型ヘリコプター)を使用した地形計測・3D レ ーザー計測技術なども運用している。
(金子憲治=日経BPクリーンテック研究所)
**********
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大同有毒スラグを斬る!…鉄鋼スラグ連絡会議のメンバーの渋川市長が交代!スラグ撤去はどうなる?

2017-09-18 23:53:00 | スラグ不法投棄問題
■(株)佐藤建設工業が、盛り土材などその販売する全て建設資材に、大同特殊鋼由来の猛毒スラグを無秩序に混ぜて群馬県内に広く不法投棄した問題で、国土交通省・群馬県県土整備部・渋川市などの工事実施主体は、「鉄鋼スラグ連絡会議」という廃棄物行政について“何の決定権限”もないのに、ほぼ“スラグを撤去せず放置”するという無責任極まりない対策方針を打ち出しました。そして、不法廃棄物に認定された有害スラグを廃棄物処理法によらず、超法規的に、強引に問題解決してしまおうとしています。(スラグ連絡会議については末尾参照)

 鉄鋼スラグ連絡会議では、渋川市が国土交通省と共に、スラグを撤去せずアスファルトで蓋をすることを強力に推し進めた?ことが漏れ伝わってきています。その渋川市では、先日市長選挙が行われ、新たな市長が誕生した模様です。市長交代劇が、大同有害スラグ問題にどう影響するか、当会ならずとも関心がもたれるところです。さっそく新聞報道を見てまいりましょう。

**********2017年9月14日毎日新聞地方版
高木・市長 初登庁/群馬
 渋川市長選で初当選した高木勉市長(65)が13日、初登庁した。市役所本庁舎駐車場であった式典で、高木市長は、集まった職員と支持者ら約500人に「市民に開かれ、奉仕する市役所にしたい。職員の皆さんは市民のために思い切りバットを振ってください。空振り三振は評価します。失敗したら全て私が責任を取ります」と決意を語った。
 高木市長は初登庁後、記者会見で「人口減少危機突破が当面、最大の仕事。対策本部を庁内に設置して、企業誘致を中心に解決策を模索したい」との考えを述べた。公約に掲げた保育料の完全無料化については「財源を精査して来年度当初予算に向けて検討したい」とした。
 このほか「市長選などを通じて身近な生活環境に対する市民の不満が強いと感じた」として、出先機関の各行政センターに権限と財源を与えて、要望に迅速に応える体制に変えていきたいとした。【吉田勝】
**********

■どうやら、渋川新市長の関心事は「人口減少」が最大の関心事のようですが、続いて「身近な生活環境に対する市民の不満が強いと感じた」と述べ、生活環境にも関心があるようです。この生活環境について新市長が正しい理解をしていることを切に願うところですが、まずは環境基本法などを読み、「生活環境」とはどのような定義であるのか、よくよく勉強して欲しいものです。

 当会は、渋川市において最優先のテーマである「生活環境」の喫緊の課題としては、大同有害スラグ不法投棄問題だと考えております。大同スラグは生活環境である土壌を汚染するおそれがあり、雨水により水質汚染にまで発展するおそれがあります。すなわち、土壌と共に地下水も「生活環境」であることを特に認識しなければなりません。さすれば、大同スラグを撤去せずアスファルトで蓋をすることが、いかに間違った施策であるかが分かるはずです。

■渋川新市長の初の記者会見で「生活環境」に触れられたことで、大同有害スラグ問題に進展があるか期待したいところです。ところが、その新市長就任式で前代未聞の珍事が繰り広げられ、スラグ問題の行く先に暗雲がまたもや垂れ込めそうだ、という情報が当会にもたらされました。

 市長に当選すると、初登庁する際に就任式が行われます。その模様を見ていきましょう。動画サイトYouTubeに動画がアップされていますので司会のアナウンスを紹介します。
※動画はこちら→https://youtu.be/kZHlHWYtK0A

**********
司会:渋川市長高木勉初登庁式・就任式を開式いたします。


司会:まず初めに、須田まさる渋川市議会議長からご祝辞をお願いいたします。
※写真の出典は群馬テレビの動画です(YouTube)。以下同じ。↓
https://youtu.be/Xr2GO-u4IVE


司会:続いて、職員を代表して田中副市長から歓迎の言葉を申し上げます。
※次のYouTubeの動画に5:15のところで、確かに上記のように司会がアナウンスしています。↓
https://youtu.be/kZHlHWYtK0A?t=5m15s


花束贈呈の後、司会:それではここで、高木市長から就任のご挨拶をお願いいたします。

■このように渋川市長初登庁式・就任式が執り行われたようです。お目出たい就任式にケチをつける気持ちなど毛頭ありませんが、“あれ?”と疑問を抱く就任式となっています。それは・・・・・

〇渋川市議会を代表して → 議会議長 があいさつ
〇渋川市職員を代表して → 副市長  があいさつ
〇それを受けて     → 新市長  があいさつ


となっていることです。「市長」と名がつく方が2名も挨拶しています。特に渋川市職員代表者による挨拶が問題です。地方公務員法を見ていきましょう。

**********地方公務員法第3条抜粋*********
(一般職に属する地方公務員及び特別職に属する地方公務員)
第三条 地方公務員(地方公共団体及び特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。以下同じ。)のすべての公務員をいう。以下同じ。)の職は、一般職と特別職とに分ける。
2 一般職は、特別職に属する職以外の一切の職とする。
3 特別職は、次に掲げる職とする。
一 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職
**********

■このように、渋川市に限らず、地方公共団体の職員には一般職と特別職の二種類の公務員がいます。特別職とは、選挙で選ばれた市長や、その市長に任命され議会で承認を得られた副市長などが挙げられます。

 ここで渋川市の新市長就任式を振り返ってみましょう。「職員を代表して」田中副市長が挨拶を行っていますが、大変疑問であり、問題があると言わざるを得ません。ポイントを整理してみましょう。

疑問点① 職員を代表して、特別職が挨拶していること

疑問点② 渋川市全体が、地方公務員法を読んだことがない無法者によって支配されていること

疑問点③ この副市長が、なんと選挙に落選した前市長により任命された副市長であること

 ではそれぞれの疑問点について考察を加えてみましょう。

疑問点① 職員を代表して、特別職が挨拶していること

 新市長就任式でのあいさつですから、最後に新市長が挨拶しています。当たり前と言えるでしょう。法律でいえば市長は選挙で選ばれた特別職です。しかしこの新市長の挨拶より前に、もう一人の特別職である副市長が挨拶しています。副市長は文字通り、市長をサポートする立場の者です。このような式典では市長の後ろに控えるのが健全な地方公共団体の特別職というものでしょう。何を勘違して副市長が渋川市職員の前にしゃしゃり出ているのでしょうか?

疑問点② 渋川市全体が、地方公務員法を読んだことがない無法者によって支配されていること

 なぜ二人の特別職が挨拶するのでしょうか? 動画では司会が、「職員を代表して」と副市長を紹介しています。通常、コンプライアンス(法令順守)がしっかりした地方公共団体では、総務部長や建設部長が挨拶をするところですが、地方公務員法を読んだことのない者により、就任式が企画されたのでしょうか?特別職である副市長が挨拶しています。

 渋川市の行事なのですから、「職員を代表して」挨拶するなら、やはり地方公務員法を基本に企画を進めて欲しいものです。さもないと、職員を含め、渋川市では法令を守ろうとする気構えが希薄である印象を受けてしまいます。“地方公務員法ぐらい読んだらどうだ!”と、渋川市民でなくとも失笑を買う就任式というところでしょう。

疑問点③ この副市長が、なんと!選挙に落選した前市長により任命された副市長であること

 田中副市長とはどのような人物なのでしょう?新聞報道を見てみましょう。

**********2016年2月24日毎日新聞群馬版
渋川市 副市長に田中氏を起用へ 談合事件で空席 /群馬
 渋川市発注の公共工事を巡り、加重収賄や官製談合防止法違反などの容疑で副市長が逮捕された問題で、市は解職で空席となっている副市長に田中猛夫企画部長(60)を起用する方針を固めた。3月1日開会の定例会で市議会の同意を得て、4月1日付で就任する見通し。
 田中氏は1979年に北橘村役場に入り、市町村合併後の渋川市で法制管理課長や行政課長を務め、13年から企画部長。3月末に定年を迎える。【高橋努】
**********

 渋川市では、阿久津・前渋川市長に任命された飯塚副市長が談合事件で逮捕されています。渋川市発注の公共工事を巡る談合事件での逮捕劇なので、当然疑惑の目が前渋川市長に向けられている中、その空席になった副市長に阿久津・前渋川市長により後任として任命されたのが田中猛夫副市長のようです。上記の報道によると、田中副市長は渋川市職員出身で、2016年3月に定年退職していることが分かります。

 こうした状況から、次の2点を指摘したいと思います。

〇田中副市長は、前市長により任命された副市長であるので、なぜ前市長が落選し新市長が誕生した段階で、辞表を提出しないのでしょうか?新たな副市長が決まるまで職に留まりたいのなら、暫定的に渋川市の副市長であるので、なぜ「俺が俺が」でシャシャリ出て挨拶したのでしょうか?どちらにしても、自分の立場が分かっていない、つまりコンプライアンス(遵法精神)に乏しい副市長と言えるでしょう。

○この田中副市長は、既に定年を迎えた元一般職の地方公務員です。通常であれば長く渋川職員を勤め上げたわけだから、地方公務員法に精通していなければならない立場の筈です。たとえ「職員を代表して」挨拶することを強く要請されたとしても、地方公務員法に精通している人物であれば、「挨拶を辞退」するのがジョーシキでしょう。


■当会では、大同特殊鋼渋川工場が六価クロムやフッ素が環境基準を超えて含まれていることを知りながら、スラグを群馬県中に情け容赦なく投棄された大同有害スラグ不法投棄問題に取り組んでいます。中でも、大同特殊鋼渋川工場がある渋川市が廃棄物処理法を正しく理解し、住民の生活環境を保全すべく行動し、群馬県に模範となるような態度で施策を実行することが、大同スラグの排出自治体に求められていると考えています。

 新渋川市長の記者会見で「生活環境」に触れられたことで、大いに大同スラグ撤去に向け、期待をもちたいところではありますが、就任式の無法ブリを見るとき暗雲が立ち込め、またしても法律が正しく履行されない悪夢が広がって見えるのです。

【市民オンブズマン群馬・大同有毒スラグ不法投棄特別調査チーム・この項続く】

※参考資料:鉄鋼スラグ連絡会議について
 大同特殊鋼渋川工場由来の有害スラグについては、群馬県廃棄物リサイクル課が有価物であることを否定し、廃棄物に認定しています。群馬県内の廃棄物については、群馬県廃棄物リサイクル課が監督官庁です。有価物であることを否定され廃棄物である大同有害スラグは、群馬県廃棄物リサイクル課が、廃棄物処理法に則り適正に処理するよう指導監督しなければなりません。他方、国土交通省・群馬県県土整備部・渋川市などの工事実施主体で構成される鉄鋼スラグ連絡会議は、廃棄物の適正な処理について、何の権限も有していません。
○第1回 鉄鋼スラグに関する連絡会議
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000223.html
○第2回 鉄鋼スラグに関する連絡会議
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000234.html
○第3回 鉄鋼スラグに関する連絡会議
http://www.pref.gunma.jp/06/h8000259.html
○2015年11月22日:大同スラグ問題を斬る!・・・第3回鉄鋼スラグ連絡会議のその後
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1809.html#readmore
○2015年11月15日:大同スラグ問題を斬れるのか!…第3回鉄鋼スラグ連絡会議の討議内容から見えてくる行政側の思惑
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1799.html#readmore
●スラグ廃棄物認定についてはこちら↓
○2015年9月13日:大同スラグ問題を斬る!…警察の強制捜査に併せて群馬県が公表した大同スラグの調査結果から見えてくるもの
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/1723.html#readmore
●廃棄物スラグの適正な処理についてはこちら↓
〇2016年10月5日:大同有害スラグ問題を斬る!・・・豊洲の土壌汚染問題で都知事が所信表明!群馬県との大違いを徹底検証(2)
http://pink.ap.teacup.com/ogawaken/2136.html#readmore
**********

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専…西尾前校長の選任過程と現所属先を機構と文科省が開示通知か

2017-09-17 23:29:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿極まるアカデミックハラスメント(アカハラ)事件。この忌まわしい事件に関連する情報公開請求に対して、群馬高専側が存否応答拒否を含む完全不開示決定をしたため、当会は異議申立てを経て1年ほどかかってようやく群馬高専側の存否応答拒否を引っ込めさせました。そこで再度、群馬高専側にアカハラに関する情報開示請求をしたところ、またもや全面不開示処分とされてしまいました。そこで当会は群馬高専の上級機関である国立高等専門学校機構を被告として、不開示処分取消請求のための行政訴訟を行ない、先日9月1日に第6回口頭弁論が東京地裁で開かれ、11月24日(金)13時25分に判決が言い渡されることになりました。

文科省大臣官房人事課任用班から届いた2通の開示に係る決定通知が同封された封筒。

 一方で、2017年6月6日に当会と群馬高専の山崎新校長らとの面談を通じて、アカハラ事件の情報公開と原因者の処分にきわめて消極的だった西尾典眞前校長が、事件のけじめをつけないまま2017年4月1日に古巣の文部科学省に戻ったことについて、残念ながら、山崎新体制下においてもなお、同前校長の責任追及について不熱心であることが判明しました。山崎新校長は、深刻なアカハラ事件を振り返るよりも、今後はそうした不祥事を二度と起こさないという決意を強調されました。

 しかし当会は、アカハラ事件がなぜどのように起きて、学校側がどのような対応をしたことで、多数の被害者を生んでしまったのかをきちんと検証する必要があると考えております。その一因として、教育者としての経験を持たぬ文科省の官僚がなぜ国立高専の校長に就任できたのか、その選任過程を調べる必要があると当会は痛感しました。

■そのため、当会は2017年8月14日付で、独立行政法人国立高等専門学校機構に対して、次の内容の情報公開請求を行いました。

**********
1、群馬工業高等専門学校「校報」第127号、129号及び131号のうち、教職員の異動者・退職者の氏名・事由等を記した人事関係欄。特に、公的性質の強い常勤教員に関する情報。
2、群馬工業高等専門学校の西尾典眞元校長に関し、平成25年に貴法人が彼を当該校に配置したことに関わる辞令等の一切の文書。特に、赴任当時に設定されていた任期に関わる情報。なお、この情報に関しては学校長の公的任務に関するものであり、公共性・公的性質が非常に高いものであることを付記する。
3、平成27年6月に弊団体が貴法人に提出した群馬高専におけるアカデミックハラスメント事件に関する文書への開示請求、およびそれを貴法人が不開示としたことに対し平成28年3月に総理府の情報公開・個人情報保護審査会が行った答申を受けて、貴法人が平成28年3月、群馬高専に最初に送付した、当該開示請求に対する十数枚に及ぶとされる処分決定書の原案。

**********

■また同じく2017年8月14日に、文部科学大臣あてに、次の内容で情報開示請求を行いました。

**********PDF ⇒ img_20170815bjitj.pdf
文部科学省職員の西尾典眞氏が、平成25年に独立行政法人国立高等専門学校機構へ出向した際に交付された人事異動通知書
**********

■さらに西尾前校長が本省のどの部署に戻ったのかを知るのと、さらにその後別の組織・法人に出向した可能性もあることから、2017年9月1日に次の内容で文部科学大臣あてに情報開示請求を行いました。

**********PDF ⇒ 20170901sjizj.pdf
文部科学省職員の西尾典眞氏に対して、平成29年3月から現在までに交付された人事異動通知書
**********

■これらついて、請求から1か月以内に開示にかかる決定通知があるため、機構及び文科省からの連絡を待っていたところ、9月14日11時18分に機構の総務課から電話がありました。聞くと、開示決定通知を発出予定しているが、項目1に関連して、今年度から「校報」の発行を年2回にしたため、まだ今年度の校報は未発行だが、それでもいいか、との確認の電話でした。総務課の担当者いわく「現在編集中なのでもう少し開示を遅らせれば間に合う」とのことでしたが、「後日、別途開示請求するので、とりあえず、請求した分だけでよいです」と返事をしました。一両日中にも、開示に係る決定通知が到来するものと見られます。

 一方、9月16日に、文部科学省の大臣官房人事課任用班から次の2件の行政文書開示決定通知書が当会事務局あてに郵送されてきました。
※平成29年9月13日付け29受文科人第205号「行政文書開示決定通知書」
PDF ⇒ 20170913jmih25lmj.pdf
※平成29年9月14日付け29受文科人第206号「行政文書開示決定通知書」
PDF ⇒ 20170914jmih29lmj.pdf

 こちらはさっそく、今度の水曜日あたりに直接文科省の本省2階の文書情報管理室で開示を受けることにしたいと思います。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アカハラと寮生死亡事件に揺れる群馬高専・・・9月1日第6回口頭弁論で結審!判決は11月24日

2017-09-17 20:48:00 | 群馬高専アカハラ問題
■群馬高専の電子情報工学科を舞台に発生した陰湿極まるアカデミックハラスメント(アカハラ)事件。この忌まわしい事件に関連する情報公開請求に対して、群馬高専側が存否応答拒否を含む完全不開示決定をしたため、当会は異議申立てを経て1年ほどかかってようやく群馬高専側の存否応答拒否を引っ込めさせました。そこで再度、群馬高専側にアカハラに関する情報開示請求をしたのですが、またもや全面不開示処分とされてしまいました。当会は現在、群馬高専の上級機関である国立高等専門学校機構を被告として、不開示処分取消請求のための行政訴訟を行っています。その第6回口頭弁論が、2017年9月1日(金)14時25分から東京地裁5階の522号法廷で開かれました。

2017年9月1日(金)午後2時過ぎの東京地裁前の様子。


手前が旧文部省庁舎。すぐ背後のビルが文科省の入る合同庁舎ビル。

 当日は東京地裁に赴く前に、午後1時半ごろ文科省を訪れて、群馬高専前校長の西尾典眞・文科省職員に関する「平成29年3月から現在までに交付された人事異動通知書」の行政文書開示請求書を提出しました。
※2017年9月1日提出の行政文書開示請求書PDF ⇒ 20170901sjizj.pdf

 開示請求手続きそのものはものの3分で終了したため、午後3時からの東京地裁からの第6回口頭弁論まで時間があったので、向かい側の旧文科省建物の3階にある展示室を見て回りました。


旧文部省庁舎の説明文。



高等専門学校の紹介文。

折からこの日は英国のメイ首相が来日中。

 そして徒歩で東京地裁に赴きましたが、それでも2時20分に到着したので、522号法廷の壁に貼ってある法廷表を書き写した後、2時30分から開始された前2件の裁判を傍聴しました。

*****東京地裁開廷表*****
522号法廷(5階)開廷表
平成29年9月1日 金曜日
●開始/終了/予定 10:30/10:40/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第249号/難民の認定をしない処分取消請求事件
○当事者      ユルドゥルム・ヴァッカス/国
○代理人           ―      /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 10:45/10:55/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第187号/住民訴訟による損害賠償等請求事件
○当事者      須田春海 外/東京都知事
○代理人        ―   /  ―  
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 11:00/11:10/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第252号/相続税更正処分等取消請求事件
○当事者      栗原直代 外/国
○代理人        ―   /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 11:10/11:20/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第260号/不認定処分取消等請求事件
○当事者      一般財団法人日本尊厳死協会/国
○代理人            ―      /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 11:15/11:25/第1回弁論
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第276号/退去強制令書発布処分取消等請求事件
○当事者      敖詩珍/国
○代理人       ― /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 11:30/13:40/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第31号・平成29年(行ウ)第134号/事業認定無効確認・収用裁決(権利取得裁決)無効確認・土地所有権確認等請求事件
○当事者      三上温子 外/東京都 外
○代理人        ―   /  ―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第272号/退去強制令書発布処分取消請求事件
○当事者      範紅彦/国
○代理人       ― /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:25/弁論(判決言渡)
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第94号/公文書部分公開決定処分取消請求事件
○当事者      指田智宏/板橋区
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 13:30/13:40/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第449号/処分取消等請求事件
○当事者      山脇哲子/港区長
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 14:00/14:10/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第557号/損害賠償請求事件
○当事者      後藤雄一/東京都知事
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 14:30/14:40/弁論【後】
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第474号/医業停止命令処分取消請求事件
○当事者      河野和彦/国
○代理人       ―  /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 14:30/14:40/弁論【先】
○事件番号/事件名 平成29年(行ウ)第143号/消費税更正処分等取消請求事件
○当事者      株式会社アルコイリス/国
○代理人          ―     /―
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳
●開始/終了/予定 15:00/15:10/弁論
○事件番号/事件名 平成28年(行ウ)第499号/法人文書不開示処分取消請求事件
○当事者      市民オンブズマン群馬/独立行政法人国立高等専門学校機構
○代理人       ―  / ― 
○担当       民事第3部 B2係
          裁判長 古田孝夫
          裁判官 貝阿彌亮
          裁判官 志村由貴
          書記官 佐藤春徳

**********

 午後2時30分から開廷された2件のうち最初の事案は平成29年(行ウ)第143号/消費税更正処分等取消請求事件で、民間会社が消費税の更正処分等の取消を求めている裁判でした。お互い弁護士同士が出廷して、裁判長と4分間ほどやり取りを交わした後、10月20日までに準備書面を提出後、次回開廷日が10月27日(金)午後1時30分と決まりました。

 次に平成28年(行ウ)第474号/医業停止命令処分取消請求事件の弁論が行われました。これは有名な認知症医が自ら管理運営するブログ「ドクターコウノの認知症」で、自身が販売に携わる健康食品の競合3商品にリンクを張り、健康被害を起こす等、虚偽の風説を流布し、各社各商品の信用を毀損したとして競合会社から告訴され、結果的に医業停止3か月間の命令処分を受けたため、その取り消しを求めて国を相手に提訴したものです。事件の詳細は原告のブログを見ると分かります。
https://ameblo.jp/29yoi65/entry-12236331713.html

 国を相手取っての訴訟ということで、決して泣き寝入りしない原告の意地がヒシヒシと伝わってきます。今回、原告側から原告本人の人証尋問の申入れがなされて、クリニックの休診日である水曜日に行うことになりました。この場合、原告側の本人尋問に約40分、被告側の反対尋問に約40分、合計1時間半でどうかと裁判長が訴訟指揮をしました。その結果、11月8日(水)午後2時から3時半を仮に設定することになりました。       

 時間は2時48分だったので、裁判長らは一旦法定から退出したので、早めに法廷内に入り待機しました。傍聴席を見ると、被告の訴訟代理人の藍澤弁護士が椅子に座っていたので、東京地裁の書記官が法廷内に入るように促しました。

 原告、被告双方が着席すると、書記官から被告の主張整理票(ヴォ―ンインデックス)が双方に配られました。



※裁判所作成のヴォーンインデックスPDF ⇒ 20170901hcfbnxijic.pdf

■そしていよいよ当会の裁判の順番が来ました。

 定刻の午後3時きっかりに、裁判長ら裁判官3名が入廷すると、書記官補佐の「ご起立ください」の声が法廷内に響きわたりました。事件番号が読み上げられるとさっそく裁判長が「それでは始めます」と宣言しました。

 裁判長が「準備書面の陳述の関係で行くと、原告側からは7月19日付けの準備書面(4)と8月24日付けの準備書面(5)ですね、これ2通、陳述していただきます」というので、原告は「はい、陳述します」と答えました。

 次に裁判長は「被告は8月18日付けの準備書面ですね?」と被告に向かって言うと、被告代理人は「はい」と答えました。裁判長は「では、これを陳述していただきます」と言いました。

 裁判長は「で、書証として原告側から甲号証14から16までですね?」と述べたので、原告は「はい」と答えました。裁判長は「被告からは乙7号証を、写しとして提出していただきました」と述べました。

 すると裁判長は「それで前回もお渡しした、(被告の)主張を整理した票を今回の主張を踏まえてリニューアルしたものを用意しました。これはもうお手元に?」と被告に質問しました。被告は「はい」と言いました。原告も「こちらも先ほどいただいております」と答えました。

 裁判長は「まあ、(被告の主張)内容を裁判所なりに解釈して、こんなものなのですけれども、書き込んだものですがよろしいでしょうか?」と被告に確認をすると、被告は「はい、異存ございません」と答えました。裁判長は原告にも「よろしいでしょうか?」と聞いてきたので、原告は、被告の主張としてはこんなものであることから「はい」と答えました。

 最後に裁判長は、「それで、原告の最後の準備書面で、“時機に遅れた攻撃で無効だ”という主張がされているが、この点は(裁判所はもとより、当事者である被告のほうとしても)十分ご判断いただいていてわかることで、(本件は申立による審議の対象として特段、扱わなくても)よろしいでしょうかね? (当事者である原告からの)一応申立てなので、申し立てがある以上は、(裁判所として)審理しなければならないのですが、それ自体申立いただければ(これが明らかに“時機に遅れた攻撃で無効である”という趣旨の主張であることは当事者間で当然)わかりますので、そういうことで(この原告からの申立について、更なる弁論や審議の対象とはしませんが、考慮はするのでその点)よろしく(ご理解を)お願いいたします」と言うので、原告としては、裁判長が当方の申立ての意味と中身をよく認識していると判断して「はい」と答えました。

 すると裁判長は「あと、無ければこれで弁論終結して、判決に行きたいと思います」と述べました。原告、被告ともに「はい」と答えたので、裁判長は「では弁論終結とします」と宣言しました。

 そのうえで、裁判長は「判決の言い渡しですが、少し先で申し訳ないが11月24日金曜日、午後1時25分。11月24日金曜日の午後1時25分に言い渡します。それではこれで」と言い残すと、陪席裁判官2名を引き連れて法廷を退出していきました。

■以上のとおり、第6回口頭弁論はわずか3分足らずで結審となりました。2016年10月26日に提訴したアカハラ情報に係る法人文書不開示処分取消請求事件は、13か月後の2017年11月24日(金)に判決となります。2015年6月26日に群馬高専のアカハラ事件に関する法人文書開示請求を行い、同年7月25日に情報非開示通知を受けてからは、2年4か月かかって、ようやく裁判所の判断が出ることになります。

 アカハラ問題をかかえるほかの国立高専に対しても影響を及ぼす本事件の判決にご注目くださるようお願いします。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中央道産廃流出事件で「生活環境に支障生ずるおそれ」で全量撤去の措置命令を出した岐阜県と群馬県の雲泥

2017-09-16 08:43:00 | スラグ不法投棄問題
■岐阜県瑞浪(みずなみ)市釜戸町の中央道で2017年8月18日午後9時半ごろ、道路脇の斜面の土砂が崩れ、高さ約1.5メートル、幅約60メートルにわたって道路内に流れ込んだため、上り線を走っていた乗用車など4台が土砂に巻き込まれ、うち2台の7~45歳の男女計6人が重軽傷を負うという事故が起きました。土砂の一部は下り線にも流れ込みました。その後、崩れた土砂に産業廃棄物が大量に混じっていたことがわかり、現場近くの陶磁器原料メーカー「丸釜釜戸陶料」の水野辰英会長は県警に対し「産廃の上に土をかぶせ、木を植えていた」と説明しました。
 県警は、現地が仮置き場ではなく投棄場所だったとして、8月24日に廃棄物処理法違反の疑いで、同社本社や工場、関係者の自宅などに家宅捜索を行いました。県警はさらに、業務上過失傷害容疑も視野に捜査しています。一方、立入検査をした岐阜県は同社が無許可で置いていた砕石などの産業廃棄物が大雨で流出したと断定し、今後の流出防止を求める措置命令を出しました。泥には長期間吸い込むと発がんリスクが高まる有害物質が含まれているため、県などは住民に防塵マスクを配布しました。そして、今回、産廃の全量撤去の措置命令に至ったものです。
**********東海テレビ2017年9月15日(金) 18:56配信

中央道産廃流出事故 岐阜県「全ての廃棄物撤去を」メーカーに措置命令 瑞浪市
 先月、岐阜県瑞浪市の中央自動車道で産業廃棄物などが流出した事故で、岐阜県は原因となったメーカーに対し、全ての廃棄物を撤去するよう措置命令を出しました。
 先月18日、瑞浪市釜戸町の中央道で起きた事故では、現場近くの「丸釜釜戸陶料」が不法投棄していた産業廃棄物などが流出しました。
 この会社の敷地内には産業廃棄物や、それを含む土砂が約4200立方メートル残っていて、岐阜県は15日、全て撤去するよう措置命令を出しました。
 措置命令では、今年12月23日までに撤去するよう求めていて、丸釜釜戸陶料の水野会長は、「迅速に撤去します」と話しているということです。
 また今回の事故を受け、県は同様の原料を扱っている県内のメーカーや廃棄物処理業者42社に立ち入り検査を行いましたが、問題のある業者はなかったということです。
**********

■東海テレビによると、中央自動車道に土砂を含む産業廃棄物が流れ込み、高速道路を寸断した事件で、岐阜県がメーカーに対し、廃棄物を撤去するよう措置命令を出しました。その措置命令の内容を見ていきましょう。

**********
平成29年9月15日(金)
岐阜県発表資料 担当課 担当者 電話番号
廃棄物対策課 大坪 敬明
内線 2710 直通 058-272-8223 FAX 058-278-2607
www.pref.gifu.lg.jp/event-calendar/c.../kouhyousiryou.pdf

丸釜釜戸陶料株式会社に対する措置命令について
 平成29年8月18日に瑞浪市釜戸町地内で発生した産業廃棄物を含む土砂等の流出事案について、平成29年8月21日付けで丸釜釜戸陶料株式会社に対して、応急措置に係る措置命令を発令し、平成29年8月29日に応急措置の完了を確認したところです。しかし、依然として産業廃棄物を含む土砂等が流出した土地及びその隣接地(以下「本 件土地」という。)には産業廃棄物並びに産業廃棄物が混合した土砂等(以下「本件産業 廃棄物」という。)が残存しています。このことから、本日付けで廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第19条の5第1項の規定に基づき、下記のとおり措置命令を発令しましたのでお知らせします。
               記
1 被命令者
(1)住 所 岐阜県瑞浪市釜戸町3115番地の2
(2)氏 名 丸釜釜戸陶料株式会社 代表取締役 水野 辰英
2 講ずべき措置の内容  本件土地に残存している本件産業廃棄物を全量撤去すること。
3 措置を命じた理由  本件産業廃棄物が本件土地から飛散及び流出等して生活環境保全上の支障が生じるおそれがあるため。
4 講ずべき措置の期限  平成29年12月23日までに上記2の措置を完了すること。
**********

■岐阜県は「産業廃棄物が飛散及び流出等して生活環境保全上の支障が生じるおそれがある」ことを理由に全量の撤去を命じています。廃棄物は廃棄物処理法に基づき適正に処分しなければなりません。具体的には廃棄物処理法施行令第7条法定の廃棄物処理施設に処分しなければなりません。岐阜県の事件では、土砂を含む産業廃棄物であるので、汚泥の水分を除去の上、破砕施設か管理型最終処分場・遮断型最終処分場に処分されることになるでしょう。

 このような処理施設に適正に処理していなければ、この事件のように飛散及び流出して生活環境保全上の支障が生ずるおそれが生じてくるのです。

 他方、群馬県にも(株)佐藤建設工業が群馬県中にばら撒いた、大同特殊鋼由来の有害スラグ不法投棄問題があります。大同有害スラグにはフッ素が含まれており、「土壌を汚染するおそれがある」と群馬県により不法投棄された廃棄物に認定されています。土壌汚染は必然的に水質汚染へと発展するおそれがあります。

 また大同スラグには、膨張する性質があり、コンクリートを持ち上げて破壊したり、アスファルトをひび割れさせたりしています。


大同有害スラグが膨張し、持ち上げられて破壊されてしまったコンクリート。生活環境が破壊されている。


大同有害スラグが原因と思われるアスファルト舗装の亀裂。ひび割れというよりは、隆起してズレ上がることによりバックリ亀裂が入っている。

■本来であれば、大同有害スラグは、有毒であることに加えて、隆起して構造物を壊すという性質から、生活環境保全上の支障が生じるおそれがあるため、群馬県内の廃棄物の監督官庁である群馬県廃棄物リサイクル課は、廃棄物処理法第19条の5の規定により全量の撤去を原因者の(株)佐藤建設工業に命じなくてはなりません。

 しかし大同特殊鋼(株)や(株)佐藤建設工業に「忖度」する群馬県環境部局は、不法投棄された大同スラグに対し「土壌汚染対策法」により対処するという歪んだ対策を打ち出しています。

 岐阜県の事件のように不法投棄された廃棄物は、廃棄部処理法の措置命令により対処しなりません。廃棄物処理法を勉強不足な群馬県廃棄物リサイクル課の幹部の皆様、今すぐ岐阜県に赴き、頭をさげて教えを請い、廃棄物処理法を勉強し直すか、または職を辞していただくよう心よりお願い申し上げます。

【市民オンブズマン群馬事務局からの報告】

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする