カイコ使った「冬虫夏草」 島根・津和野、増産期待
2020年7月9日 (木)配信共同通信社
島根県津和野町の「にちはら総合研究所」が、かつて地元で盛んだった養蚕の技術を生かし、漢方薬の原料となる希少なキノコ「冬虫夏草(とうちゅうかそう)」をカイコに寄生させて生産している。サプリメントなどの商品開発の打診が増えており、増産になれば雇用創出につながると期待されている。
津和野町や同社によると、合併で同町になる前の旧日原町は1960年代、県内最大規模の生糸の生産を誇った。カイコの繭は「白いダイヤ」と呼ばれ貴重な収入源だったが、安価な輸入品に押され取引量が激減。中国地方で唯一残っていた製糸工場も2000年に操業を停止した。
冬虫夏草は、昆虫などを宿主として成長するキノコで、漢方や薬膳料理の材料として重宝されてきた。同社はカイコのさなぎに冬虫夏草の菌を接種して培養。旧日原町が産官学連携で開発した手法で、年間平均約10万匹のカイコを利用し、うち収穫できるのは2~3割程度だという。
カイコの餌となる桑は無農薬で栽培する。町農林課から同社に出向している石田保(いしだ・たもつ)さん(59)は「健全な桑が健康なカイコを作り、栄養価も高くなる」と品質に自信を見せる。現在は粉末のほか、あめや茶に加工した商品をオンラインストアや県内の道の駅で販売している。
県外の企業から新たなサプリメントへの活用などの問い合わせが来ているといい、石田さんは「今後は冬虫夏草の生産量を増やし、障害者の方を雇うなど雇用の幅を広げたい」と話す。
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