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高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩

2017年04月27日 00時18分57秒 | 行政
高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩
2017年4月26日 (水)配信薬局新聞

高齢者のポリファーマシー解消に向け一歩 厚労省「高齢者医薬品適正使用検討会」初会合
 厚生労働省は「高齢者医薬品適正使用検討会」の初会合を開催し、高齢者における服薬等の安全対策に着手した。夏頃までに中間取りまとめを提示し、その後も継続的な検討を重ねたうえで最終的な取りまとめを作成する方針にある。
 高齢者の多くは複数の医薬品を服用している一方、コンプライアンスが必ずしも守られているとは言えない状況にあるなど、在宅現場における重複投薬・多剤併用が社会問題として顕在化している。今後も加速する高齢社会における薬物療法の安全性確保に向け、大きなミッションを与えられた検討会だ。
 初会合に際して挨拶した医薬・生活衛生局の武田俊彦局長は、「世界に先駆けてポリファーマシーに関する取組みを実施する必要性は高い」と検討会設置の背景を強調。専門家による検討を重ねることで「既に示されているガイドラインや研究結果を踏まえ、今後の高齢者医療に対する指針と医療関係者の連携基準になれば」との期待を寄せ、必要に応じてワーキンググループの設置も含めた幅広い議論を行うことを打ち出した。
 座長には、慶応義塾大学総合政策学部の印南一路教授を選出。初回会合ということもあり、検討課題の確認と各委員による意見などが示された。
 議論に際して厚労省は、高齢者における医薬品安全対策の現状について解説した。高齢化の急速な進展により高齢者への薬物療法に伴う問題が顕在化してきており、背景には腎・肝機能の低下、体成分組成の変化による薬物動態の変化、合併症によるポリファーマシーの増加、それに伴う薬物間相互作用の発現といった高齢に伴う身体・状況の変化に加え、現状の医薬品の情報提供は単品単位で行われており、複数薬剤を包括した注意喚起が行われていないことを指摘。高齢患者による飲み忘れ、服薬管理能力の低下など、問題が解決されないまま、新たな問題が生じているような状態にあるという。
 既にポリファーマシー対策に取り組んでいる事例として、前神戸大学医学部附属病院薬剤部長の平井みどり氏は、ポリファーマシーは処方する医師、漫然と服薬する患者、社会背景などが主要因であると強調。そのうえで医師同士が他人(医師)の処方に踏み込めないことや、丁寧な対応を取ると医師の終業時間が大幅に延滞するなど医療者側に大きな負担が生じることを報告し、薬剤部と薬剤師が中心となって病院内における患者のポリファーマシーの解消に向けて動き出した同病院での取組み例について述べた。
 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン(GL)をまとめた東京大学大学院医学系研究科老年病学の秋下雅弘教授は、特に慎重な投与を要する薬物リストを作成した一方、一律に使用を遠ざける意向はないと言及。事前に備えることで薬物有害事象の回避や高齢者に対する過少医療を避けるための意味もあるとし、重要なのは医療関係者が意識を持ち、多職種連携を果たすことであると語った。
 今後の会合の議論では、高齢者の薬物動態等の情報、多剤服用の実態と副作用の関係、データベース研究といった「エビデンスの収集」、糖尿病や循環器(血栓、心疾患)認知症、不眠等の「対策が必要な領域」、多職種、多様な医療現場、専門領域以外も含めた対処に役立つ対策などの「ガイドライン」、多様な現場の状況を踏まえた多剤複合的な「安全性情報提供」、多職種連携の下での患者の状態に関する「情報収集、管理、共有及び処方の在り方」、「現場の安全性と適正使用の意識の向上」を主な論点として検討を重ねるほか、必要に応じてワーキンググループを設置する方向としている。

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