1型糖尿病の治療法開発 徳大病院の研究グループ、インスリン分泌する人工細胞を移植
徳島大学病院の池本哲也特任准教授(49)らの研究グループが、患者自身の細胞を使う再生医療技術を用いた1型糖尿病の治療法を開発した。血糖値を下げるインスリンを分泌する細胞や膵臓を移植するしか根本的な治療法がない中、再生医療でドナー不足を解消しようと、2010年ごろから研究を進めてきた。22年度内の臨床応用を目指しており、病院は「実現すれば糖尿病患者の希望になる」としている。
糖尿病は1型と2型の2種類あり、2型は主に遺伝や生活習慣が原因でインスリンの分泌や働きが悪くなる。一方、1型は原因がよく分かっていない。インスリンを生産する細胞が破壊されて血糖コントロールが困難になり、低血糖による発作を起こして意識を失うなどする。
池本特任准教授らが開発したのは、患者の皮下脂肪組織から再生医療の技術を使いインスリンを分泌する人工細胞を作り、患者に移植する方法。患者自身の細胞を使用するため移植後の拒絶反応がなく、腹腔鏡手術で行うことから体力面の負担も少ない。
マウスを使った実験では血糖値を正常化する効果が得られており、今後はブタを使った実験や人工細胞を作る過程の確立などに取り組む。特許を申請中で、本年度は国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から予算1億3千万円を獲得した。
1型は若年で発症し、10代以下の子供もかかるため苦しむ期間が長く、学校生活などさまざまなライフイベントと重なる。
池本特任准教授は「自分の細胞を移植するので、手術への心理的なハードルも下げられる。新治療法を実現し、大変な思いをしている患者の負担を軽くしたい」と話している。
AMEDの予算は21年度分までで、22年度以降の研究費として、クラウドファンディングサイト「Otsucle(おつくる)」で220万円の資金を募っている。11月6日まで。
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