酵素「ES1」、有毒物質無毒化の働き発見 岩手大など研究グループ
2023年6月7日 (水)配信岩手日報
岩手大理工学部の尾崎拓准教授(41)=生化学、同大大学院博士課程2年の伊藤銀河さん(26)らの研究グループは、細胞のミトコンドリアに存在する酵素「ES1タンパク質」が、有毒物質を無毒化することを発見した。糖尿病や認知症などは、この有毒物質に起因する「糖化ストレス」が一因とされており、治療薬開発につながる可能性がある。
ES1は細胞内に無数にあるタンパク質の一つで、代謝に関わる酵素。ミトコンドリア内にしか存在しない。
ES1が無毒化すると分かった有毒物質は「グリオキサール」。細胞がブドウ糖をエネルギーに変える過程の副産物として発生する。研究では健康なマウスと、遺伝子を改変し、ES1を欠損させたマウスを比較実験。ES1がグリオキサールを無毒な「グリコール酸」に変化させる働きがあることを突き止めた。
研究は岩手大、岩手医大、弘前大が共同で実施。成果論文はオランダの出版社が発行している国際学術誌に掲載された。
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