負担軽減も容体急変に懸念 割れる自治体対応
2022年8月30日 (火)配信共同通信社
新型コロナウイルス感染者の全数把握方法の見直しを巡り、都道府県の対応は割れた。自治体や医療現場の負担軽減になるとして感染発生を届け出る対象者の限定に踏み切る自治体がある一方、対象外となる患者の容体急変への懸念から慎重論も。国は来月にも全国一律で運用を見直すとしているが、政府の対応に不満も渦巻く。
「医療機関の逼迫(ひっぱく)を緩和することで、必要な人がスムーズに受診できるようにする」。発生届の対象を限定する茨城の担当者は説明した。佐賀も「医療機関の負担軽減になる」と限定の効果に期待する。
一方、見直しに踏み切らない自治体からは、軽症や無症状の患者らの取り扱いを心配する声が上がる。和歌山の担当者は「感染者の氏名も分からなければ、健康観察も困難だ。万が一容体が悪化した際の救急搬送に時間がかかる可能性もある」と訴える。
国が今後示す全国一律の運用の在り方を見極めようと、当面は様子見の自治体も多い。奈良や愛媛などは「国や他県の動向を見ながら判断したい」「関係機関との調整が必要」とした。
ただ一律運用の具体像が見えず不満も募る。ある県は「情報が下りてこず、まだどうすべきか分からない」。限定しない方向とする別の県の担当者は「軽症者の中にも一定数、重症化して亡くなる人がいる。国は肝心なことは都道府県任せ。国民の命を守る気があるのかと思う」と憤った。
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