【秋田】専用シールで徘徊者を守ろう QR→家族や介護者に連絡
秋田県由利本荘市は本年度から、認知症などが原因で徘徊(はいかい)し、行方が分からなくなった高齢者を発見した人が、高齢者の家族や介護者と連絡を取り合えるサービス「どこシル伝言板」を導入している。高齢者の素早い保護と帰宅につなげる狙いで、市地域包括支援センターが積極的な利用を呼び掛けている。
どこシル伝言板は、発見した高齢者の衣服や持ち物に貼られた専用の「おでかけ見守りシール」のQRコードを読み取ると、家族らに通知が届く仕組み。発見者と家族らが伝言板でやりとりする。
利用するには、行方不明になる可能性がある高齢者の身体的特徴や既往症などの情報を登録する必要がある。住所や氏名は不要で、QRコードを読み取った相手に個人情報を見られる心配はない。
「右耳が遠いので左耳に話し掛けてください」「汗や震えがあったら低血糖の可能性があるので、あめをなめるよう勧めてください」など、発見者に注意してほしい項目も記入できる。
登録すると、1人につき衣服や帽子にアイロンで貼る「耐洗ラベル」30枚と、暗闇で光る「蓄光シール」10枚が配られる。大きさは縦約2・5センチ、横約5センチで、鳥海山の絵をあしらった。
同市は2016年度から、認知症で徘徊する可能性のある高齢者を登録しておくことで、実際に行方不明になった際にコンビニや郵便局など地域の協力団体に情報提供を求めて素早い保護につなげる「認知症高齢者等見守り・SOSネットワーク」を構築している。今回のサービス導入により、認知症の高齢者の見守り体制を一層強化した。サービスに登録可能な人は、既にSOSネットワークに登録済みの高齢者に限られる。
サービスを管理する東邦ホールディングス(東京)によると、県内自治体の導入は17年の大館市に続いて2例目。今年10月末現在で29都府県110市町村が導入している。
大館市長寿課によると、今年3月、行方が分からなくなった同市の70代男性を青森県警弘前署員が弘前駅前で保護し、QRコードを読み取り家族と連絡が取れたケースがあった。同課は「市外へ出てしまった場合でも効果を発揮できると実感できた」と話す。
由利本荘市地域包括支援センターは計10人分のシールを用意し、現在3人が登録している。担当者は「発見から保護、帰宅までをより安全に行えるようにするサービス。必要とする高齢者にぜひ利用してほしい。また、困っている様子の高齢者を見掛けたら、声を掛けてあげてほしい」としている。
登録無料。追加でシールが欲しい場合、費用は自己負担となる。問い合わせ、申し込みは同センターTEL0184・24・6345
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