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恐怖に屈し「使命」忘れる 教育現場の独断に危うさ 「表層深層」千葉・野田の小4女児死亡事件

2019年02月16日 22時52分37秒 | 事故事件訴訟
恐怖に屈し「使命」忘れる 教育現場の独断に危うさ 「表層深層」千葉・野田の小4女児死亡事件
2019年2月4日 (月)配信共同通信社

 千葉県野田市の市立小4年栗原心愛(くりはら・みあ)さん(10)が死亡した事件で、市教育委員会は児童相談所に相談せず、心愛さんがSOSを発したアンケートのコピーを父親の勇一郎(ゆういちろう)容疑者(41)=傷害容疑で逮捕=に渡していた。「威圧的な態度に恐怖を感じ屈した」。追い込まれるあまり、子どもを守るという使命とはかけ離れた判断に。教育現場で問題を抱え込むことの危うさがあらわになった。
 ▽抗議執拗
 「心に引っ掛かるものはあったが、精神的に追い詰められ、やむにやまれず出した」。1月31日の記者会見で市教委の幹部はうなだれた。
 学校のアンケートに心愛さんが、勇一郎容疑者の暴力を「先生、どうにかできませんか」とつづったのは2017年11月6日。担任の聞き取りに「拳で10回殴られる」などと訴えたため、県柏児相が翌7日から12月27日まで一時保護した。
 保護解除から約2週間後の18年1月12日、心愛さんの今後を話し合う面談の場で、虐待を否定していた勇一郎容疑者は「家族を引き離された気持ちが分からないのか」と強く抗議。アンケートの実施を知っていたとみられ、訴訟をちらつかせながら回答を見せるように執拗(しつよう)に求めた。
 出席していたのは校長や市教委職員ら6人。いったん拒否したが、3日後に心愛さんの「同意書」を持参した勇一郎容疑者にコピーを渡してしまう。この日対応したのは担当課長と部下の2人だけ。課長の判断だった。
 転校後の2月20日、市や市教委、児相による定例会議では、コピーの件は資料に含まれていたが、口頭の説明はなく重大性を認識していた形跡はない。児相が、親族宅に身を寄せていた心愛さんを自宅に戻すと決めたのは、その8日後だった。
 ▽組織対応
 実態把握に乗り出した文部科学省の担当者は、コピーを渡したことについて「虐待リスクを高めた可能性がある」と指摘。淑徳大の柏女霊峰(かしわめ・れいほう)教授(子ども家庭福祉学)も「倫理的にも、あってはならない」と非難する。
 保護者と対立する場面もある児童養護の現場では、こうしたケースにどう対処しているのか。
 現職の児相所長は「逆上した保護者に怒鳴られるなんて日常茶飯事。『おまえの家族に危害を加える』と脅されることもある」と明かす。
 虐待対応は、必ず複数の職員で行動させ、警察に同行を依頼することも。相手が激高した場合はすぐに中座し、上司に報告するように指導。「脅され平常心を保てなくなれば、適切な判断はできない。個々の職員が抱え込まず、組織で判断、対応する。そうしなければ、要求を突き返せない」
 ▽意識改革
 勇一郎容疑者は面談時に文案を示し、学校側に情報開示や信頼される学校運営を誓う念書を出させていた。「市教委側も理詰めで攻められて戸惑ってしまい、自分たちの立ち位置を見失ったのではないか」と推測するのは、鳴門教育大大学院の阪根健二(さかね・けんじ)教授(学校危機管理)だ。「弁護士ら専門的な知見を持った人が教育現場に加わり始めている。自分たちだけで解決しようという意識を改め、判断を仰ぐようにしないと」と指摘する。
 東京都港区の学校法律相談事業に関わった綱取孝治(つなとり・たかはる)弁護士は「内々で解決しようとすると、こうした問題は防げない。学校側が地域の弁護士や児相、社会福祉協議会に気軽に相談できる環境を整えるべきだ」と訴えた。

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