「優等生」脅かす第2波 総選挙延期、再規制... 世界のコロナ感染状況
新型コロナウイルスの拡大を抑え"優等生"と称された国々でも、夏の行楽シーズンを経て新規感染者数が増えてきた。検査と隔離の徹底により封じ込めた韓国は首都圏で感染が拡大。ニュージーランドも総選挙延期に追い込まれた。成功例とされた国も第2波の危機感に駆られ、再規制に乗り出し始めた。
▽絶体絶命
「世界の模範と呼ばれた韓国の防疫が危機に直面している」。文在寅(ムンジェイン)大統領は8月27日、教会指導者らとの会合で防疫への協力を求めた。
集団感染が発生した教会がソウル中心部で大規模集会を強行したことなどで感染者が増え、4月からほぼ2桁台だった新規感染者数が8月下旬には400人を超える日も。2~3月の第1波は南東部大邱(テグ)が中心だったが、今回は首都圏で拡大、文氏は「感染者が急増する絶体絶命の時だ」と訴えた。
ニュージーランドでは3カ月超ぶりに市中感染が判明。アーダン首相は「ウイルスはしばらく共にいるだろう」と述べ、9月に予定していた総選挙を延期した。3月に外国人入国を禁じ、厳しい外出制限で抑えたが、8月に最大都市オークランドで感染が判明して以降増えている。厳しい統制策を取ったベトナムでも約3カ月後に拡大、初の死者も発表された。
▽つかの間
「全てを封鎖したことは極めて正しい決定だった。この国と多くの命が救われた」。イタリアのスペランツァ保健相は8月上旬、全土のロックダウン(都市封鎖)が危機的なウイルス波及を防いだと強調した。
3月に新規感染者が6500人を超え医療崩壊状態に陥ったが、7月中旬には120人以下に。厳しいマスク着用義務や、欧州連合(EU)が渡航制限を緩めた後も独自の措置を続けたのが奏功したとみられた。
しかし感染者は8月に再び増え始め、9月4日には1700人を突破。政府は入国要件厳格化やディスコ営業の再度禁止などで厳戒態勢を敷く。
▽秋に警戒
北欧では近隣諸国より感染者数が少ないフィンランドで8月、経済活動再開とともに増加。政府は感染拡大地域で再び在宅勤務を推奨し、公共交通機関でのマスク着用を求める。
トルコでは制限緩和の6月以降、横ばいを続けていた新規感染者数が8月、微増に転じた。感染は地方で拡大。街中に人出が戻り、マスクを外す人が目立つ。政府の専門委員会メンバーは「恐らく10月か11月に第2波が来るだろう」と警告した。(ソウル、ローマ、ロンドン、イスタンブール共同)
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