大牟田・オープンシャッター・サロン茶塘

商店街の活性化を目指して、大牟田市新栄町の空き店舗を改装、サロン茶塘が開設された。茶塘や商店街のイベントを紹介します。

「干潟を慈しんだ」岩永さん

2022年04月16日 05時22分18秒 | 日記
 「諫早湾(長崎県)の生き物や有明海の伝統漁法を記録し続けられたドキュメンタリー映画監督岩永勝敏さんが」、「2月下旬に82歳で亡くなられた」そうです。〜心よりご冥福をお祈りします。
 岩永さんの作品や作品に込める思いが新聞に紹介されました。特に第1作『干潟のある海』では「干潟の生き物が多く登場する。ムツゴロウ、タイラギ、シオマネキ、ウミタケ、ワラスボ。そして魚介類を泥ごとすくう漁師の手。」「漁師から教わった潟スキーで干潟を滑り、腰まで泥に漬かってフイルムを回し」されていたそうです。  作品は国内外で高く評価され、イタリアの国際海洋ドキュメンタリー映画祭で金賞を受賞した」とのことです。
 後に『諫早湾シリーズ5作品』と呼ばれるようになったドキュメンタリー作品の第4作『今、有明海は 消えゆく漁撈習俗の記録』は2006年文化庁記録映画部門で大賞を受賞され、各地で上映会も開催されました。
 この第4作にはご縁がありました。福岡アジア美術館での上映会の際、この作品を見て感動、岩永さんに中国語訳の許諾をいただきました。ちょうど、日中韓で海のゴミが問題となりクリーン作戦が打ち出されていました。漁撈法にしても似たようなやり方があり、漁業についての相互理解を深めることができると思ったのです。
 中国語の先生と中国語生徒のグループで中国語訳に取り組みました。魚の名前も地元名と図鑑での名前が違います。伝統漁労法の道具は珍しく、一般には博物館展示物でしか見れない様な物で、その扱い・動作も表現が難しかったです。有明海地方の方言での漁師さんたちのやり取りなど辞書や図鑑を引いたりして中国語訳は大変でした。  それでも、みんなで分担、四苦八苦、紆余曲折、繰り返しの添削でやっと仕上げまして、『岩永プロ』に引き渡すことができました。   
 ところが、補助金が出ていたせいか(?)版権の問題がスッキリしていませんでした。私たちは、そういうことは何も分からずボランティアでしたし、何も言うことはありませんでした。が、ある日、岩永さんの自宅に招かれ歓待を受け、岩永さんの親戚やお友達とも交流して楽しく過ごし、大満足でした。手元には、完成した中国語版シナリオCDとその時の添削された原稿や有明海の魚の名前や方言一覧など残っています。貴重な体験をいただきまして本当にありがとうございました。有明海、諫早湾の干潟をこれからも見守ってください。
(下:2022年4月12日 西日本新聞〈風向計〉欄-山本敦文(長崎総局次長)「干潟を慈しんだカメラ」より)