久々にクルマの話題である。自家用車がない(軽1BOXは父用)から基本的に旧車しか書けないが。
何度も何度も書いてきたけど,僕の子供の頃(1970年代)は,「2ドアハードトップ」がカッコよかった。いや,そう見えた。
初代セリカ1600GTだけでなく,117クーペなどが近所の駐車場にあり「なぜ,うちにはカッコイイ乗用車がないの」と子供ながらに父に質問攻めしたものだ。
父は自営業で電気店経営だった(88歳のいまもかろうじて営業中)。当然クルマは軽トラが中心で,少し景気がよくなった頃(日立系列だったが,看板を背負うと補助金を出してくれたそう)に,サニーのライトバンを買っていた。
そのサニーのライトバンで様々な釣り場に釣れていってもらったが,免許をとるまでの僕は自動車酔いの天才かのように,酔いまくる。修学旅行も社会科見学も遠足も「また,バスかよ」で,暗くなった。友達がはしゃいでいるのに,数人のクルマ酔い仲間と青息吐息だった。
そんな自分だったが,子供の頃から電車・自動車の図鑑は学童保育してくれた児童館で読み漁り,いまでもその図鑑を持っている。親にねだって買ってもらったのだ。
「いまのクルマには個性がない」なんていう評論家もいるけど,それは単に流行違いだと思う。1970年代は2ドアクーペが最高にカッコよかったし,80年代はFFファミリア・ワンダーシビック・カローラFXによる3ドアハッチバックの時代。90年代になってRVブームでステーションワゴンだ。
もっとも,排気ガス規制で他メーカーがどんどんツインカムモデルを廃止した時代に,トヨタはいち早く「三元触媒」によって排気ガス規制をクリアした。
そんな時代にあって,印象的なのがトヨタ1600GTである。はっきりいって,このクルマのカッコヨサに子供の心がもっていかれた。
1980年代怒涛のバブル期は「カローラの次はマークⅡ,そしてクラウン」なんて信じられない時代だったが,その頃でも僕は「社会人になったら絶対に1600ツインカム買うぞ」と決めていた。実行に移すには,社会人6年経過の時間と費用が必要だったが。
さすがに旧車ショーでは「いつも同じクルマばかり」で辟易してしまって,おそらく見に行くことはそうそうないだろう。2023年に行った記憶があるが,旧車ユーザーでもないと興味が薄れるばかり。
それでもなお,このトヨタ1600GTだけは輝いて見える。
昔のクルマも個性はなかった。実はみんな流行に乗せていたからだ。売れるのは決まっていて,「5ドアハッチバック」が売れるようになったのは最近のことだよ(力説)。
釣具もまた然り。バスロッドなんて2ピースが評価されない時代があった。21世紀になって初代ZODIASがこの価値観を完璧に覆した。それほどインパクトある竿だ。ルアーにおいては「塩入り」のゲーリー(というか,3S=ツインティーズ)が出るまでワームは評価が低かった。
バイアスを捨てて俯瞰することが重要だと,歴史は雄弁に語る。