作家、伊集院静さんが紫綬褒章を受けることになった。
当初は、受章を断ろうと思ったのだというが、
しかし故郷山口県防府市に住む95歳になる母に、
「 ( 辞退は ) 許しません 」 と言われて翻意したという。
「 あの子のカーネーション 」 からだから・・・
伊集院さんのファンになって、かれこれ25年ほどになる。
「 受け月 」 で直木賞を受賞した時も嬉しかったが、
今回の紫綬褒章は、特別な感動があった。
ボブ・ディランのノーベル文学賞ではないが、
自伝的な小説が認められた証だと思う。
それに自伝的な小説の中に
亡くなった弟さんのことが多く書かれていたから、
それを含めて日の目を見た気がした。
伊集院さんは、1992年 「 受け月 」 で直木賞。
防府市の佐波山をテーマにした 「 峠の声 」 や
自伝的な 「 海峡 」 3部作。
そして柴田錬三郎賞の 「 機関車先生 」 は、
剣道を通じた教師と生徒を描いた。
また、亡くなった元妻の夏目雅子さんをモデルにした 「 乳房 」 など、
人々の哀切をすくい上げる。
4歳の時、 「 60歳まで生きたら冠をかぶる ( 偉くなる ) 」 と占師に言われ、
そこで 「 60歳から仕事を倍にしよう 」 と決め、
今までの約4倍の仕事をこなしている。
歯に衣 ( きぬ ) 着せぬエッセー 「 大人の流儀 」 がヒットし、
「 星月夜 」 などミステリーにも挑戦するほど、
月に原稿用紙600枚執筆している。
それに近々、歴史小説にも挑むという。
66歳を過ぎてなおバイタリティーがあり、勢力的である。
※ ちなみに機関車先生では、当時現役の競輪選手の名が、
吉岡誠吾や佐古校長などにアレンジされて使われていた。