岩洞窟の壁面に描かれている 「 迦陵頻伽 ( かりょうびんが ) 」
階段の上にある岩洞窟の天井に 「 迦陵頻伽 」 が描かれている
福岡県豊前市岩屋にある岩洞窟は、最も規模の大きな岩窟で、
古くは 「 狗ヶ岩屋 ( いぬがいわや ) 」 と呼ばれ、
岩屋という地名の由来であるといわれている。
記紀には、景行天皇の時代 ( 古墳時代 ) に大和政権に属さない勢力が地方にあったと記され、
その一つの 「 耳垂 」 と呼ばれた人々が、この洞窟に住んでいたという伝説もある。
窟内には薬師堂があり、平安時代後期(12世紀)に造られたと考えられる木造仏が安置され、
これを囲むように宝塔、五輪塔や江戸時代の石仏11体が遺されている。
また、洞窟の天井には半肉彫りの「飛天」が優雅な姿を見せ、
求菩提山の優れた仏教美術の一端を見ることが出来る。
岩洞窟の天井に描かれている迦陵頻伽・迦陵頻迦 ( かりょうびんが ) は上半身が人で、
下半身が鳥の仏教における想像上の生物。
サンスクリットの kalavinka の音訳。
『 阿弥陀経 』 では、共命鳥とともに極楽浄土に住むとされる。
殻の中にいる時から鳴きだすとされる。
その声は非常に美しく、仏の声を形容するのに用いられ、
「 妙音鳥 」 、 「 好声鳥 」 、 「 逸音鳥 」 、 「 妙声鳥 」 とも意訳される。
また、日本では美しい芸者や花魁 ( おいらん ) 、
美声の芸妓を指してこの名で呼ぶこともあった。
一般に、迦陵頻伽の描かれた図像は浄土を表現していると理解され、
同時に如来の教えを称えることを意図する。
中国の仏教壁画などには人頭鳥身で表されるが、
日本の仏教美術では、有翼の菩薩形の上半身に鳥の下半身の姿で描かれてきた。
敦煌の壁画には舞ったり、音楽を奏でている姿も描かれている。