ペンギン音頭

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白浜便り

2013-06-13 16:09:07 | ペンギン

こちらはAWSペンギン王国のキングタマゴ。

角の特等席をゲットしたペアのタマゴです。

この時は相方の姿が見えませんでした。

従来この付近は抱卵個体の密度が高くて、クチバシの応酬が絶えませんでした。

見ていても、安心して抱卵できるのか心配になりました。

でも、このキングの背後をご覧ください。これは大きな石を並べてあるのです。おおざっぱな仕切りになってます。

枡席の真ん中にいれば、自動的にお隣との距離がとれるというもの。

野生コロニーではあり得ない区画整理ですが、全ては繁殖のため。効果が出るといいですね。

それにしても、6月すなわちキング抱卵シーズンのAWSは、と~っても暗いです。南極の冬至前後に当たりますから、1日中「夜」。

 

ISOを3200にするとご覧のように明るいみたいに見えますが、ホントは薄暗いのですよ。


さて、その頃同じペンギン王国1階の展示室では。

お見合い中の皇帝様方は、何をしておられるかな?

キングと違ってアクションは地味だし、そもそもあまり動かないですから、「何」というほどのことが見られるかどうかですが。

こんな近くでエンペラーが見られるのは珍しいことです。あまり動かないとはいえ、有り難き幸せでございます。

一目瞭然の体格差で、左側がオス、段の上にいるのがメスです。

こんなに離れちゃって、あまり仲良しそうじゃないぞ?

 



そうでもないぞよ。この通りである。

お互いに近寄ってみせてくださる皇帝様。

といっても、エンペラーペンギンはぎゅう~っと集まって寒さをしのぐ性質を持っているので、近寄ったら許さん!との反応はないのですね。

よ~っぽど嫌いな相手だったら、追い払う? それとも、それでは極寒の中で仲間や自分の生存を脅かすことにもなるので、八方美人?

もしかしたら、集まってもヘイキなのはオス同士のみで、やっぱり相手が異性だと意識してしまうとか?

いつもは賑やかな海獣館のペンギンプールにいた2羽、他に誰の姿も見えないのでヘンに感じているかも。

壁を隔てたお隣にはキングとジェンツーがひしめく予備水槽(?)があります。あるいはバックヤードにキングがいたのかもしれません。

とにかく、キングの自己主張する雄叫びが何回か聞こえてきました。

すると、ほぼ必ず一声、返事みたいに大声で鳴くのでした。

キングの声は海獣館で聞き慣れているので、「あいつら」の声だとはわかるかも。

「余はここにおるぞ~」と言っているみたいで、ちょっと寂しげに見えました。

 


 


では、これではどうじゃ。

はは~っ(平伏)、いかにも、仲良し皇帝様であらせられます。

キングも時々やってますが、背と腹密着立ち。たいていペアでやっているようです。

イヌやネコでも「親密くっつき行動」はあると思うのですが、その姿が人間と似ているのが、ペンギンの特別なところですね。

こうして並んでみると、体格の差がさらによくわかります。

さすがにオスは大きい。たっぷりと脂肪を蓄えて過酷な厳寒抱卵を乗り切るには、こうでなくては。

で、堂々たる体躯を誇る皇帝様とお后候補がなぜここでお見合いをしているのかというと。

海獣館のペンギンプールには、これまで7回(だったと思う)お世継ぎを産んだベテランペアがおりますが。

そのペアを邪魔するので、退場となったのですって。で、ついでにお見合いでもなさっててくださいということで。

妨害という破壊工作よりも、産卵の期待が持てるお見合いのほうが建設的です。

「いい仕事してくれるといいんですが」と、飼育員さんはおっしゃってました。

そうです。彼ら飼育下のエンペラーペンギンは、殖えるのが仕事、ですね。

 


 


お~っほっほっ!

というより、わははは~!という感じ?

ホントは、どこからか聞こえてきたキングの声に「返事」をしたところです。

姿は見えねども声がすれば近くにいるのだから、安心できるでしょうか?

この場面で聞こえたキングの声はディスプレイコールでした。自己主張したりペアが向かい合って歌う、あの節のついた鳴き声です。

皆さんご存じの通り、かなりの大音量ですね。

ところで、バードランドの「キングペンギンのスパイク君」フェイスブックでは、先頃まで「ペンギンのひみつ」が連載されておりました。

その中で、キングとエンペラーのコンタクトコール(ツルの一声的な鳴き声)は1km先まで届くと書いてありました。

すごいですね。でも、そうすると、声が聞こえるからすぐ近く、ってことにはなりません。

それでもお見合いエンペラーたちにすれば、誰の気配もしないよりはマシ、というところかも?

 


 


声はすれども姿は見えず。どこにおるのじゃ?

段に上って仕切り壁の向こうをのぞく皇帝様。

エンペラーはじ~っと立っている印象が強く、歩くときもフリッパーを身体に密着させて歩くし、こんな姿はちょっと珍しいので儲けた気分。

キングだったら、のぞくのは勿論、ぜったいに無理な高さでも登ろうとする個体がいたり、「どこか開かんやろか」とあちこちクチバシを突っ込んでみたり、いろんな行動を見せてくれる可能性が大ですが。

彼らが場外お見合いのために引っ越してきたので、海獣館デビューを待っている若皇帝はバックヤードに移動したのだそうです。

その若皇帝なのでしょう、ときどき「一声」遠くから聞こえてきました。彼らはこれにも応えていました。向こうでも聞こえているのかな。