Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

天下茶屋から堺の茶屋へ

2008-04-08 | ワイン
堺筋線天下茶屋駅で南海電鉄に乗り換える。そこから準急に乗ると乗り換えずに目的地の泉北高速鉄道に乗り入ることが出来る。かなり未知の世界で、大阪の有名な住宅地である帝塚山周辺には恥ずかしながら招かれたことも足を踏み入れたことはない。

目的地では、日本食とワインをテーマに緑家さんに席を設けて頂いた。本来ならばワインバーなどの御馴染みのところがあるようだが、それではまた違う方へと批判が向かいそうなので ― 決して日本のイタリア料理などが悪い訳ではないが ―、食材などを考えるとやはり平時の日本食材を試したいと無理をお願いして、ご友人の馴染みの店に御願いした。

ワインも先ごろトリアーから到着したばかりのリッター瓶で始まり、ナーへやラインガウ、ラインヘッセンを交えて、四人で六本だかを空けた。先ず記録しておかなければいけないのは、刺身の魚を味わうと最もスレートの土壌がベストマッチすることを確認できたのは最大の収穫であったことである。

兎に角、醤油で口を壊したくないので、塩を盛って頂いて、出来うる限り醤油味を避けた。そうすることで、繊細な味わいが、口内に幾らか昼に食したマムシの油が残っているとはいえ、楽しめたのは言うまでも無い。

日本食には余り新鮮さの際立たない古酒が良いと言うことで、これも経験上の感覚を確認できた。詳しいワインのラインナップは、主催者の報告にお任せするとして、一言だけ記憶から印象を記しておく。

ナーへの土壌は、詳しくは分からないが、スレートに独特の味が開いた2006年産のリースリングは、ドイツならばサラダなどの食前に合わせられる特殊性と面白さがあり、一人で一本空けるよりもどこかに挟みたい種のワインであった。謂わば、本国では大量需要は期待出来ないが魅力的なリースリングであろう。

シュロース・ライハルツハウゼンの古酒も結構な価値のあるようなもので、なおかつ十分な新鮮さが喜びを与えてくれた。あの長い渡り廊下を通るホテルでの夜を思い浮かべる。

その後、緑家さん愛好のグリューンハウスのリースリングを初めて飲ませて頂く。なるほど、スレートの味が大変海産物にも合い、これならば日本酒感覚でも飲めると納得。しかし、ご本人が指摘したように酸の出方が今ひとつで残糖感を招いた。逆に、それ程、少なくともこの次点までは、我々の口がかなり厳しい判定を下していた証明でもあろう。

その後に開けられたケラー醸造所のGCワインは、流石にバランスが取れていて美味く続けざまにお代りをすると、この辺りから酔いが回ってきて呂律が回り難く感じてくる。

いよいよ無礼講で、ご出席のお嬢さんが現地で購買した取って措きのシュペートブルグンダーへと流れ込む。いよいよクライマックスは近い。これもあの暑い2003年産とあり14度のアルコール以上にやや丸みが増していてグラマーラスさが好みの問題となる。

こうなれば醤油でも何でもありと、レンコンやら泉州名産の水茄子の塩気を批判しつつ呑み進める。すると、机向こうに水泳の授業後の午後の授業であるかのように机に伏せるお友達が見えたかと思うと、こちらも急に効き出して、急に胸がムカついた。

良く思い出せば酒を飲んで、胸が悪くなったのは四年前の寿司などを食べたあとであった。そのときは、その酒量以上に飲んだ酒の質を問題にしたものである。しかし、数日前に辛口の日本酒を最後にあおった節は決して悪くなかったのである。そして今回、超高級のリースリングを飲んでこのようになった原因は食事であると推測される。

つまり、刺身を塩で食したために、醤油の殺菌効果がどころか、わさびの効果も期待できなかったことが、消化を難しくしたようである。しかし寿司を普通に食べても消化が悪いことは何度も経験していて、生ものは幾ら新鮮であってもやはり消化に厳しいと改めて勉強した次第である。

そして、気を取り直してこれからいよいよ興奮状態で本格的に飲もうと考えたのは束の間、最終電車のためにタクシーが待ちかねていたのであった。(続く)
コメント (2)
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