Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

六十禁が必要な場合とは?

2011-11-05 | 文化一般
今年話題になったのは京大の小出助教の使った六十禁という言葉である。成人映画指定などに引っ掛けて、六十歳以上しか食してはいけない高濃度の放射線汚染物質などを段階的に別ける考え方である。

映画や映像の面で、最近はポルノだけでなくグロなどでの指定が有名であり、特に合衆国をはじめとする西欧社会での既成はより以上に厳しくなっている傾向がある。要するに68年の自由化とはまた別の面での既成であり、先日挙げた海賊党などの主張もそうした規制と関連していることは間違いない。

最近ドイツ最大手のメディア通信販売会社jpcの冊子を見ていて、FSKつまりフライヴィリゲ・ゼルプストコントローレつまり自主規制基準の表示が大変目に付いた。それもゲームソフトや書籍や映画以外に音楽メディアについているのである。

なるほど、ポップスにおいては、性的な表現だけでなく宗教社会政治的なメッセージの強いものがあるので、そうした直接の影響から青少年などを護るのは当然であって、漫画やアニメにおけるエログロ表現なども規制するのは当然なのである。

詳しく見ていくと音楽に関しては、ハイブリッドやDVDが付いているものに0歳の数字が入っている。つまり実際には年齢規制している音楽CDは少ないが、マウリツィオ・ポリーニ全集がFSK 6となっていて、六歳以下の子供には勧められないことになっている。

十二枚組みCDで付いているボーナスCDもライヴ中継録音なので映像はないようだ。中身を観ると、ルイージ・ノーノ作曲の指揮者アバドと組んだライヴエレクトロニックスが引っかかっているのだろうか。政治的なメッセージの問題なのか、音響の問題なのか?

そのように考えると、ショスタコーヴィッチ作曲のマクベス夫人や歌詞の付いたプロレタリアート独裁賞賛の作品は自主規制しなければいけない。シェーンベルクのある種の曲も完全に規制ものである。ロマン派の一部も危ないが、ルネッサンス期の音楽や歌詞にはさらに危ないものが多い。演奏実践で言えばフルトヴェングラー指揮の多くのライヴ録音は規制すべきもので、ひょっとするとバーンスタインやトスカニーニのものも大変危険と看做される。

要するに、こうした芸術は映像とは異なり抽象的な表現と看做されるために分る者には分るで、多くは分らない子供への悪影響は少ないと考えられるのであろう。反対に、映像の場合は具象性が強いために、ある種の映像表現はある年齢になってもその影響を消化できない人は少ないに違いない。その最も顕著な例はやはりポルノ表現であって、ここ暫く厳しい規制となったロリータポルノなどは、その被写体の少年少女を保護すると言う大儀名分よりもそれを超えた性表現自体の難しさが原因となっているように感じる。その意味から、世界の著名人が性衝動によって破廉恥罪を犯すのも、影響の消化という意味で非常に個人差があることを示している。

要するに、そうしたエログロ表現においても実際には成人規定だけでなくて、放射能に対するそれのように六十禁というのが本当は必要だと言うことである。それは実際には何処の社会でも行われていることなのである。



参照:
情報の集約を阻止する運動 2011-10-30 | 文学・思想
ブレーキの効く両輪に身を任せよう 2010-03-16 | 雑感
誉れ高いモンツィンガー 2009-10-06 | マスメディア批評
上げよ、怒りの雄叫びを! 2009-03-29 | 歴史・時事
十分に性的な疑似体験 2008-08-06 | 音
勲章撫で回す自慰行為 2008-07-26 | BLOG研究
降臨の気配に天国作戦 2007-12-29 | 雑感
エロスがめらめらと燃える 2007-11-02 | 暦
顔のある人命と匿名 2007-02-01 | 歴史・時事
ネット世界における検閲 2006-09-25 | 雑感
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