アートランドホテル蓼科が売却となり、併設されているマリー・ローランサン美術館が急遽閉館になることが新聞の文化欄に載っている。高野将弘館長のコレクションを軸にした美術館のようだが、その閉館が昨年九月に起訴されたヴォルフガング・ベルトラッチ偽造事件に関わっているに違いないとの質問に未だに回答がないという。
既に昨年ニューヨークのクノエドラー美術館が同じように急遽閉館となり、2007年に十五億円相当の賠償請求がベルギーのヘッジフォンドマネージャーピエール・ラグランジェから出されていたことから、その問題のジャクソン・ポロックの作品もベルトラッチの偽作と考えられた。
ローランサンという画家は、様々なピカソやビラックなどの後のキュービズムの中心人物となるような芸術家たちとの交渉が有名で、アポリネールとの恋に続いて米国の作家クリフォードバーニーとの交渉後、ドイツの画家オットーフォンヴェティェンと当時は結婚していて戦後1920年までデュッセルドルフに滞在していたドイツにも縁のある芸術家である。
そしてこの女性画家が取り分け日本で人気があるのは、藤田嗣治などのブラックの前世代である以上に、彼女の画風が軽みがあって、日本の伝統的な絵画の空間や色合い、素材などが共鳴することから、他の同時代の欧州の画家よりも愛されるからだとする。
今回のローランサンの作品とされている、画家と知己のあった画商アルフレート・フレヒトハイムのポートレートは、1998年に東京の「ギャラリー2」を通して、分類番号1084としてカタログに登場していて、パリのホプキンス・トーマスギャラリーにあったものである。
そのカタログによると、1920年ごろにポートレート本人のベルリン・デュッセルドルフにあって、それから1988年にクレフェルトのオットー・シュルテ・ケリンクスハウスの個人所有となっているようだ。
そしてこのケリンクスハウスこそが、ヴェルナーイェーガーコレクション事件における故買犯とされている張本人なのである。マックス・エルンストなどの偽造品を1993年に死亡しているヘレーネ・ベルトルッチの祖父であるパン職人が市場に出したのであった。
公判では、ケリンクスハウスは、古典的現代美術品を購入したことも相続したこともないのが明らかになっている。今後そうした事情を分っていたオークションハウスや業界が暴かれる。そもそも、カムペンドックの1914年作とされた「馬と赤い絵」に、当時は使われていなかった白チタンが画材として見つかったことから、ケルンのオークションハウス「レムペルツ」で、2006年に二億四千万円で出て二億八千八百万円で落とされていたことから、買い手のマルタの企業によって訴えられて起訴されたのであった。
参照:
Wolfgang Beltracchi ist überall, FAZ vom 21.01.2012,
Das Schicksal korrigieren, FAZ vom 27.10.2011, Von Niklas Maak
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既に昨年ニューヨークのクノエドラー美術館が同じように急遽閉館となり、2007年に十五億円相当の賠償請求がベルギーのヘッジフォンドマネージャーピエール・ラグランジェから出されていたことから、その問題のジャクソン・ポロックの作品もベルトラッチの偽作と考えられた。
ローランサンという画家は、様々なピカソやビラックなどの後のキュービズムの中心人物となるような芸術家たちとの交渉が有名で、アポリネールとの恋に続いて米国の作家クリフォードバーニーとの交渉後、ドイツの画家オットーフォンヴェティェンと当時は結婚していて戦後1920年までデュッセルドルフに滞在していたドイツにも縁のある芸術家である。
そしてこの女性画家が取り分け日本で人気があるのは、藤田嗣治などのブラックの前世代である以上に、彼女の画風が軽みがあって、日本の伝統的な絵画の空間や色合い、素材などが共鳴することから、他の同時代の欧州の画家よりも愛されるからだとする。
今回のローランサンの作品とされている、画家と知己のあった画商アルフレート・フレヒトハイムのポートレートは、1998年に東京の「ギャラリー2」を通して、分類番号1084としてカタログに登場していて、パリのホプキンス・トーマスギャラリーにあったものである。
そのカタログによると、1920年ごろにポートレート本人のベルリン・デュッセルドルフにあって、それから1988年にクレフェルトのオットー・シュルテ・ケリンクスハウスの個人所有となっているようだ。
そしてこのケリンクスハウスこそが、ヴェルナーイェーガーコレクション事件における故買犯とされている張本人なのである。マックス・エルンストなどの偽造品を1993年に死亡しているヘレーネ・ベルトルッチの祖父であるパン職人が市場に出したのであった。
公判では、ケリンクスハウスは、古典的現代美術品を購入したことも相続したこともないのが明らかになっている。今後そうした事情を分っていたオークションハウスや業界が暴かれる。そもそも、カムペンドックの1914年作とされた「馬と赤い絵」に、当時は使われていなかった白チタンが画材として見つかったことから、ケルンのオークションハウス「レムペルツ」で、2006年に二億四千万円で出て二億八千八百万円で落とされていたことから、買い手のマルタの企業によって訴えられて起訴されたのであった。
参照:
Wolfgang Beltracchi ist überall, FAZ vom 21.01.2012,
Das Schicksal korrigieren, FAZ vom 27.10.2011, Von Niklas Maak
芸術を理解するには趣味が肝要l 2010-05-15 | ワイン
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