Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

厳しい行間を読み取る作業

2012-01-26 | 歴史・時事
東京電力福島原子力発電所における事故調査の中間報告書の「Ⅴ 福島第一原子力発電所における事故に対し主として発電所外でなされた事故対処」に目を通した。意見書を纏めるためであるが、その116ページに亘るPDFファイルの中で、問題となる点は以下の項目である。

「1 環境放射線モニタリングに関する状況」の項目では、オフサイトのモニターリングにおいて福島県は12日に初動開始して、文部省に至っては13日になって初めて開始した点と、東電はその初動における結果の一部を隠蔽している点などである。

しかし実際には福一二十キロ圏内からの避難者が被曝していることが13日には明らかになっており、正しく人体実験をモニターリングで確認するという方法が採られていることが明白である。

「2 SPEEDI情報の活用及び公表に関する状況」は、最も事故処理の問題として議論されたオフサイトの対処であるが、日本のマスメディアが進んで取り上げたようにそこに世論をフォーカスさせることで目眩ましする効果がそこに生じている。挙句の果ては、枝野前官房長官がそれを逆手にとって弁明の道具としているのがこれである。(PDF11ページから)

「3 住民の避難」では、「(1)事故初期における避難処置の決定、指示・伝達および実施」の「a 福島第一原発に関する避難処置」において、ベントと避難処置、10KM圏への拡大、そして一号機爆発、20KM圏への拡大時には「大量に漏れ出すものではない」とした政府見解発表、三号機爆発後の30KM圏の指定などと重要な判断過程が扱われている。(PDF16ページから)

また「(5)住民の被曝について」の「b スクリーニングレヴェルの引き上げ」にて13日以降の安全委員会の決定指示や、12日以降の福島県立病院などでの実態を読むと、そこは殆ど野戦病院化していた状況が分る。「e 安定ヨウ素剤の配布」では配布服用の指示が現地に伝わらずとある。(PDF57ページから)

「(6)緊急被曝医療機関の被災」として初期である12日5時現在の「大量に放射能が放出される前」の状況が報告されている。(PDF63ページから)

もう一章に目を通さなければいけないが、こうした報告書の行間やその背後にある事実を冷静に読み取り続けるのは、その状況に身をおいて考えて再構築してみるだけに精神的にとても厳しい作業である。



参照:
中間報告 (東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会)
市民の意識環境を明文化 2012-01-25 | マスメディア批評
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする