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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

小出裕章の虚の権威

2012-02-16 | マスメディア批評
MBS毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」の一部を聞く。福島事故に関して終始小出裕章が電話出演していることから世界中で有名になった番組である。それは今でも続いていて、小出情報を期待しているリスナーは少なくないであろう。

YOUTUBEにアップロードされた最新の録音を聞くと、如何に専門家の言動とそれが与える社会への影響を考えなければいけないかということに思い当たる筈だ。それは、その中で扱われている大権威者である斑目春樹と大した権威もない小出裕章の其々の発言の与える社会的な影響への視点でもある。

本来ならば極少数派しか耳を貸さない後者の発言が、事故と言う事態を受けて、権威喪失の前者の発言よりも社会的影響が高まっていることでもある。しかし、その話題の内容を吟味すると、スピーディ予報に関連して、「刻々と変化する気象条件や地形などを反映させた汚染予想など誰も考えていなかった」ととんでもない嘘をついているのである ― そもそも拡散予想は気象学の分野であろう。殆ど細野剛志の嘘と互角である。

そのような拡散の状況は、少なくとも内部被曝が放射能雲によって広がると知ることで、殆どなんら見識の無い者でも分っていたことである。それを否定しているのは、正しく斑目春樹も小出裕章も役こと異なれ同じ原子力村芝居の舞台に立つ役者であること示しているに過ぎない。

同様な見解は、平等党の田中昭が呟いていたように思うが、その氏のカタルシス独占中継で「矢ケ崎克馬講演会」を観ると更に思い当たるだろう。そこで矢ケ崎克馬は、「高齢者にとっても内部被曝が危険」なことや「農業を控える」ことや更に「瓦礫を拡散させない」ことを主張していて、表面上は小出裕章のそれとは相容れない。この対比によって如何に小出裕章の見解が、非常に現実主義的なものであり、裏原子力村風かが分るのだ。

その語り口の相違は別にして、両者ともその人格は講演会風景の映像によってすらよく捉えられて知られるところであるが、やはり社会的なもしくは主義主張の立場の相違をそこに見出すことが出来る ― 蛇足ながら、上の独占中継が共産主義者?の講演をカトリック労働運動団体が主催して、開放?運動家が中継した構図はとても面白いが、どんなに合わせても世論の5%にも満たないこの三者では東電にすら歯向かえない。

しかし小出裕章のオピニオンは今やそれ以上であって十分にリーダーとなっている。それゆえに、所詮同じ穴の狢である小出裕章の主張を批判的に受け入れることが重要なのである。なるほど氏の主張のように、もはや日本どころか世界も核で汚されつくされているのは事実であり、それをどのように社会が受け入れて行くのかが問われているに過ぎない。

ダイオキシンに汚染された環境で住めないと思えば、東京のホットポイントでも住めない。抗生物質まみれの遺体が土葬されている横の葡萄から出来たワインを飲めないと思う潔癖症では、もはや関東平野などには住めない。それどころか日本中で販売されている食料品などは口に出来ない。

しかし、福島やその周辺での汚染された地域で住む人の被曝などを考えれば、東京湾の汚染や瓦礫の移動による放射性物質の拡散などは微々たるものである。重要なのは正確な情報を基にして開かれた議論に交わされる様々な意見や主張を各々個人が判断して、自治された社会が政治的に判断することであって、そこでの民主的な決定過程こそが権威や説得力ある方針よりも遥かに得難いのである。

現在日本で交わされている議論や主義主張の類からの党派性は、正しくこうした本当に科学的な主張を日本の知識人 ― 科学者面をした売名似非知識人 ― が出来ないか、そうした主張が議論の中で止揚された世論として政治を形成しなのを反証しているに過ぎない。要するにそこでの未熟なジャーナリズムには学識経験者・知識人と呼ばれるあらゆる文化人の知的活動が含まれるのである。



参照:
20120215 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章
林剛平報告+小山昭夫・小出裕章・今中哲二各氏の議論 (YouTube)
矢ヶ崎克馬講演会 (平等党カタルシス中継 )
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