Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

新Aクラスのターゲット

2013-08-23 | 雑感
車がピット入りした。すでに六月には距離超過していたのだが頑張って引き伸ばしたのである。既に1800KM以上超過している。当然の事ながらオイルは下限限界の域で、ボードコムピューターは注意を喚起し続けている。それ以上にシャモニ往復の前から、ABSなどの車両安定装置が故障ということで、即車庫入りを警告されていたのだが、始動時には警告が消えていてスタビライザーが効きそうな状態でブレーキを踏むと警告を発するので、明らかにいつもの電子系統の不具合と見抜いて、様子を見た。すると、自動巡航装置が警告に伴って作動しなくなることに気がついて、今度は自動巡航装置の方から様々試してみた。シャモニからの帰宅時には、出来る限り長い距離を自動巡航装置で走ってみると、もはや車両安定装置等の警告が出さなくなった。

警告を出さないということで、調べさせることもしなかった。恐らくマイスターも気がつかないであろう。調査させるとそれだけで結構な額となるからだ、そもそもドイツ車の電気系統の信頼度はその程度でしかない。

さて、今回代車として一日借りたのは、新しいAクラスで、初めての試乗となる。スポーツチューニングの為されているA200のマニュアル車である。座ってみて直ぐに完全に新しい車となっていた。最初のアイヒテストでの転倒が話題となったAクラスからすると別の車となっていて、その欠点の多くは修正されている。例えば乗り込むときの腰高感はなくなっていて、完全にスポーティーな車となっている。それどころか、車高が低くなっていて、後部座席などは子供向きで、ポルシェに近づいている。

走行感は、太く薄いタイヤのせいもあるのだろうが、撥ねる感じも強く、その点でも以前のイメージのBMWの3シリーズを越えている。加速感も可也のものでこれも911に近い。現行の3シリーズを試してみないと不公平であるがこのシャーシの硬性感ならば、十分にスポーティーさでBMWに対抗できる。それ以上に若干緩いが十分に操舵駆動性もよく、ブレーキもかみそり系でありながら、調整力もある。これならばダイムラー社の本格的なスポーツカーも試してみたくなる ― 高速走行に関しては、返す前に限界域で走らせて、感想を追記しよう。

そして、オートクルージングが方向指示器のレバーの下についていて、常時使える感じになっている。とても使いやすくて、自分自身の車より明らかによい。さらに、マニュアルでありながら、一度セッティングすると、その速度で走りやすいようにとても細かに出力を制御しているようで、スピード違反にならないほど、巡航速度が保たれる。とても素晴らしい技術である。

とても素晴らしい走行感は、静かなエンジン音をタイヤの走行音が完全に打ち消していて ― これは昨今のメルセデスの音つくりのひとつであり、それなりの上質なタイヤを想定してある ―、如何にもドイツ車らしい雰囲気を備えているので、最高速度が時速130KMほどの日本などの高速では十分な満足感が得られるであろう。

反面、がたがた道などを走ると可也はじくので、衝撃を十分に抑えておらず、乗り心地は悪く、更に助手席なども横にならないとヘッドスペースが無いので狭い。更にハッチバックの窓も狭く、殆ど、戦闘機並みの閉塞感である。911などよりもはるかにタイトな移住空間である。若夫婦と赤ん坊で、精々片道二時間ぐらいの走行が限度だろうか。

価格も、借りた車が二万八千ユーロであるから、二十代から三十代の若い人向きの車で、まさしくそこに市場ターゲットを組み立てた車なのだろう。なるほど、これならばBクラスを選択する別な市場もあることは分る。

運転の心地などは決して悪くは無いのだが、我々の感覚からすれば、もう少しの高級感が欲しい。例えば振動で音を立てる内装などは、明らかにスペインなどの外国産であり、メードインジャーマニーでないことを示している。

序ながら、この車には、車載カメラがついていて、バックの操作が一望できる。とても面白い、次の車は、パーク補助を付けるならばバックカメラも付けた、ネットシステムとしたい。夜間赤外線カメラも是非装備したい。


追記:アウトバーンで本格的に走らせてみた。恐らく最高速度は190KMほどで、現在の水準からすれば遅く、180KMからの加速は時間が掛かり、185KMしか出せなかった。安定性はレクサスなどと比較して悪くはないが、肝心のブレーキが高速ではあまり鋭く効かなくなる。タイヤが良いためか、ハンドルの切れも悪くはないのだが、もう一つ正確さに欠ける。一日90KMほど乗って、10Lの消費は多過ぎる。再び自らの車に乗り換えると、何時ものようにそれほど硬性感を感じないのは、この車が如何にスポーツ仕様になっていたかと言うことである。しかし、暫くすると、ハンドルやブレーキの扱いの精妙さが全く異なることに気が付き、騒音や居住性だけでなく、走りそのものの質が違うことに気が付く。十年以上前の車でも、価格が全く異なることからすれば当然と言えば当然なのだが、ワインと同じでそれを必要とするかしないかは、そもそもその差異を知っているかどうかの違いであって、「高級」な市場はそれほど拡大していないだろう。



参照:
安定と静粛の乗り比べ 2008-05-09 | 雑感
誤まった制御装置プログラミング 2010-02-15 | テクニック
空気バネの車が欲しくなるとき 2011-01-24 | テクニック
市場が見え難い車Bクラス 2012-08-14 | 雑感
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