Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

一杯引っ掛け風邪予防

2013-09-13 | 試飲百景
昨晩から一段と寒くなった。薄手のガウンでは暖房が無いと厳しかった。しかしここで入れてしまうともう離せなくなる。本格的な冬籠り体制にはまだ早く、移行期をつくっているのだが、風邪をひかないうちに体勢を整えなければいけない。

更に雨が続いて陽射しが良くないので、葡萄の発育にも明らかにマイナスだろう。来週位は晴れてくれるかと思うと決して予想は芳しくない。十分に果皮が暑いとは感じなかったのが、水曜日にダイデスハイムのホーヘンモルゲンからキーゼルベルク、モイズヘーレ周辺を散策した印象である。

酸がまだまだ強く熟成させなければいけないのは当然だとしても、木によって生育状況は大分異なった。意外に感じたのはブリュクリン・ヴォルフの木は少し老化している感じで、その割には十分に太さが無く、ホーヘンモルゲンの葡萄はそれほど抜きに出ているとは感じなかった。隣のキーゼルベルクのフォン・ヴィニンゲンの手入れは散々足るもので、この醸造所のワインを試飲する意欲はまだ当分起こらないだろう。

それでもミュラー・カトワール醸造所の試飲会で久しぶりに出会ったメッケンハイムのモイズヘーレファンの親仁はヴィンニンゲンで購入しているようだっだ。それなりの地所を保有しているので、それはそれでよいのだろう。

2010年産カルクオーフェンをフォン・バッサーマンのコレクションから開けたが、流石に酸は効いていたものの比較的早く残糖感を感じさせたことからその醸造法の限界を明らかにした。あの酸の質と量感が取り柄ではあるのだが、なるほど土壌感は出ているものの2010年に期待される偉大なワインからは程遠かった。

フォン・ブール醸造所で試飲した。静まった移行期の醸造所の雰囲気は変わらないのだが、次から次へと個人客が試飲に押しかけてきているのは時期柄とはいいながら、場所の利などがありそうだ。近所の新たな客やコペンハーゲンからのドイツ在住のデンマーク人などが訪れるのもそうした事情がある。

要約すれば、2012年の酸の弱さから、糖を3Gほどまで極力落として、アルコールが13.5%と高くなっているのは、ミュラーカトワールの生き方と似ているが、ブュルガーガルテンと名うてのフォルストの地所のテロワールの違いは甚だしい。なるほど口が慣れていないうちは薄っぺらく酸とアルコールの苦味でちっとも面白くないのだが、途中でゼクトで口を濯いでからやっと判断できるようになった。

矢張りミネラル豊かで飲ませるのはキルヘンシュトュックであることに間違いなく、その価格は仕方なく、レープホルツ醸造所のカスタニアンブッシュなどとの競合となる。但し、ああした味つくりをしている訳ではなく、丁寧で真面目な作り方をしているだけなので、開いてくるのを待つしかないが、2012年にはそれほどの瓶熟成が期待できるわけでなく比較的早めに開けれそうだ。

その意味からは、ウンゲホイヤーの酸などもある程度熟成すれば開けてしまえる気安さがある。初めから香りが楽しめるペッヒシュタインも最初に開いてきたときが楽しみではないか。イェズイーテンガルテンは、その点ミネラル風味として物足りなく、更に糖が少ないので存在感がないのだが、安定感があり熟成には心配はいらない。その傾向から、大抵は重くて仕方がないライタープファードの赤い砂岩のような独特の味質が素直に楽しめるようになっている。

全体の印象としては、毎年同じような糖と酸のバランスの合わせ方と丁寧な造りは変わらず、投槍で固執したような主張を感じさせないのが好感を持てた。なるほど偉大なグランクリュを期待している向きには物足りないのは当然で、ややもするとうすべったい感じになるそのリースリングであるが、それなりのエレガントさと誠実さは感じられるので、食事に上手に合わせてやるととても楽しいワインとなる。

序に口直しに飲んだペッヒシュタインの2009年物のゼクトと、グランクリュの次に優れているモイズヘーレのリースリングを購入した。どちらも機会があれば年内に楽しめる訳で、その価格も現在の水準からすると決して高くはないのである。但しペッヒシュタインのゼクトは愛好者向きの海産物向きのゼクトであり、誰にも勧められるものでないことは既に学んでいる。



参照:
ドイツ最高価格地所のワイン 2013-09-07 | ワイン
完全に終わったその伝統 2013-08-20 | 試飲百景
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