Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

いよいよラストスパート

2013-09-01 | アウトドーア・環境
相棒が金曜日の石切り場に五週間ぶりに顔を出して、翌日は眼鏡親方親子と共に「犬岩」に一緒に登りに行った。子供に喜ばれる這って二十メートルほどバンドを進むルートに付き合った。とは言っても、這いつくばるのはクライミングとは違って、軍事訓練だろう。案の定相棒も嫌がったので、親子が行った後は、懸垂下降して、最初の確保地点へと直接登る。これまた奇岩地帯の英雄フリッツ・マンが1922年に登った割れ目である。昨年事故を起こしたのも彼が1911年に開いたルートから迷ってのことだった。

難易度では公式には6級で危険度2となっているのだが、ガイドブックにも実質的には厳しい6級上と言うことになっている。上から確保して貰ってもその難しさは変わらないが、昨年登った「神々の割れ目」の核心部よりは優しかった。相棒が大変苦労していたのは、休み明けで体が重かった以上に割れ目を横から力を掛けて立ち上がる技術を持ち合わせていないから、完全に彼の限界を超えていた故である。

実際登ってみると、割れ目を横から引いたり、割れ目の中を襞を最大域で使いこなすことで、何とかなり得るのだが、もちろんそうなると幾らバカ力があっても登れないのである。なるほど一二か所は割れ目の外側にある小さな指先がかろうじてかかる手掛かりで体を持ち上げないといけないので、下腕に可成り負担がかかる。その負担はなるほど5.10である。しかし、左右への体重移動の難しさは6級であるから、公式にはその難易度が採用されているのだろう。

移動中間支点を設置するのは、その左右への体重移動を習得しているならばなんとか設置できるのであるが、指先で体を持ち上げてから次の体勢を築いてからの設置は、半身を割れ目に押し付けているような状態ではかなり厳しいものになる。この辺りの技術が今後の課題で、登る動作の連続とともに支点の設置までを終了させる滑らかな体運びが出来ないとその壁は超えられそうにない。

こうした塩梅で、そのようなものを先にやってしまったものであるから、肝心の課題は全く手が付けられなかったが、その一つは既に2011年に登っていることが頂上の記帳で分かった。それも予め中間支点の位置や設置方法に見当をつけておかないと、登る技術以上に梃子摺って、慌てふためいてオヴァーハングを乗り越えられないというような代物である。奇岩地帯の難しさは、まさしくこのような雑食砂岩の特徴に慣れてそのような定型の形状に見当をつけることが出来るかどうかなのである。それに比較すると石灰は単純明快で、花崗岩は緻密繊細ということになる。

来週あたりに天候に恵まれれば、こうした積み重ねを、更に充足させて、確信へと導きたいところであるが、そうした定型も新たに見つけられるかもしれない。室内の練習では全く見当がつかないのはこうした割れ目の技術であるが、垂壁はそれほど未知のものは無い筈だ。もう一度今回の割れ目についての虎の巻のコメントを読んでみよう。

「心から本物のプファルツの割れ目である。これを愛さなけばいけない。これまでに、必ずその度毎に、手の甲の皮が無くなって寂しい思いをしている。」、とあるが、しかし実際には一つも出血することがないほど、中に手の楔を効かせることが出来ないので難しかったのである - 後でひろひりするのでみると膝上と肘上に傷がついていた。そしてその傷で気がついたのは、下腕、下肢を使う楔止め技術をも利用していたことである。なるほど相棒のこれまでの経験ではあまり使ったことのない技術かもしれない。



参照:
傷だらけの人生とか 2013-05-03 | アウトドーア・環境
腕の傷が増える事情 2013-05-06 | アウトドーア・環境
リセットさせる岩質や摂理 2013-06-17 | アウトドーア・環境
コメント
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