Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

土産になる高品質甘口ワイン

2016-05-30 | 試飲百景

週末には予定ではいけなかった試飲会に出かけた。丁度日本からのお客さんもいて価値があった。それでもなによりも価値があったのは昨年より今年の方がナーヘのデーノッフ醸造所がVDPのテロワールを強く押し出しようになったことを確認したことである。

今まではグローセスゲヴェックスの三種類の地所と土壌は光っていたのだが、それ以下の地所では充分にプレゼンテーションが出来ていなかった。これを明白にすることで、テロワーの描き方に以上に配慮することになる。

正直、グローセスゲヴェックスに比較するとそれ以外の地所では魅力が薄過ぎるので、2014年産などはグランクリュ以外は一本も買えなかった。しかし2015年は違う。それでも、甘口のブリュッケなどを除く、カーレンベルク、ホェーレンプァートなどは今後ものになるかどうかは分からない。可能性あるのは、土壌の組成によるシリーズ化か、ナーヘリースリングなどの広域化だろうか?

その中で二週間前にホッホハイムで試飲した時には酸が足りないと思ったトーンシーファーが素晴らしかった。なるほど酸は足りないが葡萄の熟成度と清潔さが気に入った。少々酸が薄くとも食事に楽しめるだろう。ライステンベルクの炭素分の多い灰色のスレートが美味い。

グランクリュでは、フェルツェンテュルムヘンはグーツリースリングのようにイガイガ感があって、如何にも果実の健康に問題を感じた。その意味では昨年の綺麗さが無かったのもヘルマンスホェーレも長く熟成させる価値はなかった。その意味からはデルヒェンは清潔感があり瓶熟成が楽しみだ。

そしてとても興味深かったのはこの醸造所を超一流にする甘口のリースリングである。適当に何種類か試してみた。昨年試飲して、所謂昨今流行の甘口もしくは殆ど飲まれない甘口の中でもある程度の国内市場もある軽い甘口がとても上手に造っていたのに感心した。軽快ではあるのだが土壌感やミネラルなどテロワーが表現されていたからだ。

その流れでアイスヴァインなどで有名なブリュッケやラーゲンヴァインを試して、アウスレーゼなどを試して、断トツに素晴らしかったのはヘルマンスホェーレ2015年のシュペートレーゼだった。価格もアウスレーゼなどよりは高価な27.50ユーロだったが、これは見事にそのテロワーが楽しめる。甘さよりもミネラルを感じる甘口である。

要するに昨今流行のそれほど甘くなく軽いアルコールの甘口もそれだけならば清涼飲料水と変わらなくカロリーばかり高くて、コーラよりは健康的かもしれないが、アルコールが入っているだけキッチンドリンカーになりやすい。

そうした炭酸飲料類のものとは全く対極にあるのがこの甘口で、これならば食事によれば合わせるかもしれなく、決して甘いとは思わせない味わいが楽しめるのだ。勿論単体としても食前酒としても食後のデザートワインとしても楽しめる。そして何よりもミネラルを吟味して、香りなどを楽しむことで、本格的なリースリングを嗜む切っ掛けにもなるようなものだ。エゴンミュラーのシャルツホフベルクなどよりも土壌も明らかに優れている。女性三人もいる家庭へのお土産には文句無しだ。通常瓶も直ぐに空いてしまうだろう。

 

参照:
石橋を叩いての樽試飲 2015-06-08 | 試飲百景
これもリースリングの神髄 2016-01-06 | ワイン


コメント
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