Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

配役変更にも期待

2018-01-19 | 雑感
配役変更の知らせが入った。金曜日の「ヴァルキューレ」のヴォータン役をヴォルフガンク・コッホに代わって先日アルベリヒ役で喝采を受けたヨーン・ルントグレーンが歌うようだ。ヴォータンもバイロイト祝祭で2016年に歌っていて、完全に歌が入っているようなので安心だ。それよりもコッホの調子が気になる。プッチーニは仕方なかったとしても、先週末の「ライン黄金」でも絶好調には遠かったので、今回もニーナ・シュテムメと充分に張り合うのは厳しいと思っていた。体調が悪いのか喉の調子なのかは分からないが、「ジークフリート」のさすらい人役はルントグレン扮するアルベリヒとも絡まなければいけないのでどうなるのだろう。ルントグレンはアルベリヒの歌唱ではとても安定していたと感じたので、稽古でしっかり詰めておけば素晴らしいブリュンヒルデとヴォータンの掛け合いが堪能できるだろう。

その三幕は二場は、バイロイトの録音ではベルカントのコッホと滑稽な音程で歌うフォスターの掛け合いが気になるところだが、「四分音下げて」と書かれたフォスターの歌の上行と下行を各々特徴づけて音程付けて歌うようになっているようなのでやはり簡単には修正出来ないのが分る。二場ではこの二人のペアーはそれなりに釣り合っていた面があったのだが、今回は明らかにヴァークナーソプラノのニーナ・シュテムメということで、これまた本格的なヴァークナーバリトンのルントグレンでなければやはり厳しかったかもしれない。

また一幕と同じで比較的構造的には単純だ。特に一場の騎行からの重唱のアンサムブルなどはバイロイトとは違って特に期待したいと同時に管弦楽がどこまで詰めて来れるのか。2015年のそれは流石に録画の予定があったのでアンサムブルの程度は達しているのだが、やはり声楽との合わせ方は劇場の特殊事情からカラオケ的になっている。

三場も全く問題ないだろう。今回は声の質が変わることから、一幕から三幕まで可成り大きなダイナミックレンジが取られるのではないかと想像する。バイロイトのそれでもコッホの歌に合わせて丁寧に管弦楽が付けられていたので、今回は圧倒的に表現の幅は広がるのではなかろうか。ジークムントを歌うオーネイルも十八番の役なのでそれほど外すことはないのではなかろうか。いよいよ歌手陣も本格的なヴァークナーになってくるようでこれで楽しみだ。

ネットのリンクからキャスリン・フォスターとランス・ライアンの出ているヴィースバーデンの劇場のサイトを覗いた。上手にヴィデオを作っているようで上手く劇場の規模などを誤魔化している感じだ。興味を持ったのはライアンがそこで熱心に歌っていてドイツ語でインタヴューで話していることだ。そしてタンホイザーを歌っている。クラウス・フォークトの歌がなんだかんだと言ってもやはりライアンならどうだと尋ねると皆言葉が出ないだろう。フォスターの歌唱やらライアンのそれのバイロイト祝祭での公演を思い出しながら、さて今回のリングは蓋無しの上演との差異がどこまで活きて最終的にどのような成果になるだろう。前夜祭「ラインの黄金」に関しては、ヴァークナーの声が無かったと2015年春のミュンヘンのそれに比較して批判されていたが、次が楽しみだ。



参照:
創作の時をなぞる面白み 2015-08-11 | 音
調えたいとても快適な環境 2017-08-27 | 女
コメント
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