Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

二重写しに見えないもの

2025-02-16 | 歴史・時事
4月以降の計画を見直している。変更することはあまりないと思うが、具体化していなかった点をもう少し計画立てる。復活祭にお準備が始まる前にフランクフルトでのエンゲル指揮の練習もはじまるだろう。ハノーファーもお休みになっているようで来週辺りか。

アリベルト・ライマン作曲「ランヴィジブル」はメーテルリンク原作の三部作の戯曲をまとめたもののようでまさしくしそれは死の影の様だ。フランス語その儘のテキストらしい。演出がどのようになるのかは知らないが、少なくとも指揮者エンゲルにあっている作品ではないだろうか。ライマンはやはり歌の扱いが上手いと思うので、指揮者の腕の見せ所だ。

丁度復活祭にも重なり、フランクフルトといえども全公演には出かけられないが、良ければ頑張って間も埋めたいとも思う。復活祭の「蝶々さん」は悪くはなくても今回はそれよりは評価の高い制作で、再び今度はペトレンコを蹴り落として単独で「今年の指揮者」を狙えるのではなかろうか。残念乍らハノーファーのそれは新作初演としてノミネートされても賞を獲るのは難しいだろう。やはり出向くのが面倒になる制作というのは存在する。

フランクフルトでどれほどの質が期待できるかであるが、少なくともニールセン「マスケラーデ」はブルーレイで繰り返しても鑑賞に堪える質とはなっている。問題とされたのは独逸語訳の趣であり、それは制作の基本コンセプトであるから仕方がない。

ドイツェオパーベルリンの委託で2017年創作初演であるから、素材も限られていて、2019年のブラウンシュヴァイクでの第二制作、昨年ベルリンでのランックルス指揮での再演で、今回は第三制作となる。いつものように指揮者エンゲルが歴史に残る制作を導くのかどうか。演出も全てが上手くいくかどうかである。

石炭の穴掘りの映像から、「大脱走」の映像に進んだら、とても興味深い映像に当った。それが1960年代にアルゴイでロケ撮影されて世界的に大成功したハリウッド映画に関する映像である。アルゴイのその地域は数年前にガルミッシュパルテンキルヘンお帰りに宿泊したが、アルプス行の往復に数え切れないほど走った地域でもある。其処らでロケされていたこともよく認識していて、この辺りと目星をつけていたところもある。然し、厳密に映像と合わせたこのYouTube作品は秀逸で興行的に大成功した制作のそのロケ地選定やカメラアングル以上の面白さがあった。
THE GREAT ESCAPE (1963) | Official Trailer | MGM


あの地域を毎週のように一緒に車を走らせた隣町に駐在していた友人に紹介するときにその面白さの意味が分かった。当時車を走らせたオーストリアへの国境は今はトンネルで繋がれていて、フッセンの街に下りて峠道から50km制限道路でネズミ捕りに現金を払う必要もなくなった。だから件の街並みを通ることもなくなった。
Steve McQueen - The Great Escape (motorcycle scene)


そしてその街並みは今回の昨年アップされた映像で分かるように我々が毎週通った街並みとも違っていた事に気が付いた。それは、映画ロケから30年とそこからまた30年の時が経過しているからである — 脱走のそれはそこらか僅か20年目の出来事だった。則ち我々の立ち位置がその時の経過に加わっているからである。
THE GREAT ESCAPE (1963) - Original Bavarian Filming Locations (2024)


勿論史実はポーランドの捕虜収容所から西へとまるでヴァルター・ベンヤミンの様にスペインへスェーデンへと250人中逃げた僅かな英国軍のその場所柄とは関係ないのだが、我々が見た風景がそこに二重写しとなる。



参照:
熱心な人がいるお蔭 2021-07-07 | 雑感
しっかりと押さえた 2024-07-10 | 生活
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする