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Wein, Weib und Gesang

ワイン、女 そして歌、此れを愛しまない輩は、一生涯馬鹿者であり続ける。マルティン・ルター(1483-1546)

ヴァカンス気分に満ち溢れる

2013-07-16 | アウトドーア・環境
先週からラインラント・プファルツとヘッセンは学校が夏休みとなった。このようになるといよいよその州は本格的なヴァカンスシーズンとなる。フランスのような中央集権主義とは異なるので、州毎に敢えてずらしてあるために、パリへと繋がる道の大渋滞はない。これを連邦共和国と呼ぶのである。歴史的な背景以上に合理主義でこその成果である。

大阪や大阪府がなんだかんだとほざくよりもこうした合理主義こそ関西人は見直すべきである。商都大阪の歴史的な文化には権威主義を排した功利主義がある筈だ。そうした精神を侵すものには敏感である筈だ。

パン屋も月曜日から二週間の夏休みに入った。なぜか今年ほどそのヴァカンス感覚が充満している年を知らない。それは天候の影響と思われる。偶々今年はその時期に計画があったこともあるが、それ以上にとんでもなく暑いわけでもなく安定した天候がその気分を高めている。室内にいるのが惜しい環境なのである。

そして天気予報を見ると、期待していたほどにはアルプスの天候はここほどには安定していないことを知る。それでも木曜日まではなんとかぬれずに済みそうなのだが、さてどうなることだろう。毎年八月の声を聞くまでの、もしくは八月前半までが最も天候の安定する時期なのである。



参照:
希望という自己選択の自由 2009-06-19 | 文化一般
心の鏡に映される風景 2005-11-23 | 音
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温度調整つきの環境

2013-07-15 | アウトドーア・環境
靴下を購入した。シャモニ周辺で歩くためだ。つまり万年雪の無いところはトレールランニングシューズで歩くので、靴下が重要だ。現在使っている左右対称のトレールランニング靴下は、とても機能的なのだが、タイトで丈が短く、走り続けていないとなんとなく圧迫感があるのだ。長くタレタレと歩いていると違和感が出て来ると感じた。

そこで注文したのは、同じように温度調整機能のある若干毛なども混じったハイキングシューズ用の靴下なのだ。勿論、山靴用ではないので、違う快適さがあるはずなのだ。保温よりも水捌けや足が蒸れないタイプである。兎に角使ってみないと靴に合うかどうかは分りにくい。

今日は気温は上がらなかったが夕方になっても首の周りに汗を掻く。湿気も高くなっているのだろう。しかしこの安定した天気もそれほど続かないだろう。それほど暑くはなり過ぎないので、雷も来ないほど安定している。



参照:
サウナのような大気 2013-06-19 | アウトドーア・環境
ヤッケを着て出かけた 2013-04-21 | 生活
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長谷川ういこ照会番組

2013-07-13 | アウトドーア・環境
三月に車の中で予告されていた番組をようやく聞いた。今まで聞けなかったのは時間がなかったからでもあるが、じっくりとその番組に耳を傾けたくなったのは、IWJで一つのプログラムを見たからだ。

妊娠中で厳しい選挙を戦っている緑の党の長谷川ういこ共同代表を紹介する南西ドイツ放送協会の文化波の夜の番組である。この時間帯は車に乗っていることが少ないので「タンデム」と称する番組は殆ど聞いたことがない。そして聞いてみた。

予告編ではタバコのみのおじ様たちの政治の世界に驚いたというような触りがあったが、彼女の政治入りの経過がインタヴューされている。フクシマを受けての大飯での殆ど歴史的なバリケードのことなどが、その必然性とともに語られる。

既に連邦共和国ではおなじみの彼女であるが、こうして語られてそのプロフィールが上手に紹介されている。それと同時に緑のカフェーと呼ばれるような活動の一角を占めているのだろう自然食品レストラン「ろくろ」やロックグループ「フライングダッチマン」の活動もインタヴューを添えて紹介されている。特に後者のYOUTUBE映像は可也世界中で評判のようだ。

本来ならば重要な支持層である都会の高学歴の人たちの政治離れが甚だしい。その一方、ボトムアップ型の緑の政治が日本にこそ必要なのを理解するのは決してドイツ人だけではない筈だ。

しかし、その問題はなにも上の映像のメッセージを改めて見聞きする必要すらなく、フクシマ後に最低SWR2の十分の一も日本のメディアが伝えていたならば、せめてその質さえあったならば決して現在の日本の政府は正統性すら持たなかったことであろう。



参照:
"Man muss hoffen, sonst wird's hart" (SWR2, Tandem)
Frying Dutchman: humanERROR (YouTube)
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鷲の嘴の上の影法師

2013-07-12 | アウトドーア・環境
車の外気温は優に摂氏30度を超えていた。その心算で遅めに涼しい岩場へと出かけた。到着は五時前だと思うが、陽射しは一向に衰えていなかった。それでも人気も少なく森は乾いていて、風通しがよいのでこの奇岩を選んだのである。鷲の岩である。前回は昨年の秋に遅れてやってきて少し登っただけで、頂上の記帳に日本人女性の名前を見つけたのだった。

それらのルートも登るリストには入っているのだが、先ずは暑い最中であり視察を兼ねて写真を撮影して、御目当ての鷲の嘴と頭を目指す。本峰の方である。そこには多くのルートがあるばかりでなく、その難易度からしても殆ど無尽蔵である。とは言ってもそれほど容易な初心者ルートは無く、難易度5.12のルートは恐らく将来とも殆ど登ることはないであろう。

それでも岩質も砂岩の良い特徴があり、今後様々なプロジェクトを展開していきたい岩場なのである。更に先にボルダーがあるというのでそれも試してみたい。さて、今回はオリエンティールングのために何処からか稜線まで上がって、二つの頂上を目指すというものである。現場を見て各ルートを同定して、最後のルートが森の日陰から登りだして、凹角に入って稜線へと抜け出す涼しそうなものだったのでそれを選んだ。なによりも手に汗をかくことなく安全に登って、上で涼むのが目的だ。

虎の巻に書いてあるように試みるが、予想していたオヴァーハングの場所の下へと至るまでに核心部があった。事後再度調べてみてもそれほど確信はもてないのだが、オヴァーハングの岩窟の左の細い割れ目にシルヴァーのフレンズを差し込む。それがあまりに入り込みすぎて、日曜日に続いて先週購入したばかりのそれが明らかに回収困難になった。しかし落ちて怪我をするよりは安上がりなのである。先ずは安全はある程度確保して、頭上に隠れていたリングボルトを見つけたのだが、虎の巻には「冗談ではなくて無視しろ」と書いてあったことを思い出す。そして「右へと水平に動く」とある。

そこから考えたのは、少なくとも真っ直ぐに上に上がるのは左の割れ目の手掛かり以外には足場も無くありえるのは上のスロープの小石ぐらいである。これならば明らかにその難易度を超えそうなのである。しかし、上のスロープの角には確りした手掛かりが全く無い。そこで一つの手掛かりを持ち替えながら、右へと移動して、左右に開く足場を使える。そしてスロープまで至ると、こんどは右手に割れ目が見つかり、そこに手を入れて岩窟のスロープに立つ。そして無視すべきボルトにザイルをかけて、次のハングの下にあるボルトに至り、そこから無視すべきボルトまで戻りそれを外して、上のボルトにぶらさふがる。そこから上部は、冬の間に練習を積んでいる、手掛かりのある被り気味の場所なので問題なく抜けた。

相棒は、先ずはフレンズを回収できなくて、更にそれを断念して左の岩窟には一切入らず登ってきたが、被り気味のところで苦労していた。左の壁の手掛かりを上手に使えないためであるが、正しく単純に手掛かりを上に上にしか求められない技術不足なのである。本人がそれに気がつかない限りどうしようもない - 室内の練習においても同じ課題を抱えていたのだった。その後、仕方がないので私自身が岩窟まで降りて、二種類の楔はずしフックを試してなんとか回収する。もう少し医者ならば細かな作業をこなして欲しいが、そもそも内科の開業医だから不器用なのだろう。友人の専門の外科医などを見ていると全く同じ医者でも性質が全く異なることに気がつく。

稜線を進み、二つの岩峰を越えて、先ずは鷲の嘴に立つ。上で確保する相棒の影絵が鷲の頭の上に映る。嘴と頭の間のキレットを通り抜ける風がヒンヤリしてとても気持ちよい。これを味わいたくて来たのであった。陽は赤みを帯びてきて、今日のハイライトであった。



参照:
岩峰頂上の記帳に日本女性 2012-10-03 | アウトドーア・環境
夏全開の涼みがてら 2013-06-21 | アウトドーア・環境
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テプコの海岸井戸試料検査

2013-07-11 | マスメディア批評
吉田所長の訃報は世界を駆け巡った。福島の現実を直視していないのは当事者である日本人だけであろう。本来ならばアベノミクスや憲法云々のところではないのだが、少し距離が離れているだけで人事だと思わされている。日本の原子力政策が欧州のそれと違って日常の視覚から消されたところに発電所を大量に作って、それを意識させずに電力を消費させている構図がここでも功を奏している。なんて日本の官僚は馬鹿な大衆を欺くことに長けているのだろうか。

そしてここに来て、その排水が地下水脈として溢れ、今後何百年も海洋に薄められて流されていくことが明らかになった。地下水脈の濃度が上がる状態では、もはやそれを阻止することは不可能に違いない。そのことは、大気汚染と同じぐらいに当初から想定されていたことであり、その汚染は途轍もなく大きくなる。

ARDのアーカイヴで、伴氏がその手遅れとやるべきことをやらなかったテプコでは手に負えないことを語っているが、テプコの連中は自身の在職中そして退職金を貰うまでのことであり、官僚も政治家も百年どころか二十年先のことにも興味が無い。誰も責任を取らないのは大日本帝国のそれと同じである。

しかし、とりわけ福島の住民は、その土地を追われて、漁民は少々場所を移したぐらいでは金輪際漁などが出来るはずがないのである。未だに風評被害などという言葉が流布しているようだが、これは福島に漁協が存在するのと同じぐらいな七不思議である。

テプコは、その汚染水に関しては、どんどん薄めることで海洋投棄が出来るまでに濃度を下げて、管理しながら減らしていくことをもくろんでいたのだろう。現在もその濃度が上昇している汚染した地下水は海に流れている証拠は無いと嘯いている。恐らくその地下水の海への出水地点などは熟知していてその場所に海洋の渦を置くようにして希釈効果を高めるように努力しているに違いない。

時間稼ぎとして放射能の値が高く出るようになった原因調査をしているようであるが、それが分ることで海への排出を防ぐことが出来るというのだろうか?微粒子が汚染されていようが、水が汚染されていようが、海に流れてしまうなら同じである。テプコが思い掛けないところで隠しおおせない規模で汚染が進んでいることを注視すべきである。サムプルにフィルターで濾過して何もかも除けるぐらいなら問題は無いわけであるが、そのようなことが簡単に出来るようならば誰も心配しない。こうした原子力行政を推し進める政府を、選挙によって御墨付きを与えるような国民が全て悪いのである。



参照:
フクシマ後の現状認識研究 2012-08-22 | BLOG研究
「緑の党」結党と国会大包囲 2012-07-31 | マスメディア批評
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ヘクセントリックフリークとは

2013-07-10 | 雑感
週に三回も岩登りをしていると時間が無い。週に二回走るのがとても困難である。それでも全く走らないとなるとなんとなく体調管理が出来ないような気がする。一週間ぶりに走った。時間が無かったので、朝早めに出て軽く流す感じで谷沿いを走った。流石に外気温18度と言ってもここ暫くの熱気が森の中にも残っていて草熱れである。更に起床後あまり時間も経っていなかったのだが、七分では走れると思った。その通り1208歩、七分である。顎を出さないように駆けたので、それほど悪くは無い。帰りは少し頑張って、1320歩、八分であった。これも歩幅が狭くならないように心掛けたのだが、歩数で百歩も多くなっている。この差をもう少し埋めたい。

月曜日早朝に注文した山道具が届いた。試してみたかったのは二つ目のヘクセントリックである。先ほど購入した大きいブルーのそれの使い勝手もよく、十分にフレンズ使用域の穴を補ってくれる。なによりも機械的な楔ではなくて物理的な楔であるので、目視で確り効いているとなるととても信頼感もあり、重量も軽い。今回はゴールドのそれよりも一つ小さいサイズである。もう一つ小さい赤にする選択肢もあったのだが、通常の楔を補うというよりも機械式のフレンズを補うものとしてその軽量化とともに考えており、なによりも試してみたい二つ重ねて大きな割れ目に押し込んで使ってみたい魂胆があったのである。

つまり、同じ形でもあまりサイズの差が大き過ぎても使い難いと考えた。実際に、二つの六角楔間の摩擦係数やその接合面積など考えなければいけないのだが、実際に安全に使えるかどうかは自分自身の経験では分らない - この道に関しては、現行の機械式フレンズが無い頃に、これを駆使していた人が居り、そうした本格的なヘクセントリックフリークと呼べるような人のノウハウはなかなか身に付かないであろうが。しかし、この合わせて11CMを超える幅の楔は通常持ち歩かないので、いざと言うときに使える可能性があるだけでなく、それ相当のものよりも大分軽量化できるのである。



参照:
新しく届いた六角楔の練習 2013-05-09 | 雑感
涼しい夏の岩場の一時 2013-06-28 | アウトドーア・環境
犠牲にした捨て縄を補填 2012-06-13 | 生活
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合理主義の夫婦機構と家庭

2013-07-09 | 
日本では女性手帳が問題になったようだが、それは欧米では特にドイツにおいては宗教界の仕事ととなる。それもこのブログの主題となっているようにプロテスタンティズムがその社会の規範となることから、今回の教書の改正に話題が集まる。

日本においては、生殖のための結婚と家庭がその全てとして、学校などでも教え、更に少子化社会への対応策としてそれを社会の基本にするばかりか、高齢化社会に対応するどころか国軍や徴兵によって、まるでシナ人がそうするように若い子供を社会の人身御供にしようとする思想が復活している。

それに比較すると、近代化の基礎として世界を牛耳ってきたプロテスタンティズムがここに来て、そのありうるべき夫婦関係や家庭を批判的に新たに指針として改正しようとしているのはその合理主義所以である。

つまり、夫婦関係は決して神的なものではなく、世俗的なものであるという実際にマルティン・ルターに発する考え方を推し進めて、家庭内での立場を男女関係だけでなくて、その経済性をも重視した夫婦の機構として捉えるのである。

そこには、聖書に定められているかのような男を助ける女性の立場よりも遥かに一般化した同性の人間関係の延長としても捉えているのである。正しく、イスラム批判にあるそのイスラム社会の非現代性批判をそのままキリスト教批判にも広げる形になっており、あらかじめ友好的に開示しているカトリックから批判が出ている。

その結果として、一生涯夫婦でありえることは幸福であるが、それ以上に重要な機構としての働きを重視するということでもあろう。非常に現実的でもあり、その現実に影響を強く与え続けるという意味である。



参照:
スイス合理主義の判断 2012-01-11 | アウトドーア・環境
エロ化した愛の衝動 2007-01-04 | マスメディア批評
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今夏シーズン前半の頂点

2013-07-08 | アウトドーア・環境
なんとか今年前半のクライマックスを超えた。大南壁の準備をしており、技術的には全く問題が無かったのだが、いざ登ってみると、取り付きがじめじめしていて、最初の中間支点のハーケンまでに苦労した。フレンズを挟んでなんとかなった。そこから割れ目を登り、次の割れ目を左に見て、赤のフレンズを設置した横にハーケンを見つけた。如何に目が効いていなかったということである。

そこから明白な左上のリスへ上がろうとしたら、手掛かりが音を立てて割れた。これはやばいと悟りハーケンのリングまで戻ってきた。十分に5.10が始まる辺りであった。どうも左の割れ目に入ると、七級マイナスつまり5.10のルートへと入っていくところであった。なるほど後で調べると、辛らつなルートとあるように明らかに自身の実力を超えていて、落ちるところであった。

右の細い割れ目へと抜けるプレートを少し登ると古いハーケンの痕跡もあり、古の1948年のルートだと分った。その上の細い割れ目には、二本のフレンズをねじ込んだが、上の二つ目が中に入りすぎて回収が難しくなるほどだったので、下の一つ目を回収した。しかしこれで割れ目から右へと抜けるまさに六級マイナスの場所が気持ちよくこなせた。

細いバンドから上の小さなオーヴァーハングを目指す途中に更にピッチを切ることの出来るリングを見つけたが、そこに長いシュリンゲを掛けて上のハーケンを目指して登ってみた。出来る限り一気に登ることを練習したいからである。幸い、ハング下のハーケンまでは問題なく登れて、更にオーヴァーハングを覗きに登った。十分に手掛かりがあり、真ん中の割れ目には大きなフレンズを挟めることが分ったので挟んで、一気に乗り越した。技術的には全く六級マイナスで完璧にこなせる場所である。さらに乗り越しも比較的楽にこなせ、「やった」と叫んだ。

技術的にはこなせて当然だったのだが、日曜十時前の湿った森の空気の中での仕事始めとしては下部の取り付きは厳しく、更にオリエンティールングの難しさや手掛かりの破壊などの心理的な圧迫が大きかったので、思わず叫んでしまったのである。そこから上部は、虎の巻に書いてあるようにこの岩壁の岩の柔らかさの脆さを避けて、昨年の秋に登ったルートへと回避して行った。

昨年登ったところは相棒に任せた。日曜の陽射しを浴びて、岩頭に吹き抜ける風は最高の贅沢であった。懸垂下降で降りてきてから、豚フィレのお弁当を摘まんで、頬張ったプチトマトの薬草味が美味かった。もはや緊張が解けてしまったので、隣の岩頭へと抜ける名クライマー、テオ・マンの割れ目を相棒に登らせて、頂上まで抜けた。二つ目の岩頭の制覇である。同行していた眼鏡親方と我がセクション一の5.11の実力者ら三人はその間に我々が上ったルートを辿って戻ってきていた。

上部岩壁ともう一つの可能性のある名ルートは誰も登らなかったが、それ以外は完全に5.12から5.13の大ルートになるので、我々仲間だけで独占した二つの岩頭をひとまず片付けたということになるだろうか。朝八時過ぎに出発して夕方五時前に帰ってくると、気温は摂氏14度ぐらいから28度以上に上がっていた。無理をしてでも、朝駆けした理由はそこにある。

昨年のシーズンにこの程度までを目指していた訳なのだが、実際には事故で仕切り直しとなってしまった。今年は、冬のトレーニングの方法も変えたが、技術的な限界から余裕を持たせて登ることで、不慮の事故を防ぐ努力をしている。その辺りの戦略も含めての実力なのである。



参照:
戦線恐々しないために 2013-07-07 | 雑感
ある晴れた日の成果 2013-06-09 | アウトドーア・環境
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戦線恐々しないために

2013-07-07 | 雑感
天候の加減か、時間がなくて運動できなかったゆえか、久しぶりに疲れた。夏冬に関わらず昼間にうとうとして横になりたくなりたくなることは多いが、久しぶりに暫く横になった。考えてみれば、虫歯から開放されるまでの数年間はこの怠惰感のようなものから中々開放されることがなかったのも事実である。

そして抜歯して以降は、青のわけの分らぬ怠惰感から開放された感がある。なによりも呼吸が異なり、鼾もあまりかかなくなったに違いない。鼻の調子は完璧ではないが、殆どあの不快な蓄膿症状のような不快感から開放されている - 稀に調子が悪くなるときはあるが受容可能な範囲である。

日々の苦労は絶えることはないが、体調が好いと感じるほど尊いことはない。そもそも健康であるかどうかなんていうことは寿命と同じで誰にも分らないことなのでそのようなことを気にする方が間違っているのである。

アベノミクスを受けて連邦共和国の保険会社は、戦々恐々としていると経済欄にあった。日本のその低金利から契約時の金利を下回り保険を十分に返せないことで日本の保険会社が陥ったような状況をドイツのそれも陥る可能性があり、幾つかの合弁や倒産などが考えられるというのである。

日本大手はもはや日本国内での利益を諦めて近隣諸国での商売へと乗り出すことで活路を開こうとしているらしいが、ファンドなどを通しての運用はもはや期待できないということのようなので機関投資家として足抜けするということらしい。そうなると一般的に信じられているような投資の可能性はもはや先進工業国では通じなく、嘗てのような古典的な資産運用などは成功しないということのようである。当然のことかもしれないが、我々門外漢からすればこれほど具体的な事例も少なかろう。

金曜日は、今年初めて火曜日に続いて、石切り場に行った。火曜日は凹角のレイバックルートで苦労したが、金曜日は最も美しいカンテの上へと抜ける場所で苦労した。火曜日は割れ目であるから、なんとか中間支点を差し込んで誤魔化したが、次に登るときはその手順を確り頭に描いて登らないとやはり難しい。このレヴェルになると一挙手一動ではなくて、なん手(なん足)も先を確り掴んでいないと到底登れない。もしかするとそれが5.10超えの近道かと思うのは、全く同じような状況がカンテ抜けルートにもあるからだ。前の週に上部は下見をしておいたのだがそこへ抜けるところを苦労した。敢えて、トップロープで小さな手掛かりを無視して、下からと同じようにカンテを攻め続けて、左手でまさぐり、右手を思いっきり広げて掴んで登ってみたが、その登りかたの限界も分った。

今年最初となる下部の部分は新しい靴で大分綺麗に登れるようになったが - ドロミテへの同行者は五級までを宣言しているだけになぜかおなしなところで登れないのである(注) - 、その難易度六級からすると当然なのかもしれない。それに比べると、上部の一箇所は正しい手掛かりを使えばなんとかなるのだが、それに引き続き急なカンテを攀じ登り、更に上の手掛かりから、最上段を超えてもう一つ上の最上部の岩まで握ってしまわないと、支点にザイルを掛けるのが難しい。そこまで入れると、数手は先なのである。そして最初から全く戻ることの出来ない数手であるから、一気に正しく登り切らないといけない。前者は高度感はないがその数手が複雑な動きであることを考えれば、後者の方が容易となるのだが、落ちるときの距離感が異なる - 我々セクションの5.11の実力者が最初の小さな手掛かりで手を滑らした。

身体の複雑な動きに加えて、数手先を間違い無くこなすには、反復練習となるのだろうが、そのためにはもう一度トップロープ登らないといけないか。しかしそこを登る以上に自らの難易度5.10の壁を乗り越える方法を見抜くことが重要なのである。嘗てやっていたような思い切りと腕力で何とかしてしまうというのとは全く異なる次元で、その時のボルダーリングでの壁ともまた少し違うのである。自分の挙動をもう少し頭で描けるように意識してみたらどうだろうか。いづれにせよ、私のような性分からするとスポーツクライミングは可也辛気くさいスポーツなのである。



(注)彼の問題点はやはり技術的な未熟度であり、狭い凹角の中で肩幅程度に左右に少し突っ張るような足使いが全く出来ない。これは、意識していないから、彼にとっては全く未知の身体に使い方になるのかもしれない。大きな岩壁でも巨大工場のその教育係である人格を含めて比較的安定して登る彼の実力であるが、多くの同僚と同じくどうも上の世界は腕力が支配すると勘違いしているようだ。ある意味、嘗ての山靴やシュタイクアイゼンで登る経験を持ちえていないだけに、プレジャークライミングの域を彼が抜け出ようとしないのはとても残念なのである。要するにスポーツクライミングでもなく、本格的なアルピニズムでもないからである。その差異や本当の面白さに彼が覚醒するときがあるのかどうか?



参照:
知的スポーツへの触り 2013-06-26 | アウトドーア・環境
短い夏のジャンダルム 2013-07-01 | 暦
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屋根の上で音がすると

2013-07-06 | アウトドーア・環境
先日来屋根の上で音がすることがしばしばある。殆どは鳥絡みであることは分っているのだが、深夜窓を開け放った天井裏部屋の騒音はいつも驚かされる。昼間は鳩除けの針金が立っているので、峰に連なる光景はなくなったのだが、どうしても町有数の大屋根となると鳥に狙われやすいのかもしれない。

一度は、大きな物音と屋根を滑り落ちる音に続いて、庭の木の中へと落下していく音が聞こえたので、なにかが落下したことは想像ついた。それでも場合によっては、その音の鈍さからして、屋根瓦がずれて落ちたこともあった。そのような訳で、物音がした斜面を暗闇に目を透かしてずれがないことなどを確認する。

そして今度は、そのときとは異なる弱い音がしたのだが、下に落下する音も聞こえなかった。翌日スクエアーを行くとフランスパンの固いかけらが落ちていた。カラスが中味を穿るために高みから屋根の上に落としたのだと思った。

明くる日は、また違う一角に、なにかが落ちていた。近づいてみるとまだ赤みのある鳥の赤ん坊であった。何の鳥かは分らなかったが、明らかにカラスか鳥の巣を襲って略奪したのだと思った。しかし、なぜかそれはやられていなかった。これで明らかなのである。賢い奴らは、大屋根を利用して色々なことをやっているに違いない。



参照:
プァルツのムシクイ族 2005-05-31 | 音
咽喉から手が出る 2005-02-16 | 料理
切妻のドアをそっと開け 2005-02-15 | 文化一般
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解禁なったPCリースリング

2013-07-05 | 試飲百景
漸くPCリースリングが解禁になった。ドイツでブルゴーニュシステムを導入した本家ブリュクリン・ヴォルフ醸造所のPCである。毎年解禁日はずれるが、ザールなどを除けば何処よりも遅い感じになりつつある。勿論満を持しての解禁にはそれなりの意味がある。勿論それなりに質が高くなければ意味がない。

さてルッパーツブルクのホーヘブルクからである。評判を聞いていたので楽しみだったが、酸が丸くなっているだけで、重くはないがその酸が酢酸系になっていてちっとも面白くない。なるほどこうした丸みが通常のワイン飲みには愛されるのかもしれない。

次のゴルトベッヒャルは香りからして待ちわびていたものであり、ミネラル風味が強く出るこのPCシリーズの中では最も残糖を落としたものである。落としたといってもレープホルツ醸造所のそれと比べると一桁も違う。

それに比較すると更に標高の高いダイデスハイムのランゲンモルゲンは、酸も強くシャープである。ここまでシャープな酸のランゲンモルゲンは覚えがないので、量感を補うために早めの収穫となったのかもしれない。とても危険な酸で、六種類を試しただけで歯が知覚過敏になってしまってピーナツなどは到底噛めなくなった。2012年産でこのような体験は、ナーヘのシェーンレーバーなどで若干あるだけでこれほど少量でこれほど攻撃的な酸は知らない。

そもそもこのドイツのリースリングを牽引する醸造所のリースリングが今ひとつ人気の的とはならないのは、伝統的に強い酸と強い清潔感であって、一面では都会的な繊細をよく出しているのだが反面厳しすぎる強さと価格が倦厭された。そして酸が弱い筈の2012年のこの出し方こそが、正しく誤解を生みやすい瓶熟成という将来へ向けた醸造方法なのである。

基本的には酸が十分に分解されてから収穫しないことには二十年後の瓶での成熟を考えると駄目なのであるが、GCでないPCにおいてはその必要もないのである。恐らく二年から五年の通常の愛飲が計算されている。つまりこの最初のリンゴ酸系の鋭さが二年ほどで落ちたときが最大の山ということである。

その意味からは、最初のものにはなんら関心がないが、次のレッヒベッヒャルは予想以上に酸が鋭くおかしな香味がなくて、枯れた藁の感じや薬草臭がよかった。もう一度家で試してから考えてみたいが、その隣のボオェリックは年末頃に山になるのであろう。そうなると、蔵出し小売定価19ユーロは可也高価なワインとなる。もちろん待降節の料理にあわせてとなると、現在の酢酸臭も変わってくるので決して高くはないだろうが、間違っていまこれらを購入して飲み干してしまうと文句しか生じない。

同じような意味で、そもそも細身でストレートさのあるゲリュムペルの酸が弱く丸みを帯びているがまあまあ糖を落としているので俗受けする味となっている。この辺りはその量産体制と市場のターゲットとの関係で醸造事情で明白だ。

正直、最初のものをこの通常価格でも買わなければ割引価格でも買わない。同じだけの価格を出すならばロベルト・ヴァイルの下の価格のものの方が良い。しかし、興味深い三種類となると16ユーロのレープホルツ醸造所のどれをとっても、これらほど瓶づめ後二年間を刻々と楽しませてくれるものはない。要するにお買い得なのである。六本を開ける度に喜びや期待が膨らむ。それに比較すると、レープホルツのそれは二年待った方が得策なのである。

ワインを選択するだけでなくて、その飲み頃をなんだかんだと楽しめる高品質のリースリングとしてこれらほど素晴らしいものはないのである。来週まで一本づつ家で開けながら、最終的にGCまで含めて何を購入していくかを選択していかなければいけない。それにしてもドイツのリースリングのインフレ率は激しい。その質の向上もここまでの数年の様には急上昇は期待できないながらも、まだまだフランスの白からすれば割安感が強い。とうとうフォルストのキルヘンシュトュックの辛口リースリングが蔵出し小売価格で100ユーロになった - グローセスゲヴェックスの最高価格商品である。マルゴーなどに追い付く日もそこに見えてきている。



参照:
試飲会の後で開けるワイン 2013-05-07 | ワイン
十ユーロ越えのテロワール 2013-06-07 | ワイン
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恥を知るべき市民層

2013-07-04 | 歴史・時事
昼頃に車のラジオは手応えのある番組を流していた。いつもの文化波であるがこの時間に聞くことは意外に少ない。初めてのインタヴュー番組だった。ブラント政権の回想を語っているのはその著書で話題となったエゴン・バールであった。日本でもNHKの番組から日本の核武装への誘いを受けたドイツ側の担当者として最近一躍更に有名になった人物である。

いつもの移動中の聴視なので完全に聞くことは出来ないのだが、それでも誰の声かわからないうちに発せられた発言に強い印象を受けた。それは、ドイツはナチ政権の責任を担う必要はないが、その恥を忘れてはいけないというような言葉だった。まさに「恥を知れ」なのである。いつもの音楽番組なので、彼が最後に選んだ曲はチャイコフスキーの運命交響曲第五番であった。

日本でも生活保護費の減額などが実施されているようだが、連邦共和国においても社会民主党政権のシュレーダー首相時代に需給の難しさを設定して、自家用車を二台持っているよう家庭には支払われないことになった。なるほど日本においても第三国人や民を中心に所謂不正受給と呼ばれる特権を謳歌していることから、それに対して攻撃する一派な生まれたのは皆知るところである。同じように恥を知るドイツ国民の申請が減ったことから大きくその受給額が落ちているという調査結果がラジオで報道されていた。なるほどまともな人間ほど生活保護に抵抗があって、本当に必要な人にその金子が廻らないという状況は世界的に共通しているのかもしれない。恥を知れ!



参照:
秘密外交の達人を驚かす 2012-03-25 | マスメディア批評
恥の意識のモラール 2006-05-21 | 文化一般
無教養な反市民的市長 2013-05-19 | 歴史・時事
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鎮座する旧式PC/AT互換機

2013-07-03 | 雑感
WIN95に別れを告げた。しかしなぜか未練があるのか、再び古いTV受信機の代わりに鎮座することになった。TV受信機がラップトップのモニター代わりに使うこと以外にはまったく意味がなく、欧州におけるデジタル化もどうなっているのか分からないが、それが欧州での脱TVとなることは明白だ。

それよりは使えるかどうかは分からなくともWIN95が入ったPC/AT互換機が手元にあった方が何か便利な気がする。更に下らないTV受信機よりも古いPCの方が骨董的価値がある。同じように古いWIN98機をいずれ持ち込む予定もあるので、合わせて何かを構築できればよいかと思っている。

そしてなぜか安物の商品の割には、使い方も大変厳しかったはずだが、電源もハードディスクもマザーボードも健在なのだ。但し性能的な非力さは致し方がないのでLINUXなどの使用にもどうなのかと思っている。あまり情報がないので分からない。TEXなどにはよいのだろうが、なにか今更の感が強い。

なによりも問題なのは、機械の騒音の大きさで駆動させているとあまり落ち着かないのが難点なことだ。野外や倉庫などでの管理用には使い勝手があるのだろうが、有線でしかネット入りできないようになっているので限界がある。例えばワイン蔵で在庫管理などが出来るようなPCとしては使用不可である。

ネットに入るにしても現在のJAVA全盛期ではあまり有用ではない。考えてみれば現在のネットはコマーシャル化され過ぎて、もはや広告無しではネットサーフィンが出来なくなってしまっている。そうしたものを排除するブロウザーなどが喜ばれるのも理解できる。今後はいかにネットでコマーシャリスムから逃れるかが技術的な最先端であろう。その反面、マルティメディアなどに使いにくいとなるのだろう。

旧式PC/AT互換機でもっとも気持ちよいのはスイッチを切るとモニターも切れるように接続することが出来ることで、一世代後のATXのように自動的に電源が切れるのとはまた違う使い勝手である。以前は、スキャン用に使っていたSCSIボードが何かに使えないか、このあたりがポイントになるだろうか?



参照:
WIN95、苦悩の日々 2013-06-03 | テクニック
駄目で元々のSCSIカード 2013-05-31 | テクニック
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自己記録樹立の環境

2013-07-02 | アウトドーア・環境
自己記録を樹立した。峠まで2966歩、19分で駆け上った。歩数も3000歩を十分に下回った。途中の通過地点が分らないほど急いで走ったのも事実である。決して体調は良くはなかったのだが、腰の張りを最初に感じただけで後は腕もよく動いた。但し降りは通常通りで、駐車場に戻ると5026歩、33分で凡庸であった。しかし初めて30分を切れる可能性を自覚した。降りに時速18KMほどで飛ばすスピードを身につければ大きな目標が達成できそうである。

さて肝心の登りは、なによりも気象条件と気温が後押ししたように感じた。前日の疲れは、精神的にもあり、それを振り払うのも目的だったので頑張りが効いたような物である。なによりも快調な走りの割には心肺機能への負担が少なく楽しめて走れたのが嬉しい。これならば、また挑戦してもよい気持ちになる。それを降りに如何に引き継ぐかが課題であるが、かなり本格的に走らないことには、登りの倍近くの早さにはならないであろう。

それにしても昨年と同じく同じ時期にこうして早く走れるようになるのも面白い。正直な話、新しい靴と新しいショーツで昨年以上に早く走れなかったらどうしようかと思っていたのだ。これだけ走り易くなって、以前よりも早く走れないとなるともはや体力が落ちてきていることになるからである。更に虫歯もなくなっている、これだけ走る習慣をつけながら成果が出るどころか退潮しているとすると病気としか思われないからである。

それにしても朝は涼しく、摂氏17度ほどで、午後も室内は半袖半ズボンでは寒いぐらいであった。スポーツにも知的労働にも文句無しの乾いた気候である。これだから日本で一生を送ると損をすると思ったのである。それにしてもこれほど運動を習慣とした事は十代にもなかった。漸くに三年ほど前に見かけた八十ぐらいの爺さんに勝つことが出来たようだ。少なくともその足取りの速さで、しかし六十位のおばさんの走りに勝っているかどうかは分らない。

連邦共和国の統計結果によるとドイツ人の日常の運動習慣は可也上昇しているようで多くの人が平素から運動するようになっていると言う。勿論その背景には、そうした余暇の時間が取れるということと、スポーツ市場を牽引する連邦共和国のその消費を支える経済力という真の豊かさへと近づいてきている証拠かもしれない。要するに社会の自由度こそが豊かさと健康の指標なのである。



参照:
雑食砂岩で新しい靴を試す 2012-05-14 | アウトドーア・環境
とてもちぐはぐな一週間 2012-05-19 | 生活
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短い夏のジャンダルム

2013-07-01 | 
八月にドロミテでザイルを組む可能性の強い我がライヴァルと登った。一週間前の土曜日はトップロープを確保しただけで、組むのは四月の石切り場以来である。流石になんとかこなしてしまう実力は我がドイツ山岳協会のセクションで唯一だ。

今回は他の行き場所を予定していた。雨上がりの後に乾きやすくて、快適に登れそうな場所を考えていた。そして参加メムバーにあわせて、難易度三級から五級までが充実している岩場を考えていた。しかし前述のライヴァルが前夜から考えていた場所があり、自分自身ではあまり記憶がなく、他のメムバーも合意したので、そこに向かった。羊岩場である。

馴染みのある谷へ入る手前で右の谷へ入るとそこにある。ついてみると、下半部だけでなく、上部も影があって、迫る森で湿っぽい。そのような環境にふさわしく開かれているルートの数々も割れ目を伝わるルートで、手を入れるのも気分が悪い。ドイツの森の砂岩の割れ目なのだ。日本のクライマーは嘗て日本の岩場の湿り気と草木の生えた質の悪さを嘆いたが、このような岩場に比べると必ずしも悪くはない。その相違は岩の質だけであろう。

特にライヴァルの彼が前夜から考えていたのは、苔生えた割れ目から登っていくルートで、実際に蜘蛛の巣が大分掛かっていた。その核心部は、楔を入れて乗り越えていたが、それが用具無しでは回収できずに降り直して自分で回収して貰った。それを乗り越えた上の場所も苔が生えていて、なんともご苦労さんなことである。まるで滝場の横を遠巻きするような感じで湿っぽい。それでも困難度は、四級にしか至らなく、体力も使い神経も使い、更に危険度も備わっている。

だから彼に言ったのは、このような場所を登るよりも更に困難度を上げて、より明晰で美しく手入れの届いた安全なルートを試みるべきなのだ。勿論彼の技術的な限度を存在するのでそこを超えない範囲で選ぶということになと、どうしてもこうした隠れた存在に目が行きがちになるのも分るような気はする。ある意味、私自身が昨年起こした事故への状況の裏返しのものがそこにある。つまり自身の技術的な能力に確証があれば、その限界を超えないように上手に抑制できるということである。昨年の事故はまさにその時点での自己の限界が自身明確ではなく、恐ろしいところでそれを試してしまうところに原因があった。

その後にトップロープで登った割れ目は、オーヴァーハング超えが核心部で、立派な庇の下から見当を付けて手を伸ばすと割れ目の中の手掛かりにがっちりと手が掛かる。それを頼りに身体を乗り出して更に上の手を伸ばすと次の手掛かりに手が掛かる。だから五級にしかなっていないのだが、リードで登るとなる同時に中間支点を楔止めしなければいけないので、苦労である。その上にも一箇所入れるとするともはや苦しい。なるほど技術困難度は五級でしかないのだが、その苦労は少なくともそれ以上である。それだけの価値があるのかどうか?苦多くとも所詮五級なのだ!

それでも、それ以外に二箇所比較的マシなルートで二つの岩峰を登り記帳する。先の前衛の独立方と合わせると、三記帳である。とは言ってもも一つのそれのジャンダルムと呼ばれるそれは頂上がぐらぐらしているのため登頂禁止となっている。なんだかんだと資料を見ているうちに大分以前にここに連れて来てもらっている印象が浮かんできた。これもデジャヴではないはずだ。

夏至から知らぬうちに十日も過ぎてしまった。日曜日から再び暑くなるはずだったが、その日も終日薄曇のような按配だった。そして、もはや夏の太陽でないことに気がついた。晩夏が始まったようだ。夏のシーズンは中盤戦である。今年の夏はとても短そうである。



参照:
疲れが溜まる夏至のあと 2010-06-26 | 暦
火曜の夜の乱痴気 2007-02-21 | 暦
「聖なる朝の夢」の採点簿 2005-06-26 | 文化一般
知的スポーツへの触り 2013-06-26 | アウトドーア・環境
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