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「おもむろに」とは、
「唐突に」とか「にわかに」といった意味ではなく、
「ゆっくり」というのが本来の意味ですよね。
漢字で「徐に」と書くと、よく解ると思います。
そう。
「徐行」の「徐」ですね。
しかし、それは正しく理解していたとしても、
例えば
「彼はおもむろに立ち上がった」という文と、
「彼はゆっくり立ち上がった」という文とでは、
少しニュアンスが違って聞こえませんか。
そこには、単に「ゆっくり」というだけではなく、
「精神的に落ち着いて」という意味合いをも含んでいるようです。
「徐」を連ねて「徐々に」と書くと、もっと解りやすいでしょうか。
翻って、道路交通法第2条第1項第20号で、
「徐行」とは、
「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること」と定義されています。
立法者が、これを「低速走行」と呼ばずに「徐行」と名づけた意図を汲み取るに、
ただ速度を落とせば良いのではなくて、
心を落ち着かせて、慎重に安全を確認しながら進むことも
運転者に求められているように思えます。
徐行が必要なのは、
道路の曲がり角や急勾配の下り坂や、歩行者の近くを通る時や、右左折する時などでした。
なぜ、そういった場所・場面で徐行が義務づけられているのか、
その本質的な理由を理解できれば、
ただ数字の面で「概ね時速10km以下」に減速すれば良いというものでないことも
自ずと分かりそうですね。
法規の知識を“暗記物”で終わらせず、運転の実践に活用するためにも、
こんなことも少し考えてみては如何でしょうか。
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