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映画・演劇のレビュー

ジャブジャブ・サーキット『アインシュタイン・ショック』

2007-07-03 14:18:42 | 演劇
アインシュタインが日本にやってきて約1ヶ月もの間、各地を回り数々の講演をこなし、日本中の学者、研究者だけでなく広く一般の人たちに影響を与えたという出来事を題材にして、そのアインシュタインとの日々を、簡潔な文体でスケッチしていきながら大正11年のとても穏やかで優しい人たちと、その時代を描いていく秀作。 何が素晴らしいといって杉山寿弥のアインシュタインの優しい目。みんなを見守る姿。その仕草のひとつひ . . . 本文を読む
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『薬指の標本』

2007-07-03 14:16:01 | 映画
小川洋子の同名小説の映画化。フランス映画として作られてあるため、もともとどこともしれない幻想的な場所が、ますます象徴性を強めていく。 ただ、前半はいったい何が起きているのかもよくわからないままに、この静かな世界に引き込まれていくのに、女と男の距離がなくなったところから映画はつまらなくなる。ネタがばれてしまうと、それ以上のものがなくなるなんて、ちょっとまずいのではないか。本当は、ここからこの映画自 . . . 本文を読む
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『迷子』

2007-07-03 12:19:06 | 映画
 リー・カンションの第1回監督作品。もちろんツァイ・ミンリャンのプロデュース作品。2人は切っても切れない。当然彼の影響が色濃く残る作品だ。でも、ここまで似なくてもいいのに、と思う。ツァイ・ミンリャンは2人要らないし、それがリー・カンションである必要なんて全くない。  迷子になった3歳の孫を探して街中を彷徨う祖母の姿を描く。同時にゲームの熱中する少年も描かれる。だが、それが何らこの作品世界を提示出 . . . 本文を読む
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銀幕遊学レプリカント『MooNless 月蝕人形篇』

2007-07-03 11:50:06 | 演劇
 青いアザが伝染していく。それは本当のことなのか。それとも彼女が見た幻想でしかないのか。体全身に青いアザが出来た女が、痒いからだろう体を掻き毟っている。痛みはないようだ。  板付きで始まり、そこにダンサーが入り、いつものようにいきなり大きな音とともに、ノンストップでレプリカント・ワールドが展開していく。圧倒的な音と光の洪水の中、8人のダンサーによる止まることを知らないダンス・パフォーマンスが際限 . . . 本文を読む
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太陽族『越境する蝸牛』

2007-07-03 10:07:30 | 演劇
 衝撃的な傑作である。ここまで攻撃的で、尚且つ冷静に物語を組み立てていき、破綻するのは承知の上でもう一歩踏み出し、しかもその矛先を引っ込めてしまう。その時、これ以上やれば、嘘になってしまうことは分かっていたけど、だけれどもこの怒りは納めることが出来ないから、敢えて[総理大臣拉致事件]までもを描いてみせる。  もちろんそれをリアルに見せることが眼目ではないことは明らかなのだが、それでもやらなくては . . . 本文を読む
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遊劇体『天守物語』

2007-07-03 09:42:12 | 演劇
 東アジアを意識したという衣装は、日本の着物とは違い、軽やかで通気性もよさそうだ。なにより原色が鮮やかで、絢爛豪華にも見える。それは、この芝居の目指す方向性を示す大きな要素となっている。自由への希求。今と言う時代に敢えて泉鏡花の古典を持ってくることでこの時代への痛烈なメッセージを示すキタモトさんの心意気は、相も変わらずアングラしていて、なんだか嬉しくなる。汎世界的規模でこの作品に取り組み、そのくせ . . . 本文を読む
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『気球クラブ、その後』

2007-07-03 08:35:12 | 映画
 快進撃を続ける園子温によるハート・ウォーミング。こういうタイプの映画にまで手を広げていくなんて、ほんとうになんでもありで、凄い。昨年末の『紀子の食卓』前後から何本公開されたことか。しかも多岐に亘るジャンルを横断してのことである。(そのくせ1本もヒットしていない。それも凄い。)  ただし今回は唯一の失敗作となった。(実は『エクステ』も失敗といえば失敗かも知れないが。)作劇が甘いし、ポイントも絞り . . . 本文を読む
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