習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『図書館戦争 THE LAST MISSION』

2015-10-05 22:14:24 | 映画
前作は好きだ。だが、今回はまるで乗れない。この作品の設定を生かしきれていないからだ。もともと、これはかなり微妙な設定なのだ。だから、なかなかこの世界観を納得させられないはずだった。それだけに前作はそこをなんとかうまく切り抜けた。なのに、前作の上に成立するはずだった本作はそこで失敗した。おもいがけない。 言論の自由が奪われた近未来。図書は検閲を受けて、たくさんの書籍が発禁本となる。そんな世界でなん . . . 本文を読む
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『未熟なざくろ』

2015-10-05 22:11:02 | 映画
この暗いイラン映画を見ながら、(こんなにも暗いのに)どうしようもない彼らの置かれた状況を淡々と描くそのタッチに心ひかれた。若い夫婦のお話だ。妻は妊娠している。不安定な夫の仕事。自分の仕事も、同じだ。しかも、子供が生まれるから仕事はいつまで続けられるか、わからない。 イランという国の郊外の都市での現実を垣間見た。それを覗き見た気分だ。市井の日常を描く。主人公たちに感情移入したのではなく、ありのま . . . 本文を読む
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『生きる』、『蒼ざめた時刻』、『シェリナの大冒険』

2015-10-05 22:07:53 | 映画
『生きる』の重みに耐えられない。映画を見ながら、何度もくじけそうになった。これはあまりに痛すぎる。パク・ジョンボム監督はこのとんでもなく暗い映画を3時間の大作として見せる。生きることの痛みがここには溢れている。もうあっぷあっぷする。冒頭の石を動かすシーンからラストまで、何をしてもうまくいかない人生から逃げるでもなく、立ち向かう。だが、それは力強く感動的なドラマにはならない。惨めでがっかりで、しん . . . 本文を読む
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伊藤たかみ『あなたの空洞』 窪美澄『さよなら、ニルヴァーナ』

2015-10-05 22:02:59 | その他
伊藤たかみ『あなたの空洞』は震災以後をテーマにした4作品からなる中短編集。直接被災したわけではない。でも、あの出来事以降もう以前には戻れない。そんな人たちのささやかなお話が綴られていく。家族との関係性に歪みが生じる。ささいなことなのかもしれない。だが、決定的な何かへとつながる。妻の骨を海に撒く年老いた父を描く『母を砕く』。いつまでも死んだ妻の面影を抱いたまま先に進めない父が、骨壷の骨を自分の手で砕 . . . 本文を読む
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