久しぶりに芝居を見て心が震えた。今、自分はとんでもないものを見ている、と興奮する。オカモト國ヒコの3年振りとなる新作は、今までのコメディとは全く違う。
これは「世界」というものがどんなふうになっていて、我々は今いったいどこに向かっていこうとしているのかを示唆する作品なのだ。魂を揺さぶる。なんて大袈裟なことを、などと言わないで欲しい。この小さな劇場(SPACE9は、客席はせいぜい60席ほどの小空 . . . 本文を読む
これは死者と旅する話だ。3年前に行方不明になった夫(浅野忠信)が帰ってくる。でも、「おれ、もう死んだよ」と言う。きっとそうだ、と思っていた。でも、遺体は見つからない以上、もしかしたらどこかで生きているかも、という期待はあった。微かな望み。すがるように、信じていた。
女(深津絵里)は、彼がいなくなってから(失ってから、)死んだみたいに生きてきた。彼の帰還はうれしかった。たとえ、死んでいたとしても . . . 本文を読む