壮大な歴史ロマンを、なんと、あの音太小屋で見せる。華やかな歌と踊りで絢爛豪華なミュージカルスタイルを貫く邂逅が、十分な舞台装置もない、この狭い空間で、たった4人芝居として、これだけのスケールの作品を見せるのだ。チープなものになってしまうと、成り立たない芝居だけれど、それを豪華な衣装と、その早変わりで、目にも鮮やかな大河ロマンに仕立てあげる。1人で何役もこなすのだが、そのスピードがこ . . . 本文を読む
山戸下結希監督の長編第二作。前作も尖った映画だったけど、今回もヒリヒリするような痛みを持続させる。恋愛映画だけど、従来の甘いばかりの少女漫画ではない。ヒロインと彼女を好きになる(と、同時の彼女が好きになる)3人の男たちとの関係性が普通の映画とはまるで違う描き方をする。恋愛以外の感情は完全に削除される。だが、そこにあるのはリアルではなく感覚的な描写ばかりだ。観念の世界ですべてが進行す . . . 本文を読む
今回も昨年と同様、3話からなるオムニバス・スタイルで見せる。100分間で1941-45年を描く。ゼロの誕生から終焉までのゼロの時代を描く。宮崎アニメ『風立ちぬ』で有名になった堀越二郎の物語から始まり、真珠湾攻撃を経て、東京大空襲までを現代のシーンであるプロローグとエピローグを含めて見せて、100分という上演時間の短さには驚く。
流れるように日本が太平洋戦争に突入し . . . 本文を読む
これは思いっきり変な映画だった。岡田准一主演のアクション映画という括りから想像できるものとかけ離れた映画で、その意外性がこの映画の魅力である。しかも、コメディとして笑わせるのではなく、彼がシリアスに演じることで生じるおかしさ。そのへんてこさがとても魅力的で、彼の日常生活のスケッチを通して世界に対する見方、世界の見え方がほんの少し変わっていくような気がした。アクション映画のはずが、ま . . . 本文を読む