まさかこんな映画だと思いもしなかった。前半部分はロードムービー。こんな不思議な(あるいは杜撰な)展開に呆れる。昨日見た『ルート29』に負けないくらいに凄い。これはないわぁ、と思うけど、それは故意にしているかも、とも思うから、謎だらけのお話の納めどころが気になる。
すると後半はなんと『イルマーレ』を思わせる設定になる。8歳の少年と18歳の青年が時空を超えた文通の話に。ええっ!っていうまさかの展開に。ふたりの出会い。盗作疑惑から作家としてのキャリアが剥奪される。花火大会。台湾の北から南へ。台北から墾丁まで。鯨が消えた入江を求めて。その途上、さまざまな場所に寄り道しながらの旅。
BL映画なのか、とも思わせる展開もある。というか最初はかなりの確率でそんな雰囲気が濃厚で、なんだかなぁと思うけど、それだけの安易な映画ではないかも、とも思う。別にBLがダメだというわけではない。安易な映画だったら嫌ということ。
先がまるで読めないし、あの手この手の仕掛けが続く。生まれ変わりとか、別人格で別人生を送る相手と再会できるのか、なんていう話に。レスリー・チャンが死ななかった世界なんていう話にもなる。奇想天外な展開に驚きの連続。泣けるし。こんな不思議ファンタジー映画が台湾で作られている。思わぬ拾い物だった。