リドリー・スコット渾身の一打を期待した。突き刺さる一撃の一作が見たかった。あの前作から24年、前作『ナポレオン』に続いて壮大なスケールで贈るスペクタクル映画である。冒頭の戦闘から圧巻だ、と思って見ていたのだが、なんだかこれは違う。
前作があれだけ素晴らしかったから、本作に期待しないわけがない。今回、前回の主人公であるラッセル・クロウは出ない。(回想シーンで少し出るけど)これは彼が死んだ後の話。これだけの超大作なのに、公開初日なのに、最初から上映回数は少なく近所のイオンシネマやティジョイ梅田では小さな劇場でしか上映はない。ただしドルビーシネマやIMAXでなら一日数回は上映される。大スクリーンで見たかったらそこで500円追加料金で見ろ、という姿勢である。やれやれ。
ということで、とりあえず今回はTOHOシネマズ梅田に行く。ここは昔ながらの大劇場での上映だ。だけど、やはりガラガラだった。今時この手の歴史大作映画には人は来ない。これだけの大作なのに。
ただ映画自体は興奮したのは最初だけで本編に突入するとなんだかつまらない。どうしたんだ、リドリー! こんなはずじゃなかった、はず。だいたいお話がつまらない。しかもこの話を通して何を描きたかったのかもまるで見えてこない。よくある当たり前の展開だけで、だからどうした?と思う。2時間半退屈した。もちろん競技場での戦いは迫力がある。コロシアムに水を入れて海に見立て、2隻の船でのバトルは圧巻である。だけど肝心のお話がつまらない。
ラストのデンゼル・ワシントンとの一騎打ちなんて、なんであんなに時間がかかるのだろうか? 無敵のグラディエーターがただのオヤジと互角勝負っておかしくないか? クライマックスだからサービスしたのか? そんなサービスはいらんし。結局のところこれは期待が大きかっただけに、最近で一番ガッカリさせられた映画となった。