
『こちらあみ子』の森井勇佑監督第2作。主演は前作であみ子演じた大沢一菜と、綾瀬はるか。姫路から鳥取までルート29を旅するふたりのロードムービー。
そして不思議満載のファンタジー。まるで理解不可能な展開もさりげなくある。気にしてたらわけわかめになるから、さらりと流そう。単調な展開だから時々居眠りしてしまうけど、それも気にしないでよい。ひとつふたつくらいエピソードが飛んだって平気。(たぶん)どのエピソードも中途半端で、オチはあるようなないような。せりふもあまりないから説明もしない。見た人が考えたければ考えたらいいし、考えなくてもいい。
他人と上手くコミュニケーションが取れないから無口な女とマイペースで物怖じしない女の子。ふたりが特別何かをするわけではないけど、一緒に旅をする。少女をお母さんの元に届けるために。
自然が美しい。歩いて姫路から鳥取までって無謀だけど、しかもふたりとも手ぶらだし。こんな旅は普通なら無理だし危ない。だけどこの映画は平然とする。お金もないみたいなのに、平気。毎日同じ服を着た切り雀。だけど汚れない。お風呂も入らないけど、翌朝はきれい。綾瀬はるかは裸足で森の中を歩いていたけど、大丈夫かな。ふたりは死んでいる老人や、旅する親子を初めとしていろんなところで、さまざまな人たちと出会い別れていく。
だが、ラストまでやはり特別な感傷はなく、さらりと流す。無表情で喋らない綾瀬はるか。こんな彼女はほかの映画やドラマでは見ることができない。貴重な一作でもある。