これは凄い。思いもしない出来に驚く。こんなにも新鮮な驚きに満ちた映画には、なかなかお目にかかれまい。思いがけない拾い物で、ニンマリさせられる。前田弘二監督の2作品(『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』)はいずれもおもしろかったけど、だからどうだ、というほどではなかった。『婚前特急』はコメディーとしてよくできているけど、中の上くらいか。でも、今回は違う。
この映画のテンポのよさ。主人公ふたりの . . . 本文を読む
現在配信で公開されているヨルノサンポ団のウイングカップ参加作品。今回のウイングカップの掉尾を飾る作品なのだけど、コロナ禍で予定されていた公演が中止となり、代替措置としてこの作品が上演されることになった。実は配信ではなく、録画撮りのための公演を見せてもらった。
一人芝居で30分の短編だけど、実に丁寧に作られていて楽しめた。たわいないお話だといえばそうで、見終えた後、忙しくしていて気が付けば今日まで . . . 本文を読む
80年代のアメリカを舞台にした韓国人の移民のお話。(最初はこれはいつの時代の話なんだろうか、と気になっていた。大統領の名前が出てきてようやく時代背景がわかる)若い夫婦とと2人の子供たちがアーカンソーの高原にやってくる。そこにあるのはトレーラーハウスだけ、何もない。
カリフォルニアでやっていたひよこの選別の仕事をここでもしながら、土地を開墾して農業を始める。今後需要が見込まれる韓国の野菜を栽培して . . . 本文を読む
意外だった。もっと甘美な映画だと思っていた。ホウ・シャオシェンの『冬冬の夏休み』みたいな。ノスタルジックでほろ苦く、でも幾分感傷的で甘い映画ではないかと勝手に期待していたので、そのクールな視線に戸惑う。まるでドキュメンタリーのようにある家族の夏の日々をステッチしていく。どこかにフォーカスして(きっと主人公の少女に)そこから夏の日々を描いていくだろうという予測は外れて、映画は彼ら家族の営みを、感情移 . . . 本文を読む