このタイトルで中堅造船会社(と、いっても造船会社だから大企業)の話。なんだか調子いい軽い小説か、と思わされるが、そうじゃない。働く人たちの哀歓を描くお仕事小説(と、こういうふうに書くとやはり軽いか)だ。7人のお話の短編連作。意に沿わない配置換え、人事異動、昇進、左遷などや人間関係のお話が中心になる。企業で働くことの悲喜こもごものドラマは多かれ少なかれ心当たりがあるだろう。誰の胸にも響く。
好きな . . . 本文を読む
こんな不思議な映画を作る人がいるんだ。しかも、それをこれ見よがしに見せるのではなくなんとも自然体でさりがなく。わざとらしさはまるでないから、素直にこの異常な世界を受け止められる。こんなさびれた温泉町にこんなへんてこな人たちが住んでいる。コメディではなく、ただなんとなく日常生活のスケッチをしただけ。気負いもへったくれもない。
永瀬正敏の郵便屋がバイクに乗って手紙を届ける。彼は常にサングラスをはずさ . . . 本文を読む
寺地はるなの旧作をどんどん読んでいる。読み残していた作品がこんなにもあるとは思わなかった。『ビオレタ』でデビュー以降欠かさず読んでいると(勝手に)思っていたが、そんなことは全くなかった。ものすごい量の小説を量産している。しかも、どれも重くて暗くて、心に沁みるものばかりだ。
『水を縫う』が高校生の課題図書に選ばれたので読んだ(実は昨年出版されたときに読んでなかった)のだが、これが実に面白くて、それ . . . 本文を読む
3週間ぶりの芝居だ。とてもうれしい。しかも昔何度か見て好きだったこの作品である。久しぶりに再見できる。さらには演出が虚空旅団の高橋恵さんだ。彼女がこういうタイプの芝居を器用にこなすとは思えない。だから、反対に期待が高まる。この難しい題材と向き合い、勝算もなく引き受けまい。今までの彼女の芝居とはまるで違う新境地を見せてくれることは確信できる。期待しないはずはない。ワクワクするではないか。
こういう . . . 本文を読む