ロン・ハワードの最新作である。なのにこれが劇場では見られない。アマゾン配信だけでの公開なのだ。これだけの大作でしかもこんなにも凄い力作。もったいない話だ。これは同じように実話の映画化である彼の『アポロ13』に匹敵する作品だ。(「13シリーズ」というわけではないけど、どちらも「13」という不吉な数字がタイトルに入っている。)
それだけにこれは絶対劇場の大スクリーンで見るべき映画だったと思う。どうし . . . 本文を読む
久しぶりに三崎亜記の小説を読んだ。変わらないこのテイストが好きだ。彼の世界に入ると、なんだか心が落ち着く。この幻想的な、でも確かにこれは僕たちが生きている現実世界の感触がある、そんな不思議な世界に身を委ねる。とても穏やかで心地よい世界がそこにはある。
今回は19編の短編からなる三崎ワールドだ。そこに漂う世界観が好き。落ち着く。短いお話はいずれもそれぞれが異なるけど同じように見事な世界観を提示する . . . 本文を読む
これは力作である。古谷田奈月の最高傑作ではないか。スケールの大きな作品であると同時にこれは実に繊細な作品でもある。ここに描かれるドラマは児童虐待と並行して描かれる小児性愛というその内容から想起されるお話から微妙に逸脱していく。単純ではないけど、それを単純でなくさせているものはそこに描かれる出来事そのものではなく世間の目だ。猫を愛することと幼児を愛することを同じレベルで論じるわけにはいくまい。だが、 . . . 本文を読む
2時間19分の長編作品だ。内容が地味で淡々としているだけにこの長さは異常だ。十分2時間以内に収められる話なのに、あえてこの長さで見せるのは、彼女の抱えた5年の長さゆえか。さらにはここからまだあと4年も続く時間を観客である僕らにも体感させたいからか、なんていううがった見方すらさせるくらいに、単調で長い。でも、映画はそれでつまらないわけではない。それどころか実に適切な長さだと実感させる。この映画を見た . . . 本文を読む
たった85分の映画だ。しかも無言の状態での長まわしまであるからそこを端折ったら上映時間はもっと短い映画になる。何も言わないままの主人公フリーズしたシイノ(永野芽郁)をカメラはずっと見守るシーンがいくつもある。言葉が出ない。感情を押し殺して耐えている。そんな彼女の姿を延々と見せる。(実際はそれほど長いシーンではないのだろうが、そんなふうに思える)
お話は実に単純で衝動的。自殺した親友マリコ(奈緒) . . . 本文を読む