アッバス・キアロスタミ監督の旧作を見た。たまたま今まで見てなかった初期作品である。アマゾンに入っていたので、見ることにした。彼が『友だちの家はどこ?』で日本に初めて紹介されたとき、こんな映画ありなのかと衝撃を受けた。あの作品の描く世界に魅了されたのだ。こんなにも小さな話があんなにも豊穣で新鮮な驚きを与える。これは日活児童映画では描けない(描かない)視線だ。大人が子供を描くにも関わらずそこには大人に . . . 本文を読む
実は渾身の大長編である前作『ヒトコブラクダ層ぜっと』にはがっかりした。2巻構成のあれだけの大作なのに、まるでお話に乗れなかったのだ。それだけに今回の新作も少し斜に構えて読み始めた。このタイトルであの表紙のイラストである。軽いタッチの作品であろうと思いさらりと読み流すくらいの勢いで読み始めたのだが、それがもう、とんでもない面白さ。荒唐無稽の世界はいつも通りなのだけど、今回は入り口が小さくて高校生の女 . . . 本文を読む