この文庫本を今日から読み始めたのは偶然である。誓って意図はない。もう手元に読む本がないし、今日から1年週に3日仕事に行く。そのタイミングで手にして行きの電車の中で読み始めた。吉田篤弘の2005年作品。この文庫は2009年に刊行されている。
だから15年間図書館の棚に置いてあったのだろう。だけど,本はとてもきれいで誰も(たぶん)読んだ形跡がない。懐かしい気分になり、ゆっくり読み出す。1 . . . 本文を読む
これは映画『寝ても覚めても』の後、東出昌大を主人公にして、柴崎友香が写真家の一橋織江とコラボした作品。俳優によりイメージした小説を写真という表現で具現化した映像と一体化した世界は不思議な空間を提示する。家に宿る幽霊という設定で誰もいない古い家を浮遊する東出昌大を描く小説は彼を撮った写真と相まって、物語の映像化に収まらない不思議な世界を作る。
冒頭の20ページは写真に短い文が添えら . . . 本文を読む