この文庫本を今日から読み始めたのは偶然である。誓って意図はない。もう手元に読む本がないし、今日から1年週に3日仕事に行く。そのタイミングで手にして行きの電車の中で読み始めた。吉田篤弘の2005年作品。この文庫は2009年に刊行されている。
だから15年間図書館の棚に置いてあったのだろう。だけど,本はとてもきれいで誰も(たぶん)読んだ形跡がない。懐かしい気分になり、ゆっくり読み出す。1話目の終盤までで電車が下車駅に到着。仕方なく本を閉じる。坂道を上り高校の門まで行くと桜が満開で美しい。2週間ぶりの学校は今日から新学期の授業がスタートする。少し早い時間だから、まだ登校してくる生徒たちもまばらだ。
1時間目の授業をした後、空き時間である2時間目に『オリエンタル・ツイストドーナツ』のラストまで読む。帰りの電車の中で『二段ベッドの神様』を読んでいたら、乗り換えを間違えて次発の電車に乗っていた。お昼の誰もいない電車でいつまでも発車しない車両でしばらく読んだ。ようやくおかしいな、と気づく。
帰宅してお昼寝してから3話目の『第三の男』を読む。ここまでで100ページほど。相変わらず懐かしい吉田篤弘の世界に浸る。『つむじ風食堂の夜』で出会ってからほぼすべての本を読んでいたけど、この『78』は偶然読んでいなかった気がする。でも読み始めると懐かしい。
忘れていた昔を思い出す。78を聴いていた頃? 廃線になった電車の線路をハイザラとふたりで終点まで旅した日。そんなことがあったような気が確かにする。新しい1年の始まり。