久しぶりの樋口有介の新作?って、感じで気になって手に取ったけど、そんなわけはない。彼は数年前に亡くなっている。この作品は95年4月に刊行され、2009年に文庫化された作品である。本の最後を見て確認した。というか、そこにちゃんと明記されていた。だがなぜ今頃再び単行本となって再発売されたのか、わからない。その経緯はどこにも書かれてないけど、気になって手にした以上、まず読み始める。読みながら、これは昔の . . . 本文を読む
新進気鋭の美術家(らしい。僕は知らなかったし、彼女の作品も見たことがなかった)によるエッセイってあまりないかぁと思う。理屈っぽいのは勘弁って感じで読み始める。だけどこれはそんなのではない。とてもバランスがいい。というか、よくある作家(小説家、ね)が書いたものとは一味違う。彼女のエッセイは幾分長いし重い。ちょっとした評論みたいなエッセイだ。ある問題と向き合ってひとつの答えを出さないことには終わらない . . . 本文を読む
この新人作家は手強い。ここまで破壊的で強烈な作品を読むのは久しぶりだ。最近は優しい作品ばかり読んでいた気がする。町田そのこですら優しい。いや、彼女はいつも優しいな。もちろん、この新人が優しくないのではない。主人公である弟は自殺しようとしていた姉を助けて彼女のケアをする。優しい彼はパワハラ上司からの暴力から姉を守ろうとする。だが壊れた姉は自分が壊れていることにすら気づかない。姉と上司の関係性が普通じ . . . 本文を読む