これは久しぶりの瀧和麻子だ。だけど今回はまるで重松清みたいなお話。またまた6話からなる短編連作。この手のパターンにはいささか食傷気味。まぁそれなら本格長編を読めよ、と言われそうだが、そちらにはあまり読みたいものがない。さて、今回は亡くなった校長先生を巡る物語。先生は定年退職後、しばらく再任用で働いた後、完全引退し、ひとり暮らしをしていたが、75歳で亡くなった。これは6人の彼女に教えてもらった(生徒 . . . 本文を読む
これまで乱作多作だった井口昇の2023年作品。だけど、この作品の後、新作は途絶えている。これは彼にとってひとつのレジェンド的な作品である。『恋する幼虫』はなかなかよかった。だけど後の作品は駄作ばかりだ、と思っていたが、あの大傑作『惡の華』(2019)を作ったことで彼は僕からの信頼を勝ち取った。(笑)その後、期待して新作を待ったが、なかなかなかった。そしてようやくこの作品である。これが久々の井口監督 . . . 本文を読む
エイチエムピー・シアターカンパニーの笠井さんの演出、指導による作品。昨年末の『友達』に続く近大の学生による授業作品なのだが、これが侮れない。ダブルキャストで僕が見たのは歌組。主人公の乱歩の妻隆子を演じた川畑三琴と乱歩の清水彩雲がいい。当日パンフを見ると文組のふたりと違って歌組のふたりはぽっちゃりしているけど、そこも乱歩夫婦のキャラクターにピッタリだと思う。若い頃を演じたふたりとの落差がいい。(文組 . . . 本文を読む
なんと刺激的なタイトルだろう。攻撃的で過激な鈴江さんがこのタイトルからどんな話を紡ぐのか、期待は高まる。なんとこれは2時間の作品である。しかもアフタートークもある。平日の夜に。だから2時間30分。芝居だけでなくすべてが怒濤の展開。この「小劇場ならでは」の贅沢な時間を満喫する。満員の狭い劇場で(ウイングフィールド)これだけのキャストが暴れて、終演後には演出のペーター・ゲスナーにこの芝居の作家、鈴江俊 . . . 本文を読む