昨年、ウイングフィールドのウイングカップ最優秀賞に続いて、應典院spece×
dramaでも最優秀賞を獲った遊劇舞台二月病の新作。関西の若手劇団の最有力集団に躍り出たようだが、相変わらず彼らの芝居は変わらない。
重くて暗い。いろんな要素をどんどん詰め込みすぎてそれを十分には展開しきれていない。消化不良を起こしている。そういうところのあれもこれもがいつもの二月病である。中川さんは本当に変わらない。頑固で、自分の意思を貫いていく。そこにメンバーがしっかり付いていく。このアナクロ集団の作る芝居を見ていると、60年代末から70年代にかけての熱い芝居を思い出す。勢いだけで突っ走っていく芝居だ。
だが、二月病の芝居は決して熱くはない。どちらかというと、テンションは低い。ひとつひとつの出来事を不器用に、でも、じっくりとぶつけてくる。LGBTを扱いながらもそれを表層的なレベルでしか描かない。理屈ではなく、ひとつの現象として見せるのである。その意味するものを描くのではなく、その事実を見せる。そういう意味で敢えて「表層的」というのだ。もちろんそれはこの芝居を貶しているのではない。そこが中川さんのやりかたなのだ。さらりと事象を提示して、その積み上げの中から、真理に至る。
熊のサバイブという象徴的なメインテーマはしっかりと全篇を貫く。並行して描かれるいくつものお話を交錯させて、核心に収斂されていく。冒頭に健康ランドでまどろむカップルと、彼らが気にするいつもひとりでいる女を配する。このふたつのお話はなかなか重ならない。カップルの視点から、ドラマは女の側に移行して、彼女が殺した男との話へと向かう。心を病んだ女。セラピスト。熊を捕獲する。トランスジェンダーの男。そんなさまざまな視点からこの世界になじめない孤独、疎外感を抱える男女の姿を彼らの内面に踏み込んで見せていく。
dramaでも最優秀賞を獲った遊劇舞台二月病の新作。関西の若手劇団の最有力集団に躍り出たようだが、相変わらず彼らの芝居は変わらない。
重くて暗い。いろんな要素をどんどん詰め込みすぎてそれを十分には展開しきれていない。消化不良を起こしている。そういうところのあれもこれもがいつもの二月病である。中川さんは本当に変わらない。頑固で、自分の意思を貫いていく。そこにメンバーがしっかり付いていく。このアナクロ集団の作る芝居を見ていると、60年代末から70年代にかけての熱い芝居を思い出す。勢いだけで突っ走っていく芝居だ。
だが、二月病の芝居は決して熱くはない。どちらかというと、テンションは低い。ひとつひとつの出来事を不器用に、でも、じっくりとぶつけてくる。LGBTを扱いながらもそれを表層的なレベルでしか描かない。理屈ではなく、ひとつの現象として見せるのである。その意味するものを描くのではなく、その事実を見せる。そういう意味で敢えて「表層的」というのだ。もちろんそれはこの芝居を貶しているのではない。そこが中川さんのやりかたなのだ。さらりと事象を提示して、その積み上げの中から、真理に至る。
熊のサバイブという象徴的なメインテーマはしっかりと全篇を貫く。並行して描かれるいくつものお話を交錯させて、核心に収斂されていく。冒頭に健康ランドでまどろむカップルと、彼らが気にするいつもひとりでいる女を配する。このふたつのお話はなかなか重ならない。カップルの視点から、ドラマは女の側に移行して、彼女が殺した男との話へと向かう。心を病んだ女。セラピスト。熊を捕獲する。トランスジェンダーの男。そんなさまざまな視点からこの世界になじめない孤独、疎外感を抱える男女の姿を彼らの内面に踏み込んで見せていく。