
表紙が気に行ったので借りてきた。ミステリーは好きではないのだが、これはただのミステリー小説ではない。どちらかというと、ただの旅日記みたいだ。短編連作のスタイルを取るが、ひとつの話を描く長編でもある。行方不明になった初恋の人を捜すための旅が描かれていくのだが、ここに描かれるそのひとつひとつが、読んでいてとても楽しい。ちいさな旅になっている。それがひとまとまりして長編小説になる。
主人公の香澄は、大学生になり、鉄道旅同好会のメンバーになった。そして、様々な鉄道の旅を繰り返す。これはそんな彼女のちょっとした旅行記なのだ。小説のスタイルを取るけど、お話より、その旅のスケッチの方が興味深いくらいだ。自分も彼女のような各駅停車の旅をしてみたくなる。読んでいると、まるで、彼女と一緒に旅する気分にさせられる。旅で出会う人たちとのふれあいも心地よい。その緩やかさがいい。こんな旅がいいな、と思う。特別なドラマなんかないけど、ささやかなドラマに満ちている。
僕は、目的もなく、旅するのが好きだ。いつも行き先だけを先に決めて、実際にはどこに行くのかは、あまり考えない。行ってから考える。だから、どんな旅になるのか、終わってみなければわからない。自分がいつもそんなふうにして、旅しているから、この小説の香澄のする旅の気分がよくわかる気がする。観光地に行くよりも、その周辺とか、あまり誰も行かないようなとことか、他人からすれば、どうでもいいような場所におもしろいものを発見するのが好きだ。
遠くに行きたいわけではない。距離の問題ではなく、心の問題だ。ここに描かれるいくつもの旅が見せてくれるのは、夢のような、でも、夢見る暇もないような、遠くて近い旅の数々だ。心地よい列車の揺れに体を委ねて、旅するように、この本を読んでいる。もちろん、いつものように電車の中で、である。
主人公の香澄は、大学生になり、鉄道旅同好会のメンバーになった。そして、様々な鉄道の旅を繰り返す。これはそんな彼女のちょっとした旅行記なのだ。小説のスタイルを取るけど、お話より、その旅のスケッチの方が興味深いくらいだ。自分も彼女のような各駅停車の旅をしてみたくなる。読んでいると、まるで、彼女と一緒に旅する気分にさせられる。旅で出会う人たちとのふれあいも心地よい。その緩やかさがいい。こんな旅がいいな、と思う。特別なドラマなんかないけど、ささやかなドラマに満ちている。
僕は、目的もなく、旅するのが好きだ。いつも行き先だけを先に決めて、実際にはどこに行くのかは、あまり考えない。行ってから考える。だから、どんな旅になるのか、終わってみなければわからない。自分がいつもそんなふうにして、旅しているから、この小説の香澄のする旅の気分がよくわかる気がする。観光地に行くよりも、その周辺とか、あまり誰も行かないようなとことか、他人からすれば、どうでもいいような場所におもしろいものを発見するのが好きだ。
遠くに行きたいわけではない。距離の問題ではなく、心の問題だ。ここに描かれるいくつもの旅が見せてくれるのは、夢のような、でも、夢見る暇もないような、遠くて近い旅の数々だ。心地よい列車の揺れに体を委ねて、旅するように、この本を読んでいる。もちろん、いつものように電車の中で、である。