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映画・演劇のレビュー

BISCO『読15・ご無沙汰しております』

2007-01-17 20:37:45 | 演劇
 幼稚園で飼われている2匹の鶏が見た1年間の出来事、というスタイルで語られていくストーリー部分と歌謡曲に乗って踊ってみせるダンス部分が交錯するBISCOの長編最新作。

 長編作品は1年半振りらしい。昨年ISTの水盤舞台で初めて見て、なかなか面白いパフォーマンス集団だなぁ、と思った。コミカルなダンスをかわいく見せる。キッチュでバカバカしいけど楽しい。あれが長編になるとどうなるのか期待した。

 軽快なテンポで退屈はさせない。2部構成(40分+60分)で途中20分の休憩が入るのも見易い。だが、これを1本の作品として捉えたならトータルなものの提示がなく、見終えた後には何も残らない。

 ダンサーはかわいいし、彼女らのパフォーマンス自体は楽しめるが、それだけのことなのだ。それがいけないというわけではない。だが、これではただの演芸会の域を出ない。よくお客さんも入っているが、BISCOのファンクラブの集会という感じで、好意的な観客の前でいつもの出し物を見せているだけ。1年に1回くらい、それを見てちょっといい気分にさせてもらう、という感じ。

 ストーリー部分をナレーションで処理して、そのナレーションをパフォーマーたちの動きと、交錯させたり、わざと外したりして笑わせてくれる。それは歌にあわせて動きを見せていく時も同じである。リズムに乗って踊るだけでなく、その歌詞の提示するイメージを動きで表現したり、わざと異化して見せたりする。そのやりかたはこの集団のスタイルとして確立されている。

 いつものコスチューム。白い半ズボンに、フードで頭までスッポリ包み込んだ白いコスチューム、ほっぺを赤く塗った4人組。そして、彼女達をサポートする2人。計6人のチームが見せてくれる世界はもちろん独自のスタイルを持つ。

 ただ、全体が演出しきれてないのが辛い。それは、個々人の動きや表現を大事にしているからかもしれないが、ただの野放しに見える。自由にステージで飛んだり跳ねたりする姿を見せるのは、悪くはない。だが、それだけではちょっとしんどい。作者の意志のようなものが感じられたなら、きっともっと面白くなるはずだ。この方法で何が出来るのかを、もっと考えて欲しい。

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